O2O、自然認識の有用性を探る「テクノロジーで進化する モバイル端末の活用可能性」

share

 今やモバイル端末は日本全国1億2000万台、つまりひとり1台持っている状態とされ、そのうち2000万台以上がスマートフォンだともいわれています。
 モバイル技術は日進月歩。ARやO2O(オンライン・ツー・オフライン)など次々と新たな技術や手法が登場し、「スマートフォン×テレビ」「スマートフォン×CM」など既存コンテンツとの組み合わせによるイノベーションが生まれています。
 こうした最先端の技術をいかにマーケティングに活用するか。どんな未来が拓けるのか。モバイル技術を用いて広告やキャンペーン、アプリを企画・制作し、モバイル技術の可能性と活用の難しさに日々直面している3名にお集まりいただき、モバイルテクノロジーが拓く企業コミュニケーション、マーケティングの未来像を徹底的に議論してもらいます。

対談1

上路健介氏 × 二宮功太氏 × 廣田周作氏

左から
・二宮功太氏 サイバーエージェント ネットビジネス総合事業本部 クリエイティブ・テクノロジー局 局長/プランニングディレクター
・上路健介氏 博報堂DYメディアパートナーズ ビジネス開発推進局 ビジネスアーキテクト部 チーフテクニカルメディアプロデューサー
・廣田周作氏 電通 プラットフォーム・ビジネス局 電通 開発部 コミュニケーション・プランナー


『宣伝会議』2012年10月1日号より

スマートフォンと技術 組み合わせれば可能性は無限

上路 私は、放送局からの転職組で放送技術者兼IT技術者です。社内で開発チームをつくり、放送局や出版社向けのデータベースの開発から始まり、ロケーションベースのサービスや画像認識、音声認識のサービスの提供を行っています。

テレビ番組で紹介された映像や情報を、位置情報付きで格納できるASP「Rocket Box」や、位置情報を付加して電子書籍を生成できる「Rocket Press」などを提供し、NHKや朝日新聞、フジテレビなどと組んでアプリを制作しています。

「Location Base Magazine 龍馬伝」はNHKの大河ドラマ「龍馬伝」のロケ地動画やドラマの名場面、長崎や京都など坂本龍馬ゆかりの地に関する自治体やタウン誌などが発信するオススメスポット情報などを盛り込んだアプリです。

旅行者向けに、現地で立ち上げるとオリジナルフレームで写真が撮れる特典も付けました。楽天トラベルとタイアップして、「アプリで歩くツアー」と銘打ち、アプリを見ながらロケ地を回る長崎ツアーも企画。ツアー客には皆iPadを手にして旅をしていただきました。これは、ロケーションベースのGPSとコンテンツの接点をつくるというコンセプトで展開したアプリです。

また、朝日新聞と共同で「新聞×動画」というコンセプトの簡単なマーカー「A−CLIP」も提供しています。アプリ起動中のスマートフォンを、朝日新聞に掲載されている広告内のマーカーにかざすと動画やクーポンなどのコンテンツが楽しめます。

私が手掛けているものは「スマートフォン×マスメディア」が中心。モバイル技術に関心のある人だけにしか利用されないアプリではつまらないと思うので、マスメディアのコンテンツを見る人、つまり、それほどスマートフォンを使わない年齢層にも利用してもらえるアプリを制作したいと考えています。

廣田 私の今の専門分野はソーシャルメディアに関するソリューションの開発などです。私のいるプラットフォーム・ビジネス局では、文字通りプラットフォームを提供することがミッションです。

最近、私たちが力を入れているのは「テレビ×ソーシャルビューイング」です。「ソーシャルビューイング」とは「パブリックビューイング」を使用していただいていて、お茶の間でテレビを見ながら、趣味や志向などソーシャルグラフで視聴者同士が繋がる視聴体験です。

今年のロンドンオリンピック開催に際し、NTTドコモとJOC(日本オリンピック委員会)が共同で「1億2500万人の大応援団」というアプリを提供し、そこに当社の「Click AD(クリックアド)」というO2Oの技術を使用していただきました。場所や音声の情報をアプリ側でキャッチし、そこからクーポンなどを取得できる仕組みです。オリンピック期間中に放送されるNTTドコモのCM音声をスマートフォンに認識させるとプレゼントが当たるというキャンペーンも展開されていました。

テレビCMを見た人がアプリを利用し、アプリ利用者がさらにプレゼントキャンペーンに応募するという、「O2O2O(オフライン・ツー・オンライン・ツー・オフライン)」の新たなプラットフォームができたと考えています。

二宮 私はクリエイティブ・テクノロジー局の責任者として、新しい広告のかたちを模索し、さまざまな実証実験を繰り返しながら新しい広告をクライアントに提供しています。

また、広告活用を視野にいれた、新たなソリューションの開発も行っています。今まさに、スマートフォンと既存のメディアやコンテンツを組み合わせた「スマートフォン×◯◯」、なかでも、その組み合わせを可能にするテクノロジーであるNFC(Near Field Communication=近距離無線通信)に注目しています。

今年の夏に開催された音楽フェスティバル「ap bank fes ’12 Fund for Japan」では、「リアルいいね!」という企画を行いました。これは、現実世界にクリッカブルなポイントを作り出し、WEBへ向かうリンクを作り出すというコンセプトで企画したもので、フェイスブックで事前登録した人に、受付で特製ICチップを搭載したリストバンドを渡し、会場内に設置された数十箇所の「いいね!ポイント」にタッチしてもらうというもの。すると情報が自動的にフェイスブックに投稿されます。

「いいね!ポイント」には、NFC搭載のスマートフォンを活用しています。全国3カ所で行われた「ap bank fes ’12 Fund for Japan」では数千人がこの企画に参加し、合計で数万を超える「いいね!」が集り、ap bankが手がける環境や食、復興支援などに関する取り組みの情報が広がりました。

今後、予想されるNFC搭載のスマートフォンの普及により、今とは状況が逆転して、リアルなものにICチップが搭載され、ユーザーはNFC搭載のスマートフォンでタッチするだけで情報の取得や発信ができる時代が近づいていると思います。

≫次ページ「モバイル市場はこれからも伸びる 日本は3G回線先進国」ヘ続く


【関連記事】
「生活者の囲い込む」の勘違い

written by sendenkaigi

Follow Us