10月中旬。娘は受験のエッセイ(小論文)に追われている。だから、今回、原稿を書くのは無理だろうと思っていたが、意外にも「ちょっと待ってね」と言って、送ってきた。彼女は受験生だから、トピックも受験のことが一番のようである。日米の受験の違いを書いているため、多少説明調になっているのをお許しいただきたい。
これが、少しでもアメリカの大学を受験しようとしている現役高校生の目に留まればいいな、と思う。では、早速、娘にバトンタッチしよう。
センター試験は何回でも受けられる?
10月、11月はアメリカの大学受験まっただ中。受験といっても日本のようにセンター試験を受け、その後、各志望校に出向き、試験を受けるのとは少し違う。シニアたち(高校4年生)は毎日学校や放課後、ラップトップを持ち歩き、必死になって書類をかき集めている。こちらの受験はすべて書類だけ。そしてすべてデジタルで完結する。
Scholastic Assessment Test (SAT)、そしてAmerican College Test(ACT)というセンター試験のようなテストがアメリカにもある。SATとは3教科、リーディング、ライティング、そしてマス(数学)に分かれていて、2400点満点である。 ACTは4教科、リーディング、ライティング、マス、そしてサイエンスの36点満点。これらは1年に6回くらい行われる全国試験で、自分の目指す点数が出るまでトライすることができる。
どちらか得意な方を受け、点数を出せればいい。申し込みから点数発表、大学に点数を提出するまですべてがcollege board というサイトで行われる。ここでは個人のプロフィールを作り、テストの点数、そして興味のあるメジャーや学校を登録する。すると勝手に大学からインフォメールが届くようになり、あっと言う間にメール、そして家の郵便箱が満杯になる。
たとえば、ダイレクトメールにはこんなコピーがついている。
“RINKO YOU ARE THE BEST”
“Rinko we need you at our school”
“Rinko you are special”
“RInko you are a dignified student”
このサイトには受けたテストすべての履歴が残るため、できるだけ最小限に留め、点数を出すのがベストである。
「Common Application」という願書サイトからエントリー
私立を受ける場合、Common Applicationという願書サイトのようなウェブサイトで履歴から成績、エッセーまで全てを入れ込み、各学校に送信する。これはアメリカ全国ほとんどの私立校が使っているサイトであり、とても便利である。まず初めに自分の受ける学校を探し、登録する。するとその学校の受験システム(推薦、早受験、普通受験)から締め切り、アディショナルエッセーなどのリクアイアメントが自動的に出てくる。
エッセーは Common Applicationが指定する2つのトピックに加え、各学校が指定するエッセーや質問に答え、タイプしたドキュメントをアップロードする。個人情報や高校情報、今までのボランティア活動、クラブ活動やスポーツの経験などを投稿するコラムもあり、できる限り自分の活動自慢をする。テストの点数や高校の4年間の成績に加え、大学は私たちの課外活動やリーダーシップをみてくれる。そのため、SATの点数と成績が飛び抜けてよくても、その他の活動をしていなければ、点数が普通でたくさん活動している人に負けるかもしれない。このように大学は人のバランスを見ている。とても公平なシステムだと、私はアメリカに来て思うようになった。
推薦状を書いてもらう先生を招待する「Naviance」
つい最近始まったもう一つのシステムがナビアンス。これは高校によって使わない学校もあるが、私の高校の場合、先生やカウンセラーと情報交換するために使っている。
ナビアンスではcommon applicationとcollege boardから情報をつなぐことができ、登録している大学、そして今までのテスト履歴がすべて一つのページに表示される。先生とカウンセラーに推薦状を書いてもらわなければいけないため、 送ってほしい大学のチェックボックスにチェックを入れ、指定した先生にインビテーションを送る。するとその先生、そしてカウンセラーが書いた推薦状が、私の願書の一部となる。
この他にナビアンスでは過去の学校の生徒の合格率、入学率などの割合なども出てくる。また、自分のGPA(成績平均)とSAT/ACT の点数と、その受ける学校の合格者平均を比べてくれる。わかりやすいのが利点だが、現実を目の当たりにして落ち込むこともある。
生徒と親がデジタル上で共有する成績書
アメリカでは成績書はすべてデジタル式になっている。私の学校の場合はmyiusdという学区の成績書制度がある。ここで毎日のように先生たちがクイズやテスト、宿題の点数をアップする。昨日98%だったのが、今日にはテストの点数が入って3%低くなったり、宿題の点数が入ってあがったりと日々成績が上下する。この成績書を生徒と親が見ることで生徒たちのモチベーションを上げようとしているのだ。
次のテストで頑張らないとまた総合点が下がる。そんなふうに見てわかるから頑張れる。提出し忘れた宿題や、欠席して受けていないテストなどもわかるため、生徒側としては非常にありがたい。また先生が入力ミスしたのを見つけられるため便利である。
大学にトランスクリプトという合計成績書を出さないといけない。このトランスクリプトの取り寄せもネットで済ませることができる。必要な枚数を希望し、クレジットカードで払えば、自動的に学校から大学へトランスクリプトを送ることができる。
このように様々なウェブサイトを使いながら情報をつなぎ、一つのデジタル願書を作ってゆく。締め切りまでに送信すれば完了で、一切、紙の書類を送らなくてもよい。(デジタル願書を受け付けない学校を除く)
アメリカでは、インターネットやコンピューターの進んだテクノロジーを使い、これからもっともっと発達した大学受験制度が作られていくに違いないと思う。
さて、日本はどうだろう?
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