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取材が来る店(2)―「お店の広報は、雑誌に限る」という理由

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飲食事業においては、「テレビに出る」「雑誌に載る」といったメディア露出があるかどうかが、その勝敗を左右します。6月27日に宣伝会議から発売の書籍『取材が来る店』では、メディア、店舗設計・プロデュース、店舗経営の三つの実務に精通する著者が、メディアの目を通して見た魅力的な店のあり方や、店を流行らせるための広報術を伝授します。

『取材が来る店』著者による全3回の連載をお届けします。


吉野信吾(プロデューサー)

『取材が来る店』が本日発売となりました。

本書は、私がメディア、店舗設計・プロデュース、店舗経営の三つの現場を実際に経験した立場から、

メディアの目を通して見た魅力的なお店とは? メディアが取材したくなるようなこととは? といったことを綴っています。

これまで飲食店経営について書かれた本の多くが、経営手法、人材教育、コスト管理といった類のもので、メディアとのかかわりあい方についてや、メディア側からの視点で書かれたものはありませんでした。なぜなら、この三つの現場を実際経験したことがないからでしょう。

飲食店経験者であれば、店づくりの観点から語ることはできますが、店をメディア側の視点で捉えることは媒体の中で働いた経験がなければ培えないものです。

また媒体OBのグルメ評論家であったとしても、店舗設計やプロデュースの実務経験がある方はなかなかいません。

「テレビに出る」「雑誌に載る」といった広報は、「金も無ければコネも無い」という小さなお店にとって最も力を入れなければならないもの。本書では、この「店を流行らせるための広報」という切り口を貫いています。

さてここでは、「お店の広報は雑誌に限る」という話をしましょう。

メディアには、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞、インターネットなどがありますが、これらメディアには食物連鎖的なものが存在します。

飲食店の経営者は、自分の店を流行らせるためにメディア界の構造を知っておく必要があります。

テレビのネタ元は、国内外の通信社など多岐にわたりますが、店紹介という企画では、雑誌が有力な情報源となります。

「ミシュラン日本版で3つ星の付いた店を取材する」という明確な取材であれば簡単ですが、「星は付かないけれど、ミシュラン日本版3つ星クラスの実力を持つ店を探し出して取材する」といった、高度な企画をこなすためには、かなり深い情報が必要です。

通常、食専門のテレビ番組以外は同じ企画を何度もやりません。ですからこの手の店の情報は希薄ですし、バラエティー番組内でのコーナー企画のような場合は、なおさら情報収集には苦労するのです。

そこでスタッフがネタ元とするのが雑誌なのです。

例えば「飲食店紹介の雑誌」の編集者は、一年中お店巡りをしていて、単発の企画で店を探しているテレビのスタッフの足元にも及ばないほどの情報を持っています。

ましてや「ミシュラン日本版3つ星クラスの実力を持つ店」であれば、そうそう気安く下見もできません。

しかし、こうした雑誌の編集者であれば未知の店であっても経費で調査ができますし、人脈が情報の質を厚くしています。

雑誌業界内で一目置かれる雑誌で採り上げられた記事は、雑誌業界内に広がり、さらにはそれをネタにしたテレビ、新聞へというように拡大していきます。

ですから店を広報するなら、まずは大元にネタを食いつかせることです。まさに、上位から下位への逆・食物連鎖ですね。

流しそうめんを上流から流し始めるのと理屈は同じ。

質の高い雑誌と注目度の高いページに掲載されることこそが、飲食店にとっての最高の広報術です。

ただし、そのページを担当している編集者もまた質が高い。この質の高さの集積こそが、雑誌の格となっているのですが、いかに彼らの琴線に触れたらいいのかについては、本書で詳しくお伝えします。

次回は、「気=金=ホスピタリティ」についてお話します。


吉野信吾(よしの・しんご)
1958年生まれ。黄金期の雑誌『POPEYE』の編集者を経て、商業施設や飲食店舗の設計プロデュースを数多く手がける。投資計画から設計、メニュー開発、運営、経営までの一貫した業務経験が豊富。多彩なマスコミ・ネットワークを駆使したプロモーションと、数多くの出版プロデュースも手がける。ラテンアメリカ・スタイルの内装設計プロデュースの先駆者。日経BP『流行る店』、マガジンハウス『もったいない』など著書多数。

【「取材が来る店」バックナンバー】

written by kouhoukaigi
いままで誰も書かなかった「取材が来る店」
飲食事業においては「雑誌に載る」といったメディア露出があるかどうかが、勝敗を左右する。メディア、店舗設計・プロデュース、店舗経営の三つの実務に精通する著者が、メディアとの上手な付き合い方や、メディアの目を通して見た魅力的な店のあり方、店を流行らせるための広報術を伝授する。

定価:¥ 1,470円 発売日:2013/6/27

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