発売中の『販促会議11月号』からスタートした新連載「知らないと損をする!販促コスト劇的改善策~同じ費用で10倍の効果を生み出す」。販促の効率を高めるには、効果の向上はもちろんだが、コストを抑えるという意識も求められる。
ここでは、連載の一部を紹介して、販促コスト削減による効率アップの流れを紹介する。
文:購買戦略研究所 代表取締役COO 古市 勝久
コスト改善は新しい販促手法へのチャレンジ
クオリティとコスト・・・販促担当者にとっては非常に聞きなれた言葉ではないでしょうか。「もっと売り上げに直結するものを」、「もっとコストの改善余地がある」など、毎年厳しくなる社長からの叱咤激励に、悪戦苦闘している販促担当者も多いのではないでしょうか。このような状況下で、経営者の意向に沿いつつ顧客に響く販促活動を行うためにはどうしたらよいのか。担当者は多くの制約事項の中で自問自答しているのではないでしょうか。
私はこれまで、大手企業を中心に約1000社の購買業務改革に携わり1000人以上の経営者と会ってきました。“購買”という切り口にも多角的な視点があり、また、それに対する経営者の思いもそれぞれです。購買活動の中でも特に、売り上げに直結する活動を行う販促担当者は、会社における重責を担っており、経営者からの期待も非常に強いものがあります。ただ、業務改革や新しい販促手法へのチャレンジ、聖域なき購買プロセスの見直しなどを積極的に実施し、より大きな成果を生み出し、それらの実績をアピールすることで会社からの評価を得て、年収アップ&出世を実現した方も多くいます。
この連載では、販促担当者が「購買」という視点から、コストを削減しながらも、同時に販促ツールの効果を高めることで、同じ予算内で販促活動の量を増やす、クオリティ向上を果たすことを可能にする手順を紹介します。販促予算をうまく管理して新たな販促手法に取り組めるよう、基礎的な考え方と実践法を6回に分けて伝えていきます。
注目すべきは間接経費と販促品目
購買対象物は大きく二つに分かれます。一つは会社の売り上げにかかわる原材料などの購買品目である「直接材」です。これは、例えば小売業であれば、店頭に並んでいる商品、外食業であれば食材、製造業であれば部品などにあたります。これらの購買においては、コストは当然のこと、品質面や、会社ブランディングといった点も合わせて、既に相当な研究と開発がなされており、人員もより多く割かれているのが一般的です。
もう一つが、企業運営に必要な支出にあたる「間接材」です。こちらに関しては、実は大手企業であっても購買活動に十分な研究・対策がなされていないことが多くあります。カタログやDM、チラシやPOP印刷などの販促ツールも「間接材」に含まれますが、ここは、制作物のデザイン性も大きな要素を占めているため、そのバランスを取るのが難しい分野です。制作物の品質は落とせないが、費用対効果を高める事を求められる。これまでそうした悩みを持っている方に数多く会いました。ただ、そうした場合でも、販促担当者と協力しながら平均20~30%のコスト削減を実現してきました。
コスト増の主原因は前任の引き継ぎ
なぜ、20~30%ものコストが下がるのか?その理由の一つが、多くの企業で行われている、取引先の選定方法です。私が携わった中でも、多数の企業が、「前任者から引き継いでいて、この業者さんしかお付き合いがない」、「長年付き合っていて、うちのことをよく分かっているから」といった理由で取引先を選んでいました。
このように、特定の取引先とうまく連携を取りながら取引を継続していくということは、一面、とても大切なことです。しかし、他社との比較による適正価格の検証や、既存取引先との価格交渉においても、「こうして連携できるのがプラスだから、これぐらいの価格でもいいや」と、ついつい妥協してしまうというデメリットもあります。さらに言えば、特定の取引先とあまりに連携が強いが故に、不正や癒着の温床となってしまい、社内に取引先選定のノウハウが蓄積しないというリスクにもつながる可能性があります。
→続きは『販促会議11月号』をご覧ください。
※定期購読者の特典として、この連載と連動した、「販促コスト削減に役立つ購買実態調査シート」がダウンロードできます。最適な購買管理体制構築に向けて、会社のコスト削減取組み状況や購買状況、自社における特徴を10項目で確認。改善点の早期抽出や、内部統制に関する管理購買上のリスクを把握することにつながります。
筆者プロフィール
古市 勝久(ふるいち・かつひさ)
1996年 リーヴ・スポーツに入社し、マーケティングや業務改革プロジェクトに携わる。2000年に大手通信キャリアグループに入社。同年にMBAを取得し、B2B(企業間電子商取引)市場を研究。その後、「リバースオークション」のビジネスモデルを構築。2005年に早稲田大学IT戦略研究所と連携し、購買戦略研究所を設立し、代表取締役に就任。