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コラム

PRガール

「電通を退職する方法」

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はじめまして、伊藤春香です。
ネット上では、学生時代からはあちゅうと名乗っています。
先月、大学卒業以降2年半お世話になった電通を退社しました。

辞めるにあたってあらゆる人から
2つの質問を受けました。

1つめは言わずもがな
「なぜ(WHY)辞めるの?」

そして2つめは、
「会社ってどうやって(HOW)辞めるの?」

です。

1つめの「なぜ」は、個人ブログに書いているのでそちらをご参照頂くとして、
今回は、会社を辞めたことのある人しかわからない、
だけどきっと辞めたことの無い人にとっては未知なる世界であるはずの2つめ
「どうやって」について書いてみたいと思います。

私が会社を「辞める」と決めたのは9月12日。
前日の9月11日に転職のオファーを頂きましたが、
その可能性について全く考えたことがなかったので、
その時点では、まだ少し迷っていました。

翌日、9月12日の朝。

いつものように会社に行って、着席しました。
私は朝が早いので、フレックスタイム制のクリエーティブ局にはまだ誰もいません。
まだ暗い席に座って、PCを立ち上げた瞬間、思いました。

「私はここに10年後もこうやって座ってるんだろうか」

…なんか違う気がする。
それが「辞めよう」と決めた瞬間です。

その日はバタバタとしていたので
自分の決断を誰にも話さないまま。

けれど早くも芽生える、謎の罪悪感。

打ち合わせ中、メンバーの顔を見ながら
「私、何くわぬ顔してこうやって座ってるんですけど
実は会社辞めるんですよね…
この案件の実施の期間とかいないかもしれないくせに
平然と意見とか言っちゃってまじでごめんなさいまじでまじで」というお詫びモード発動。

しかしこの時点では辞めるということはあくまで自分の中での決定であって
自分さえ取りやめればその将来は無かったことになるという不思議。
「まだ誰にも言ってないから今なら大丈夫!」と自問自答。

…けれども口にした瞬間、それが自身の意思となり現実となるのですね。
翌朝、出社後に人材開発部長を捕まえることに成功した私は、最初の告白をします。

「部長、お話があるのですが」

人気のない会議室へと部長を呼び込みます。

「あの、会社辞めようと思ってます」

「あら」

部長は、少しびっくりした様子。

「…それはもう決めたことなの?」

「はい」

「辞めたら、何するの?」

「ベンチャーに行きます」

「もう向こうの会社とも話がついてるの?」

「行くという前提でお給料など細かいことの交渉をしています」

そこから、次に行く会社の話、
オファーを頂いてから決断するに至った経緯を説明。
すると部長も、納得のご様子。
はあちゅうは決断が早いね、寂しいけど頑張ってね、などと言ってくれる。
この時点で、身勝手な私にそんな優しくしてくれる部長に一生ついていきマス!!
なんて言ってしまいそう…ってあかん、会社辞めるんだよな私。

「会社ってどうやって辞めるんですか」

「そうね、どうやって辞めるのかなぁ…まずは関係者に言いましょうか」

というわけで、局長、局次長、所属部の部長、
トレーナーのSさんに退職の意思を告げることに。

(トレーナーとはコピーの師匠のことで、
クリエーティブ局配属後、
一年間トレーナーの下で働いて
コピーライターとしての基礎を教えてもらいました)

それから、各案件のCD(クリエーティブ・ディレクター)にご報告。
続いて、研修班の班員、初期配属で赴任した中部支社の同期などなど、
親密な同期たちにもメール。
ここまでは、別に悪いことをしているわけでもないのですが、
「内密にお願いします」な展開。
その一週間後、局会でのご挨拶をもってして
「伊藤、退職」は秘密事項ではなく、オープン情報に。笑

それからお世話になった先輩方、担当案件のチームメンバー、
同期…というふうに順々に「告知」をしていきます。
このへん、手続きではなく意志が先にくるってのが面白いのですが、
まず「辞める」という事実が十分に周知となった上で、形式的な手続きが始まります。

まず、社内システムの中で「退職届」というのがあるのでダウンロードします。
(大企業には、大体こういうフォーマットが用意されているそうですよ)

そこには退職理由を書くための空欄があるのですが
これは馬鹿正直に「転職しますので」なんてことは書かず
「一身上の都合」と書くのが普通だそう。
あらゆるケースに対応する万能の日本語、「一身上の都合」…便利ですね。

(理由)一身上の都合により(署名)伊藤春香、捺印。

これにて私の作業は終了。
これに、局長&部長がそれぞれ書類を添えてくれ、3通揃えて人事局に提出。
その後は、退職説明
(保険のこと、税金のこと、社宅の退去のことなどなど盛りだくさん!)
とそれに伴う手続きがあります。
この過程で、会社って私をいろんなことから守ってくれていたんだな…と実感します。

余談ですが、
クレジットカードづくりとローンの申し込みは
大企業にいるうちにしたほうが有利とのこと。社名と勤続年数が命。

そして始まるめくるめく退職関連イベント。
お世話になった先輩とのランチ、ディナー、送別会
(壮行会ってみんな呼んでくれました)、ご挨拶まわり。
日程調整につぐ日程調整。引継ぎ。書類、書類、書類。
飲む、寝る、食べる、仕事する。
非常に慌ただしい日々が続きます。

そんなこんなであっという間に最終出社日。
前の週末に銀座の松坂屋及び三越などで購入しておいた菓子折りなど配りつつご挨拶。

私は12月1日に次の会社に入ることが決まったので、
27日間残っていた有休を使い切るために、
10月の中旬を最終出社日、と自分で決めました。
そして「11月末日まで社員ですが10月◎日が最終出社です」
と予告編なのかなんなのかこれでいいのかわからぬ、
でもきっと正解なんて無いメールを送信し、バケーションに突入。

有休初期の数日は、
担当していた作業のその後の打ち合わせのメールなどもCCで入ってくるし、
会社の人の「忙しい寝れない」などのツイートを見るたびになんだか申し訳ない思い。
すみません、私ひたすら飲んで食べて寝てます…ズル休みしているみたい。恐縮MAX。
それなのに、どの送別会に行っても主役扱い。
(まあ私の送別会だから当たり前といえば当たり前だけども
自己都合で辞めるくせに!)いいのか私。こんなことで。

けれども暇を感じたのはほんの数日。
こんな機会でも無ければなかなか行けない必殺・長期旅行
という奥の手(奥の手でも何でもないが)の手配に追われ、
すぐにてんやわんやに。
それから、うっかり疎遠になっていた人達にもこの機会に会わなくっちゃね、
わたわた。でもやっぱり旅行も詰め込みたいな、なのなのな、からの…

名古屋1泊2日
伊豆高原1泊2日
北欧(フィンランド、スウェーデン、デンマーク)8泊9日、
ドイツ&オーストリア 7泊8日。

合計で21日も旅しちゃってますけどいいんですか、よくないですね、人生の夏休みなう。

そんなわけで、12月から、
転職先のトレンダーズで、
美容クリニックのクーポンサイト
キレナビ」のPRなどを担当します。
このコラムでは、未だに何をやるのか全く不明、
でも期待とやる気だけは満々です!な私の
PRガールとしての奮闘記(になるのか?)を書いてみたいと思います。

週1更新×3カ月=全12回の予定。
どうぞ皆様、よろしくお願いします!


※退社については以下の個人ブログ記事もご参照ください。
今日で電通を辞めます。
退職挨拶メール。

(※このコラムは2011年11月末に書かれたものです)