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【就活応援企画】広告界の先輩に聞いた「伝わる就活のツボ」-(最終回) エントリーシートは自分の広告

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今年は経団連の新指針によって、例年より遅い12月から、本格的な就活シーズンを迎えることとなります。そこで今回は、『広告のやりかたで就活をやってみた』の著者が考える「伝わる就活のツボ」を全3回の短期連載でご紹介。広告界を目指す学生さんはもちろん、他業界を目指す方も必読の、普遍的な就活指南です。
(この記事は『宣伝会議』9月15日号~11月15日号の連載「広告界就職ラボ」に掲載されたものを再編集しています。)

電通 小島雄一郎・笹木隆之

さて、このコラムを担当させていただくのも最後となりましたので、今回は就職活動の仕上げとも言える「自己PR」に関するお話です。引き続き、「就職活動=広告活動」という仮説のもと進めていきましょう。

自己PRはエントリーシートに書いて終わりではなく、その後の面接でもたびたび質問される大切な項目です。そんな自己PRを書く際のポイントが、「翻訳」すること。自分がアピールしたいことを、相手に伝わり易くするためには、「相手の世界の言葉」で表現することが大切です。

広告の例で考えてみましょう。「○○成分が2倍!」なんて広告を見たことがあると思います。「すごそうな雰囲気」を伝えるためにあえてこうしたコピーを使うこともありますが、これは翻訳できていない広告の代表例です。

「○○成分が2倍になった」ことのすごさがわかるのは自分だけ、つまりそのメーカーや業界の人だけです。広告の相手である生活者に伝えるには、「○○成分が2倍になった」ことで生活者にとってどんなメリットがあるのかを、生活者の言葉で表現する必要があります。たとえば、洗剤であれば「すすぎ洗いが1回で済む」と翻訳できるかもしれません。「○○成分」という専門的な言葉を、「すすぎ洗い」という生活者の言葉に翻訳するだけで、洗浄力が上がって節約につながるという具体的なメリットが伝わり易くなるのです。

就活でも同じです。OB訪問に来た学生のエントリーシートを読んでいると、「コミュニケーション力」や「リーダーシップ」など、一見それっぽいけれどいまひとつ伝わってこない表現をよく目にします。これらは自己満足の言葉です。「○○成分2倍」と同じく、実は何も伝わっていないのに、伝えた気になってしまうところがこの言葉の恐さだと言えます。エントリーシートを書く際、みなさんは自分の表現が自己満足になっていないか客観的に判断し、翻訳する必要があるのです。

では、例として「コミュニケーション力」という表現を翻訳してみましょう。どう翻訳するかは相手(=志望企業)によって変わるので、ここでは仮に広告会社の営業職だとします。翻訳する際のポイントは広告と同じ、「相手の世界の言葉」を使うこと。そのためには、広告会社がどんな世界なのかを知る必要があります。

あなたは業界研究を通じて、広告会社の営業が、クライアントと社内のクリエイター、外部スタッフなどとの調整役だということを学んだとします。そこで「コミュニケーション力」を伝えたいならば、「私は“板挟み”でこそ力を発揮します」と表現してみてはどうでしょう?あなたの個性が広告会社にとってどんなメリットになるかを考え、翻訳するのです。すると相手は、あなたがクライアントと社内外のスタッフ、さまざまな関係者の間を飛び回り、調整事を取り仕切る姿を想像できるでしょう。これが翻訳の力です。

もうお分かりだと思いますが、「翻訳」するためには「どれだけ自分のことをわかっているか」「どれだけ相手のことをわかっているか」が重要です。つまりこれまでの自己分析と企業分析の精度が、翻訳の精度に大きく関わってくるのです。

自己PRはテクニックだけでは書けません。就活と言うと、つい「どんなエントリーシートを書けば良いのか?」というアウトプットにとらわれがちですが、それらはすべて自己分析と企業分析の上に成り立っていることを忘れないで下さい。その過程をきちんと踏まえていれば、「伝わる」アウトプットは自然に生まれ、悔いのない就活ができるはずです。

シリーズ 【就活応援企画】広告界の先輩に聞いた「伝わる就活のツボ」
【就活応援企画】広告界の先輩に聞いた「伝わる就活のツボ」―① OB訪問、される側が思うこと(全3回)
【就活応援企画】広告界の先輩に聞いた「伝わる就活のツボ」-② 企業分析の落とし穴(全3回)

小島雄一郎
電通のコミュニケーションプランナー。立教大学法学部卒業。営業職として流通企業のキャンペーンプランニングを担当後、2010年プランナーに転向。メーカーのキャンペーンプランニングから、ミュージシャンの戦略プランニングまで幅広く活動。(07年マスナビ、08年宣伝会議コピーライター養成講座卒業生)

笹木隆之
電通の戦略プランナー。筑波大学社会工学類卒業。未来創造グループのメンバー。経営者とビジネス活性化および再生プロジェクトを進行中。右脳型アイデアで企業の成長戦略をサポートしている。「次代のフロントライン」をテーマにした論文がJAAA第40回懸賞論文を受賞。
『広告のやりかたで就活をやってみた。』
大手広告会社で活躍する若手プランナーが、実際の広告事例もまじえながら広告の手法(=マーケティングの手法)を就活に応用し、志望企業に選ばれるための“ツボ”を実践的に解説する就活読本。
エントリーシートの書き方などのテクニック論だけでなく、自分の価値の見つけ方や、志望企業選びのポイントを広告コミュニケーションに置き換えて考える、新しい就職活動のかたちを指南する。

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