花王・廣澤祐氏「ワンチャンカンヌ」を合言葉に、小さなアイデアの種を社内に蒔いていく(後編)

カンヌライオンズやアドフェストなどの国際広告賞では、最新のケースやトレンドがわかる授賞式やセミナー、作品展示に加えて、ネットワーキングのためのパーティが行われます。ここには近年、エージェンシーやプロダクションからだけでなく、アドバタイザー、つまりクライアントサイドからマーケターやクリエイターが多く参加しています。彼らは何を目的に参加し、ここで何を得ているのでしょうか。

今年6月に、グローバルにおいて最大級のアワード、カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル(以下 カンヌライオンズ)が終了しました。第6回目後編は、花王デジタル戦略部門 戦略企画部 廣澤祐さんに、カンヌライオンズでの経験を社内でどう活かしているのか、お話をお伺いしました(前編よりつづく)。

※※※※※

カンヌライオンズ授賞式の様子。

「私たちも真似できる」と感じてもらえる事例を社内で共有

木村

:前回は2025年のカンヌライオンズのセミナーや受賞作からの学びを話していただきましたが、このような学びを、廣澤さんは社内ではどのように共有されているのですか?

廣澤

:帰国後すぐに、国内社員約2万人が視聴可能なウェビナー形式で報告会を実施しました。

カンヌライオンズの概要から始まり、今年のテーマの解説、P&Gとユニリーバの比較、そして受賞作の紹介をしました。ライブとアーカイブで1000〜2000人ほど、約5〜10%の社員が視聴しました。 販売や工場の方々も含め、カンヌライオンズがまだ身近ではない層にも情報が届いたのは大きなフィードバックだと感じています。

木村

:素晴らしいですね。全社向けに紹介したケースは、どのような視点で選んだのですか。

廣澤

:「これなら私たちも真似できる」と感じてもらえるような「創意工夫」のケースをピックアップしました。

さらに、私が所属するデジタル戦略部門には、全社向けとは別に、より専門的な内容で、日々の業務に活かせる具体的な事例をピックアップして共有しています。

聞き手のロールに応じて「こういう場合にはこういうソリューション」という具体的な弾(たま)を、カンヌの事例で提供しました。

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木村健太郎(博報堂 執行役員、インターナショナル・チーフ・クリエイティブ・オフィサー / 博報堂ケトル ファウンダー)
木村健太郎(博報堂 執行役員、インターナショナル・チーフ・クリエイティブ・オフィサー / 博報堂ケトル ファウンダー)

博報堂にてマーケティングからクリエイティブ、デジタル、PRと領域を広げ、2006年に「手口ニュートラル」をコンセプトに博報堂ケトルを設立。2017年から本社グローバルMD局の局長を兼任し、2021年よりグローバル領域とクリエイティブ領域を担当する執行役員。これまで10のグランプリを含む150以上の国内外広告賞を受賞し、40回近い国際賞審査員経験を持つ。2024年カンヌライオンズデジタルクラフト部門審査員長。The One ClubとADFESTのアドバイザリーボードも務める。

木村健太郎(博報堂 執行役員、インターナショナル・チーフ・クリエイティブ・オフィサー / 博報堂ケトル ファウンダー)

博報堂にてマーケティングからクリエイティブ、デジタル、PRと領域を広げ、2006年に「手口ニュートラル」をコンセプトに博報堂ケトルを設立。2017年から本社グローバルMD局の局長を兼任し、2021年よりグローバル領域とクリエイティブ領域を担当する執行役員。これまで10のグランプリを含む150以上の国内外広告賞を受賞し、40回近い国際賞審査員経験を持つ。2024年カンヌライオンズデジタルクラフト部門審査員長。The One ClubとADFESTのアドバイザリーボードも務める。

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