米インディアナ大教授で、女性初のノーベル経済学賞受賞者のエリノア・オストロムさんが亡くなった。12日朝、がんのため米インディアナ州の病院で死去。78歳だった。オストラムさんは森林や河川など共有資源(コモンズ)の保全管理に関する研究で知られる。
オストラムさんは、1933年、ロサンゼルス生まれ。2009年にカリフォルニア大学のオリバー・ウイリアムソンとともに、ノーベル経済学賞を受賞した。
訃報に際し、インディアナ大学のマイケル・マクロビー学長は、彼女が生涯をかけてパイオニア的な研究を貫いたことを称え、「インディアナ大学は、エリノア・オストラムの他界によって、なにものにも代えがたい存在を失った」と述べた。
オストラムさんは、幼少期を大恐慌の余波にあえぐ西海岸で過ごし、家族は庭で食物を育てて飢えをしのぎ、第二次世界大戦の頃は兵士たちのスカーフを縫って日々の糧を得たという。ディベート・チームで活躍したビバリー・ヒルズ高校での思い出を振り返って、彼女は、「裕福な学校の貧しい子どもだった」と述べている。
また、オストラムさんが博士課程に進学する頃はまだ女性の博士取得に抵抗があったと、インディアナ大学の職員は話している。オストラムさんは1965年からインディアナ大学で研究をするようになった。研究テーマは、効果的な都市警察のあり方から、地下水と灌漑システム、牧草地、森林、漁場のマネジメントに及んだ。
また、マクロビー学長は、オストラムさんの学生への愛や大学と同僚たちへの貢献に触れた。「オストラム夫妻は類まれなる気前の良さの持ち主で、エリノアと彼女の夫は、数百万ドルにおよぶノーベル賞の賞金を含め、多大な資金を大学に提供してくれました」
オストラムさんは、2011年にすい臓がんが見つかってからも精力的に研究のための旅行や出版活動を続けたという。
※スーザン・ギュエット(インディアナ)とダン・バーンズ(ニューヨーク)によるレポートをドイナ・チャキュが編集したロイターの記事をもとに作成しています。
(Reporting By Susan Guyett in Indiana and Dan Burns in New York; Editing by Doina Chiacu
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