コラム

アメリカ女子高生 デジタルネイティブ日記

アメリカのデジタルネイティブの悩み、サイバーブリー(ネットいじめ)の実態とは?(1)

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これまでアメリカの高校生のデジタル使用の良い点のみにフォーカスしてきた。しかし、今回はネガティブな事象であるサイバーブリー(インターネット上のいじめ)についてお話をしたいと思う。これは私のアイデアではない。あくまでも高校生の娘の意志によるものである。
ここからは、17歳の視点。娘にバトンタッチしたい。

ソーシャルネットワークのネガティブサイド

これまでティーンたちが使用している様々なソーシャルネットワークについてお話をしてきました。しかしソーシャルネットワークには、目をそらしてしまいがちなネガティブな一面もたくさんあります。プライバシーの侵害やハッキング、いじめなど数えきれない問題のなかには、FacebookやYouTube、Twitterなどのコミュニティーの中で起きているものもあり、嫌な思いをしている人は少なくありません。

今回は、いまアメリカで一番の問題となっているサイバーブリーについてお話をしたいと思います。このコラムでは主にティーンたちのことについて書きますが、決して大人のソーシャルネットワークの世界で存在しないとは限りません。皆さんも、もしかしたら無意識にネットいじめの被害者、または加害者になっているかも知れないのです。

逃げ場のないハイテクないじめ

いじめは昔からあります。私が小学生の時に日本のドラマでよく見かけたのは、上履きを隠したり、教科書をノリで貼り付けたり、わざと無視して仲間はずれにしたりするなど学校内でのいじめでした。皆さんも、一度はいじめを体験したことがあるのではないでしょうか?

このようないじめは、家に帰ればなんとか逃れることができます。しかし、今、デジタルネイティブ世代が向き合っているのはサイバーブリー。わりと新しいインターネット上のいじめです。サイバーブリーの一番怖いところは逃げ場がないことです。面と向かってのいじめではなく、隠れたインターネット上の世界、もしくはケータイやゲームのアカウント上でのアタックとなります。家に帰ってコンピューターを開けば落ち込み、ケータイを見てはまた落ち込み、ゲームをすればさらに落ち込み、しまいには居場所をなくし、被害者が自ら命を絶つこともあります。

人の命を奪うまでのサイバーブリーとはどのようなものなのか? そしてそれはなぜ起きるのでしょうか? サイバーブリーのほとんどは意識的に行なわれていますが、ごく一部では、そういうつもりはなかったのにいつの間にかいじめに発展していたというケースもあるのです。

知らないうちにいじめになったってどういうこと???

たとえば、面白がって書いたFBのステータスやアップロードした写真やビデオが、言われている本人にとっては酷い侮辱であるということがあります。これが無意識に行われるサイバーブリーの一つです。この無意識の言動がいじめにつながってしまう一つの理由は、アメリカのフリーダム・オブ・スピーチにあるのではないかと私は思います。フリーダム・オブ・スピーチとは言論の自由で、アメリカの法律上すべての人に与えられています。そのため何を言っても許されると勘違いする人もたくさんいるのです。無意識とはいえ、他人を見下す差別的な発言やモラルを超える発言はコミュニティーの一員として気をつけないといけないことの一つであり、サイバーブリーであると言われても仕方がないでしょう。

さて、意識的なサイバーブリーには様々な方法があります。少し前なら、ネットいじめと言えば、インターネットに関わる問題、いわゆるコンピューターを閉じれば逃れることができました。しかし技術が発達した今、他の人とインタラクトできるデバイスは限りなく増えてきました 。サイバーブリーはケータイ、ゲーム機内など、どこででも起こっています。最初にこの事実を知った時、ゲーム内でどうやっていじめが起きるの?とゲームを一切しない私は疑問に思いました。またパスワードを盗むという行動もサイバーブリーの一種と見なされていると知り、まじで?と思いました。こういった様々な方法を用い、今、テッキーなティーンたち(ハイテクな技術の持ち主のこと)はお互いいじめあっているのです。

FBで悪口に「Like!」…コンピューター上でのいじめ

まず一番多いコンピューター上でのサイバーブリーについて。これは以前のコラムでご紹介したソーシャルネットワークすべてを含みます。特に多いのはやはりティーンたちの使用頻度が一番高いFBです。たとえば「◯◯君大嫌い。死ねばいいのに」と誰かがFB上に書いたとします。「あーわかるわかる、この前テストでカンニングしてたしね」などと賛同する子たちがサイバーブリーのメンバーとなります。また、このステータスをLike!(いいね!)した子たちも無意識にいじめをサポートしているということでサイバーブリーの一員となってしまいます。

しかし、なかなかこういうステータスに反対意見を書く子は少ないのです。なぜなら「えーこういうこと言っちゃいけないよ」と書き込みをすれば、次は友達を守ろうとしたその子がサイバーブリーのターゲットとなってしまうかもしれないからです。さらに、FB上ではたくさんの共通の友達がつながっているため、友達をかばった子は「かっこ悪い人」扱いになり、評判が悪くなる可能性もあります。それを恐れて、反対意見を書く子が少なく、賛同のコメントが目立ってしまうのだと思います。

私たちティーンの場合、一人の友達とのFB上での共通のフレンドは、平均100人以上はいます。高校内での友達、また学区内での友達同士がつながっているため、一つのFBステータスはチェーンメールのようにいろんな人たちのもとへと回ってしまいます。この一つのステータスでいじめられた子は、皆から白い目で見られ、あらゆる噂が飛び交い、サイバーブリーが悪化し、取り返しがつかないことになっていくこともあります。これはあくまでも一つの例ですが、このようなネット上のいじめは本人にとっては恥ずかしく、また怖いものです。

サイバーブリーは、サイバー上に証拠が残るため、通報はしやすいのですが、一旦出てしまえばなかなか消すことが難しく、永遠にネット上に残ってしまうという深刻さがあります。また、それはステータスだけにはとどまりません。嫌な写真をアップロードされ、わざわざタグ付けまでされたり、ヘイトグループ(いじめ目的で作られたグループページ)を作られたり、自分のアカウントをハックされたり、様々な方法でサイバーブリーは続くのです。

盗撮画像をアップロードされ、自殺に追い込まれた大学生もいる

アメリカで多くの反響があったのが、2010年の9月に起きたある有名大学の学生・タイラー君の自殺でした。理由はサイバーブリーです。彼はトップクラスのバイオリニストとして将来を有望視されていました。

が、彼のルームメートが意識的にゲイのタイラー君をバカにするため、部屋のコンピューターのウェブカムでタイラー君ともう一人の男の子の性生活を隠し撮りし、ネット上にアップロードしたのが原因でした。

このようにいじめる側は、あらゆる方法を駆使し、アタックをしてきます。一度ネット上にあがってしまったものは広がるだけ。彼のように逃げ場を失い、苦しくて自殺を選ぶティーンが増えていくのはとても悲しく、やるせないことだと思います。

先ほど少しふれたパスワードを盗むサイバーブリーですが、これも犯罪であり、ネットいじめの一つです。いじめっ子から見れば、ターゲットのパスワードを盗むが勝ちで、そのパスワードでアカウントをハックし、好き勝手に使いはじめます。例えばTwitterアカウントをハックした場合、本人になりきって暴言をつぶやく。また、Facebookであれば、チャットで友達に嫌われるようなことを言い続け、ハックされたアカウントの持ち主がいじめのターゲットになるように仕掛けます。

さて、次回は、ケータイやゲーム上でのサイバーブリーやその解決策などについてお話をしたいと思います。Talk to you soon!

結城喜宣 「アメリカ女子高生デジタルネイティブ日記」バックナンバー

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