今年3月に刊行した『THE FRONTLINE GENERATION 令和シニア なぜいまZ世代マーケターは60代に「未来」を見るのか?』(博報堂ストラテジックプラニング局、Hakuhodo DY ONE著)では、これからのマーケティングを考える上で重要となる世代を「令和シニア」ととらえ、シニア層を起点としながら、年代や性別といったデモグラフィック特性を超えた普遍的なマーケティング戦略「ロバストマーケティング」の発見を目指している。今回は執筆チームから博報堂の松谷拓哉氏とHakuhodo DY ONEの吉川真紀子氏が、同じくシニア層に着目した調査・研究を行っているヴァリューズのコンテンツプランナー、安部竜司氏を迎え、「令和シニア」を切り口に、企業がこれから向き合うべき生活者像について語り合った。
令和の「シニア」は従来のイメージとは異なる
松谷:まずお聞きしたいのですが、本書を読んでどのような感想を持たれましたか。
安部: 一言で「シニア」といっても、今の60代、50代は見た目もライフスタイルも想像以上に若い方が多数です。我々も「この現実をもっと上手くマーケティングに生かせないか」という思いを持って調査・検証を行っているので、書籍の内容には共感を覚えました。
一方で、私たちは戦略コンサルタントのツノダフミコ様と「あしたのシニア」と題して令和時代のシニア層が求める具体的なインサイトを明らかにしようとしているので、フォーカスする部分の違いなども勉強になりました。
吉川:御社の調査の特徴としてN=1のデータを多く持たれている印象です。N=1で見ることでより明確になったシニア層の特徴はありましたか。
安部:一人ひとりを個別に見ていくと、従来のイメージどおりの「シニアらしいシニア」の方もいれば、SNSを積極的に活用している方もいます。もちろん全員がSNSを使いこなしているわけではありませんが、一般的なイメージ以上にデジタルを使いこなしている方が多いことも見えてきます。そうしたシニア層の多様性こそ、N1で向き合うことで見えてくるのではないでしょうか。
『THE FRONTLINE GENERATION 令和シニア なぜいまZ世代マーケターは60代に「未来」を見るのか?』博報堂ストラテジックプラニング局、Hakuhodo DY ONE著
同じ行動でもその背景にある価値観やモチベーションは多種多様
松谷:本書では、独自の定量調査に加え、さまざまなオープンデータも参照しながら「令和シニア」の実像をひもとくことを試みました。御社では、Web行動ログデータを中心に分析されているのでしょうか。
安部: 私たちの強みは、Web行動ログデータを、アンケートデータと組み合わせて分析できる点にあります。アンケートで聴取した「こんな年代のこんな年収の方」といった属性データからターゲットを絞り込み、実際に「Web上でどんな行動をしているのか」を深堀りできます。また、逆もしかりで、「こういう行動をしている人」から、その人が「どんな年代で、どんな価値観を持っているか」という分析も可能です。
