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O2O、自然認識の有用性を探る「テクノロジーで進化する モバイル端末の活用可能性」

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ツールオリエンテッドでなく課題解決できる技術を

ninomiya

にのみや・こうた 2004年にサイバーエージェントに入社。広告プランナーとして飲料、保険、化粧品、通信系の大手クライアントのウェブキャンペーンプランニング、 デジタルマーケティング業務支援に携わり、TIAAや モバイル広告大賞などで受賞。デジタルやソーシャルテクノロジーを活用したプランニング/クリエイティブ組織 を立ち上げ、事業責任者に就任。広告主の課題に対 してソリューションとなるデジタルとリアルを掛けあわせた新しいコミュニケーションプランニングに従事。

二宮 重要なのは、技術がどのような課題を解決しているのかということだと思います。

廣田 技術自体の活用が目的というわけではなく、場所が重要なケースではNFC、放送との連動だと音声認識など、クライアントの課題や目的に合う技術をチョイスする視点が大切です。技術とビジネスのニーズが合うところを見出さなければなりません。

二宮 NFCや顔認証などリアルを絡めた技術の場合、ソーシャルメディアだけでなくリアルまでのデータすべてを取ることができるので、取得できるデータの幅が広がります。

廣田 一方で、データが取れすぎてしまうあまり、KPIやKGIを丁寧に設定せずにプロジェクトを始めてしまうと、何が目的なのかわからなくなってしまうことがあります。これからはより一層データが増えていく中で、それを整理するソリューションも提供しないと本末転倒になると常々思います。

上路 廣田さんがおっしゃるとおり、今はアプリが増えすぎてKPIを設定しづらくなっていて、マーケティングに活かすのは難しいですよね。ソーシャルメディアはアプリほど数が多くないので、マーケティングに活かしやすいのではと思います。

正直、スマートフォンの技術だけを軸に展開しようとすると、アプリは飽和状態ということもあり、日本だけでは広がりに限界があります。やはり、アプリではKPIは取れないと思います。しかし、日本のアプリをそのまま海外で展開しても、海外では3G回線が未発達で、しかも手間のかかる作業を億劫に思う人種が多いので通用しません。

日本人はオタク気質があり、ひとつのことに熱中する人が多いため、複雑な手順を踏んだアプリでもダウンロードしてくれます。海外の場合は2タッチぐらいで終了しないと利用してもらえませんね。

廣田 ダウンロードしてもらうところがまずネックになりますよね。

二宮 アプリがメインの企画の場合、アップルやグーグルの変化に左右されるところはリスクですよね。そもそもOSに合わせて異なるプログラムで開発しなければなりませんし、アップルやグーグルの審査基準が変わればそれに合わせてプログラムを作り直さなければなりません。今後は色々なデバイスに対応したレスポンシブWEBデザインなども普及すれば、ブラウザメインで行うキャンペーンが増えるのではと思います。

廣田 今後、アプリは絞り込まれていく可能性がありますよね。アプリ側でリッチコンテンツでなければならないキャンペーンは減って、ブラウザによるキャンペーンに回帰していくと私も思います。リッチなものをアプリに詰め込むのでなく、シンプルで単機能なものをブラウザ側で表示させるようになると思います。

上路 来年以降はアプリがこれだけもてはやされているかも分かりませんからね。

テクノロジーは購買に繋がるか現地に勝る感動はない

ninomiya1

二宮 リアルな購買にどう結びつけるかが課題ですよね。O2Oは一般的に「オンライン・ツー・オフライン」の略とされていますが、今は「オフライン・ツー・オンライン」のほうが自然だと考えています。ファッションアイテムなど店頭でいいなと思ったものを「リアルいいね!」してNFCでソーシャルブックマーク代わりに使い、モバイル上にストックしておく。そしてストックした商品をまとめてオンラインで買う。スマートフォンの発達によってこのようなことがワンタッチでできるようになると、ユーザー行動にも変化がでてきますし、世界観が変わると思います。

廣田 アプリから店頭に誘導し、既存のCRMあるいは販促の文脈にいかにテクノロジーをのせるかが重要だと思います。すでに多くの会員を抱えるオウンドメディアに組み合わせるのもいいのではないでしょうか。いきなり「O2O2O」と言っても難しいかもしれません。

上路 「現地」にないものをいかに技術で補うかという発想も必要ですね。旅行や散歩に関するアプリの場合、現地に勝る感動はないと考えます。4月に旅行比較のポータルサイト「Travel.jp」と業務提携して、映画「テルマエ・ロマエ」のロケ地情報や全国の温泉情報、各温泉地への旅行申込み機能、温泉地限定で使えるフォトフレームなどを搭載した「テルマエ・ロマエ温泉ナビ」を発表しました。

現地に実際に行かなければ利用できないサービスを搭載することで、リアルな行動に繋げようと考えたのです。

さらに、今年2月にリリースした「究極のさぬきうどんナビ『Udooon!』」では、地元タウン誌の編集部オススメコースでうどん店を巡ったり、香川旅行を予約できたりします。実は、香川にあるさぬきうどん店は、営業時間内でも麺がなくなれば営業終了してしまいます。営業終了時間がかなり早い店も多いため、せっかく現地に行ってもうどんを食べられない、お土産が買えないという旅行客が現れます。

そこで、「お土産ECサイト」を充実させ、現地で食べられなかった人の"飢餓感"をデジタル上で満たすのです。観光地にないものをモバイル技術で補う発想です。

廣田 それは面白いですね。

二宮 確実に購買に繋がる発想だと思います。

上路 まだ繋がっていなかった「映画と温泉」「うどんとお土産屋さん」というマーケット同士を技術の力で繋げるアイデアです。こうした可能性はまだまだ眠っています。

≫次ページ「どこに気付きを与えるか新たなタイミングを発掘する」に続く


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written by sendenkaigi