「最近、リリースにファクトの誤りが多い」 情報流通の変革から紐解くコンテンツ発信論

生成AIの普及で発信が高速化する一方、安易な依存によるファクトの誤りも目立つ。だがAIは使い方次第で質と量を劇的に改善できる。StoryHubの田島将太氏は、情報流通の構造が変わる今、重要なのは「一次情報の価値」と、持続的にコンテンツを届ける「オペレーション設計」だと説く。

コンテンツの成否を分けるのは良質な一次情報

スマートニュースでのメディア事業開発を経て、数多くのWebメディアのグロースを支援してきた実績を持つStoryHub(ストーリーハブ)の代表取締役CEO・田島将太氏。同社はアップロードされた「一次情報」のファイルを基に、プロフェッショナル品質のコンテンツ制作を支援するAI編集アシスタント「StoryHub」を展開している。田島氏は、AIが情報流通を再設計する現代において、企業がオウンドメディアや情報発信で成果を収めるための勝機について解説した。

田島氏は冒頭、「生成AIの影響か、プレスリリースに細かなファクトの誤りが増えている」というメディア現場の声を明かし、データ分析の世界で語られる「Garbage In Garbage Out(ゴミの入力からはゴミの出力しか生まれない)」を引用。AI時代だからこそ、土台となる良質な一次情報がコンテンツの成否を分けると指摘する。その上で、コンテンツの価値を「一次情報の価値(企画・収集)」「編集の価値(表現・制作)」「編成の価値(届ける・配置)」という3つの軸に分類し、各フェーズにAIを実装した具体的な3つの事例を共有した。

アテンションの時代からコンテキストの時代へ

ひとつ目は、WEリーグのサッカークラブ「浦和レッズレディース」の事例だ。広報担当者が1人という限られた体制のなか、制作工程にStoryHubを導入して6~8割のドラフト作成を効率化。リソースを「試合直後の選手の生の声を録音して集める」という一次情報の収集に再配分した。結果として前シーズンと比べ、年間7倍となる69本のコンテンツ発信を内製で実現し、サポーターとの深いエンゲージメントを構築した。

2つ目は大手金融機関のインターナルコミュニケーションである。広報チームはStoryHubを活用し年間120本以上の社内報が安定して生まれ続けるオペレーションを成立させた。今後はAIを活用し、経営メッセージの発信強化と現場の情報発信活性化のオペレーションを組んでいくという。

3つ目の東急の沿線住民向けアプリ「common」の事例では、地域のニュースをAIで収集した上でまだ足りていない情報をプロが作成、さらにユーザーの位置情報に合わせて届けるという「集める・作る・届ける」の一貫した体制を確立した。

田島氏は特に東急の「編成の価値」に着目し、「アテンションの時代」から、ユーザーが情報を求める環境を設計する「コンテキストの時代」へ移行していると総括した。

すべてのコンテンツでホームランを狙うのは困難だからこそ、重要なのは継続して打率を高めていく環境づくりであると田島氏。「コンテンツの面白さやユニークさを追求する前段階として、まずは発信のオペレーションをしっかりと設計する。それにより、自然と面白いコンテンツが生まれ続ける環境を整えることこそが、AI時代における重要な観点だと考えています」と結んだ。

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田島将太氏

StoryHub
代表取締役CEO

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