社会起業家の育成を目的に2010年4月に開校したビジネススクール「社会起業大学」は、2月5日、「ソーシャルビジネスグランプリ2012冬」を津田ホール(東京都渋谷区千駄ヶ谷)にて開催した。
「社会起業大学」は、人材採用コンサルティングや人材開発支援などを手掛けるリソウル株式会社(東京都千代田区、代表取締役:田中勇一)で、卒業イベントとして修了生が社会的起業のプランを競う「グランプリ」を開催している。コンテストは、一般応募者との4カ月の学習を修了した学生の中から選考を突破した6名が、起業計画や事業プランを発表し、「社会性」と「経済性」を両立するかどうかなどを審査員と一般オーディエンスが審査するかたちでおこなわれる。今年は437名の投票があった。
4期目となる今年、グランプリを受賞したのは川初真吾(かわはつしんご)さん(39歳、宮城県出身)。テーマは「大人のひきこもり オルタナティブ・ライフ・プログラム」で、少なくとも70万人いると言われ、高年齢化・長期化が進む「社会的ひきこもり」を、それぞれの地域や空間で、自分らしく新しい生き方・働き方ができるよう伴走するというもの。川初さんがこのプログラムを発案したきっかけは自身の弟さんが長く「社会的ひきこもり」の状態にあったためだという。川初さんは「地域の協力を得て地域の役に立ちながらそのネットワークを活かした就労や社会参加のきっかけづくり(地域に蔵出し)や、アウトソース可能な業務を発注してもらえるように営業し、彼らにあった在宅ワークの斡旋(蔵人ソーシング)を行う」という。一方で、ファイナンシャルプランナーや社会福祉士と連携し、一生就労せずに生きるためのサバイバルプランも立案するなど、一律的に自立や就労の支援をしたりするのではなく、各人が自分らしく生きることができる社会を目指す。
ほかに、審査員特別賞を受賞した須藤 悟(すどう さとる)さんは、「オホーツクで雇用と「持続可能な海」を作る」を発表。オホーツク海のホタテ貝殻を資源として捉え、地場産業連携と漁業の6次産業化を通して自分と地元の雇用を創出するというもので、地元の資源で作る商品を地元で消費しその利益を、海洋保全に投資する「Sea for good」運動も展開する。
会場からもっとも多くの支持を得た共感大賞は「インド農村で雇用創出し、貧困解決!」を掲げた板倉 沙織(いたくら さおり)さんが受賞。インド農村地域で、貧困削減の為に日本企業のインド農村進出コンサルティングで、進出初期段階をサポートし、雇用を創出するプランだ。板倉さんは「現地との信頼関係構築を重視しながら、途上地域での貧困削減を目指す」という。
元内閣官房参与で社会起業家フォーラム代表の田坂広志氏が審査員長を務め、エン・ジャパン株式会社代表取締役会長の越智通勝氏ら総勢12名が審査を行った。グランプリ受賞者には、副賞として、インキュベーションオフィスの1年間無料権利が贈られた。
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