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リアル“空飛ぶ広報室”のPRマインド(2)

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心意気ある部下はほめて伸ばす

広報室長として室のメンバーのためにしてあげられることは根回し。「難しい案件は、まず自ら調整に動き、広報方針について航空幕僚長まで了解を取り付ける。後ろ盾を与えて部下が動きやすくするのです」。広報室長がトップをおさえ、メンバーが現場をおさえ、その相互信頼のもとに素早い仕事をすることでメディアからも信頼を得られる。

柴田恭兵演じる鷺坂広報室長のモデルとなった荒木正嗣氏。現在は航空自衛隊浜松基地司令。

荒木氏は空幕広報室に赴任する前、防衛省全体の広報を担う統幕広報班で約2年間、報道対応を担当したことがあった。「千本ノックを受け続けるような守り一辺倒の仕事で、正直苦しいばかりでした。その反動からか、空幕広報室長になった時は、各種装備品や部隊・隊員などの商品が手駒になり、これからは攻めの広報もできると嬉しかった」。

統幕では報道メディアとの付き合いしかなかったため、広報班の仕事相手である映画、テレビドラマ、情報番組などの関係者との付き合い方は全て、経験の長い部下から教えてもらった。

航空自衛隊に広報の専門家はいない。しかし、「広報は特別な仕事ではない」と荒木氏は話す。「孫子の兵法に『彼を知り己を知れば百戦殆からず』とある通り、各メディアとその向こうにいるユーザーのニーズを把握し、航空自衛隊の売りを認識して攻めれば成功できる。どんな仕事でも、基本は同じ」だからだ。

ただし、心意気は大切にした。広報は、やらなければそれで済むが、やればやるほど雪だるま式に仕事が増えていく。それでも組織の生の姿を伝えようと奔走する部下はほめて育てた。「組織に広報を根付かせるためには、絶えず一歩でも前進させようとする心意気が重要。広報は組織のブランディングに大きな役割を果たすと信じていたからこそです」。

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written by kouhoukaigi