雑誌『販促会議』の連載「知らないと損をする!販促コスト劇的改善策~同じ費用で10倍の効果を生み出す」。の第3回。今回は、チラシのコストを20%削減するためのノウハウについて本誌より一部抜粋して紹介する。
文:購買戦略研究所 代表取締役COO 古市勝久
チラシは部数より単価の削減から
前回はチラシの情報整理について説明をしました。今回はチラシの具体的なコスト削減方法について説明します。
チラシのコスト削減というと、部数の削減から始めようとする会社が多くみられます。一見、即効性があり効果も出るため部数削減に取り組みがちですが、実はここに大きな落とし穴があります。支出金額の考え方は、「単価×数量」です。従って、部数削減というのは数量の削減であり、実は単価の削減はできていません。すなわち、単価は変わらないまま部数の削減を行うため、一過性のコスト削減メリットを享受しているにすぎないのです。また、同一コストでクオリティを上げることもコスト削減の一手法です。これはぜひ覚えてください。
チラシのコスト構造と削減の優先順位
それでは、具体的な単価削減について説明します。削減手法の前に、これだけは押さえてほしい点が二つあります。それは、チラシのコスト構造と現在の取引先との取引形態です。この二つを押さえておくことで、具体的な削減のイメージもわいてきます。
まず、チラシはどのようなコスト構造になっているのか、改めて整理しましょう。チラシのコスト構造は大きく分けると「デザイン(制作)代」「印刷代」「折込代」の三つに分解できます。それぞれの特徴については次の通りです。まず『デザイン(制作)代 』は、生活者のワクワク感、会社の思いなどコストだけでは判断できない要素が多い部分です。また、注目度、質感など感性が重要視されます。チラシのデザイン部分に力を入れている方も多いのではないでしょうか。次に『印刷代』ですが、こちらはデザインとは異なり、品質に差が出にくい部分でもあります。また、部数により印刷単価が変わってくるため一概に1枚いくらといいづらい部分もあります。最後が『折込代』です。折込代はエリア、サイズ、部数によりおおよその単価が決められています。
この中で比較的コスト交渉が行いやすいのが印刷代です。一見、多階層に単価が設定されているために、削減が難しいのではないかと考えがちです。しかし、印刷機のハードもほぼ同等で比較的品質に差が付きにくいため、競争環境をつくり出しやすい業界構造となっています。
次にコスト交渉するのは、デザイン代。こちらは、コスト削減というよりは、同一コストの中でより高いクオリティのものを提供できるかがポイントです。コスト削減といっても、金額の削減がすべてではありません。前述したように「同一コストでクオリティを上げる」。これもコスト削減手法の一つです。最後は折込代です。折込代はチラシの総印刷コストに占める割合の約半分あり、ここを抑えたいという要望を持つ企業が多くあります。しかしながら、業界で価格が決まっていることなどもあり、価格交渉の余地があまり多くありません。従って、単価削減をまず行うべきは、印刷単価となるわけです。
この先、取引形態ごとのコスト削減方法について詳しく解説していきます。
続きは発売中の『販促会議2012年1月号』をご覧ください。
古市 勝久(ふるいち・かつひさ)
1996年 リーヴ・スポーツに入社し、マーケティングや業務改革プロジェクトに携わる。2000年に大手通信キャリアグループに入社。同年にMBAを取得し、B2B(企業間電子商取引)市場を研究。その後、「リバースオークション」のビジネスモデルを構築。2005年に早稲田大学IT戦略研究所と連携し、購買戦略研究所を設立し、代表取締役に就任。
*定期購読者の特典として、この連載と連動した、「販促コスト削減に役立つ購買実態調査シート」がダウンロードできます。
【連載:販促コスト劇的最善策】
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