ターゲティング進化の課題
小池政秀(サイバーエージェント)
ターゲティングの進化が加速することで、「誰に広告配信するか?」を、より追求できる技術が実現されてきた。①既に登録されているユーザー情報をもとに配信するデモグラターゲティング②WEB内の行動をもとにユーザーを指定して配信する行動ターゲティング③外部含むサイト内でとった行動や、外部含むサイト等で登録したデータをもとにユーザーを指定して配信するオーディエンスターゲティング、この3つが大枠の手法となるが、「誰に?」を追求しすぎると、米国で進行しているような、様々な個人情報のやり取りにまで発展しかねない。
国内では個人情報保護法などの障壁から実現性は薄いが、クレジットカード情報やその他商品売買履歴、不動産所有情報など、極めてプライベートな情報にまで触手が伸ばされることになると、ターゲティング精度は上がる半面、社会性としては好まれないサービスに転落してしまう。その場合、ターゲティング精度だけが重要な要素となり、広告が配信される場としての価値が低くなることで、質の高いコンテンツを配信するパブリッシャーにとっては、本質的に望ましくない状況となる可能性もある。そうなると、魅力的なコンテンツが減り、結果ユーザーも減る悪循環を自らつくり出しかねない。危惧される状況に対し、広告を配信する場の価値とターゲティング、この二つの掛け合わせに精度向上を求めていく動きに、その課題解決の糸口を見つけていきたい。
広告主にとっても消費者にとっても、ターゲティング技術の可能性を追求していくことは、大きなテーマであることに間違いないので、ターゲティング技術のみを過信することなく、従来のマスメディア含めた企画開発で培ってきた広告ノウハウをより高めることで、ぜひ実現したい。そのために、今まで以上に市場全体での協力した動きが必要になると思うが、積極的に関与し理想的な市場拡大の実現に貢献していきたい。
- 小池政秀の「ターゲティングの進化」(第3回)「ターゲティング市場の拡大」
- 小池政秀の「ターゲティングの進化」(第2回)「ターゲティングの新しい潮流2」
- 小池政秀の「ターゲティングの進化」(第1回)「ターゲティングの新しい潮流1」
(こいけ・まさひで)
サイバーエージェントAmeba事業本部ビジネスディベロップメントディビジョン統括。2002年よりAmebaを含む自社運営メディアの広告販売部門を統括し現職に至る。合わせて、4月に発表されたサイバーエージェントとDeNAの合弁会社の代表取締役社長に就任。
「WEB MARKETER’S view」バックナンバー
- 【オウンドメディアマーケティング(3)】「オウンドメディアやりたい」(2012/3/01)
- 【オウンドメディアマーケティング(2)】オウンドメディアに必要な「放送設備」(2012/2/23)
- 【オウンドメディアマーケティング(1)】「ソーシャルな時代のオウンドメディア」(2012/2/16)
- 佐藤圭太朗の「WEBメディアビジネス注目事例」(第4回)(2011/6/27)
- 得丸英俊の「デジタル時代に必要なスキルとは?」(第4回)(2011/6/20)
- 三科恵三の「WEBマーケティング 注目事例」(第2回)(2011/6/13)
- 鈴木健の「いま、自社メディアをどう活用するか」(第4回)(2011/6/02)
新着CM
-
人事・人物
マツダ、協業、サステナビリティ、MaaS担当役員ほか(22年6月24日付)
-
AD
チーターデジタル
改正個人情報保護法がデジタルマーケティングに与える影響とこれからのCRM戦略
-
マーケティング
大きな物語の時代が終わり、無数のナラティブが生まれた
-
AD
広告ビジネス・メディア
VR空間からラジオ生放送 エフエム東京の特番、提供はBMW
-
販売促進
宅配・持ち帰り事業部を廃⽌ ぐるなび、スマホ注文に注力
-
クリエイティブ
ハンカチーフ専門店で、「東京」をテーマにしたタイポグラフィハンカチとZINEの展...
-
販売促進
販促コンペを社員のスキルアップに活用 プランニング力向上で若手、女性の活躍促進
-
人事・人物
【人事】電通(2022年6月24日付)
-
AD
特集
CONNECTION LAB