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「モノとコト。「生活者の欲求」を両方おさえるには?」

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中村耕史(クックパッド トレンド調査室 ディレクター)

ここでは、『販促会議』2014年6月号に掲載された連載「検索ワードから考えるクロスMD施策」を紹介します。


クロスMDに求められる「ストーリー」と「根拠」

消費税増税や物価上昇の中、食品業界では生活者目線で旬な提案がどれだけできるかが一層重要になってくると言われている。クロスMD施策が店頭で実現されるまでには多くの人がかかわる。そのため、取り組みの実現には「目新しい」「面白そう」というだけでなく、根拠が求められる。

現在、クロスMD提案の根拠として広く用いられているのが、各種販促企画・売り場の状況・価格といったさまざまな要素の結果としての購買を捉えたPOSデータだ。言わばやったことに対する成績表であり、やらなかったことについての示唆は得られにくい。一方、商品購入や調理よりも前に行われる検索行動には生活者の「興味がある」ことが生活者自身の言葉で凝縮されており、より新しい提案への示唆が含まれやすいと考えられる。

本連載では、腑に落ちるクロスMD施策立案に役立つストーリーづくりと、その根拠として検索データを活用する方法を隔月でお伝えしたい。

「たべみる」でクックパッドでの検索行動を分析

クックパッドは月間延べ利用者数4134万人(2014年1月時点)、レシピ数160万品以上と日本で最も利用者の多い料理サイトだ。

利用者は食べたいもの/作りたいものに関連するキーワードを入力することで、レシピを探し出す。これらのキーワードをオンライン上で気軽に分析できるツールが「たべみる」という食品メーカー、食品流通業者向けサービスだ。

検索キーワードを地域や年代といった切り口で分析できるので、それを売り場の提案や商品開発などに役立てることができる。また、データは2009年から蓄積されているため経年変化も把握できる。例えば「カレー」の組み合わせ語を分析すると、以前は検索されていなかった「リメイク」というワード1位になっていたりする。そうした時代の流れを踏まえた分析も、ストーリー性のある提案には欠かせない。

検索キーワードから「コト」が分かる

クックパッドでは材料やメニュー名だけではなく「七夕」のようなイベント名や「夏バテ防止」のような目的による検索も多い。従来のメニー調査では「メニュー」や「材料」を起点とする分析となりがちだったが検索データを使えば「コト」と「モノ」を結び付けたMD企画立案に生かすことができる。

今回は、7月、8月に検索されるワードのランキングを掲載しているが、その中には7月の「夏休み」のような「コト」のワードが含まれている。さらに「たべみる」では「夏休み」と最もよく組み合わせて検索されているキーワードが「お昼ごはん」であることや、その人気レシピも分析できる。8月にも「お盆」や「夏バテ予防」のような「コト」のキーワードが入っている。こういったランキングからも、生活者がいつ何を欲しているかを想像することができるのではないだろうか。

■データを理解するうえでの用語解説

  • 検索頻度(SI値):分析対象ワードが1000回あたり何回検索されたかを表す数値。
    SI値=分析ワードの検索回数÷全体の検索回数×1000。
  • 季節指数:SI値の年間平均を100とした、集計期間における値。
    アボカドの事例や掲載ランキングデータのように季節感を把握する際に利用できる。

組み合わせ検索メニューによる提案

ライフコーポレーションは2013年7 月に「おうちカフェ風アボカドレシピ」として「丼」を訴求した。施策期間中、アボカドは前週比170% 以上販売され、併売訴求を行った食材・調味料もすべて計画を達成したという。

「サラダ」や「ディップ」ではなく、丼を選んだのは「たべみる」でアボカドと丼を組み合わせた検索が夏に伸びることが分かったからだ。

これには、暑い季節なので調理品目数や洗い物を減らしたいといった背景があるのではないかというストーリーも同時に想像できるデータであったこともあり、単なるタイアップページの作成やチラシ配布にとどまらず、売り場づくりにまでつながったということが成功の要因だったと考えられる。

クックパッド タイアップページ

折込チラシ

 

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中村耕史(クックパッド トレンド調査室 ディレクター)
大手市場調査/システム会社にて、リサーチ・コンサルティングサービスを提供。クックパッドに入社後、事業部門での社内アンケートシステムのリプレイスや施策の効果測定業務を経て、経営管理部にてデータ可視化・活用の推進を担当。

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