サイバーエージェントはTikTokにとどまらず、デジタル領域のメディア・プラットフォームが持つ商品の理解度や顧客提案力、運用、制作体制などあらゆる方面で国内トップクラスの体制を誇る。その強みの源泉は何か。インターネット広告事業本部を率いる小池英二常務執行役員に、TikTok for Business Japanの稲垣勇登執行役員が聞いた。
TikTok専門部署を2021年に立ち上げ、一番を狙う
稲垣:これまでサイバーエージェントの皆さんとは様々な形で関わってきましたが、ミッションに基づいた体制、戦略、姿勢は素晴らしいと感じています。営業、コンサル、クリエイティブ、データ、計測など広告マーケティングにおける各ファンクションにおいてプロフェッショナルな人材とチームを揃え、それぞれの領域で深さと幅を出すための動きがダイナミックに行われています。
また、ミッションステートメントが明確で、全社が常に同じ方向を向いているため、そのミッションを達成するという大目的の下に、部署を超えた連携も効率的に実現されています。このような代理店と強固なパートナーシップを持てていることは、大変光栄なことだと感じています。
小池:ありがとうございます。クライアントの広告効果を最大化するというミッションに向かって、全組織が一貫性をもってブレずに取り組んできたことが、僕らの競争力の根底にあると考えています。
マーケットにおける競争優位性という点でも、運用力や技術力はもちろんですが、その前に情熱と詳しさで勝ってきたという自負があります。会社が成長しても、ベンチャー企業と同様に営業がフロントマンとしてのプライドを持って、プラットフォームやプロダクトをしっかりと理解していくことを大切にしています。
TikTokの専門部署「TikTok局」は2021年11月に立ち上げました。当時からショート動画の先駆者は明らかにTikTokであり、プラットフォームとしての成長が著しいと判断したからです。
ただTikTokに限らず、僕らはそれを「全張り」で対応しています。どのプラットフォームやプロダクト、サービスにおいても、日本で一番を取ると決めているからです。TikTokは今や誰もが認める優れたプラットフォームですが、これからも、僕らはその姿勢を変えることはありません。
サイバーエージェント 小池英二氏
日本企業で初認定、エージェンシーバッジ取得の本当の効果
稲垣:サイバーエージェントが日本で初めて取得したエージェンシーバッジ(認定代理店バッジ)は、TikTok for Businessが認定するTikTokマーケティングパートナーという枠組みの中にあるバッジの種類のひとつです。TikTokが広告メディアプランの中で欠かせないプラットフォームになっているという自負を背景に、我々のプラットフォームを活用してマーケティングの価値を最大化できる広告代理店とのパートナーシップをより強固にしていきたいとの思いから、グローバルで展開しているものです。
エージェンシーバッジは、グローバルで統一された認定定義を満たし選考に通過した代理店にお渡しするものであり、日本だけでなくグローバルの広告マーケットにおいて、今後のビジネスやパートナーシップにおいてご活用いただきたいと考えています。この認定基準は非常に厳しく、アッパーファネルからローワーファネルまで、TikTokの広告ソリューションをフルファネルで活用し、最適なサービスを広告主に提供できるかどうか、という点が非常に重要です。
そのためには、各プロダクトの深い理解、TikTokファーストな動画の制作体制とナレッジ、各ファネルにおける縦型動画広告にあるべき計測の推奨、TikTok for Businessを活用する上で最適なKPIの設計などが必要とされます。配信戦略から、予算の管理、効果の最適化、クリエイティブの高速PDCAの実現、計測およびレポーティングまで、全てのプロセスとサービスを1社の中で完結し、それぞれをクオリティ高く提供できることが求められます。
今回のエージェンシーバッジの取得にあたり、計100名を超えるサイバーエージェント インターネット広告事業本部の方々と、あらゆる領域でプロジェクトや営業活動をご一緒し、営業、運用、クリエイティブの各体制を深く見させていただきました。その中で、上述の認定定義を満たしているだけでなく、国内広告代理店において売上高最上位という昨年の実績も加味し、TikTokマーケティングパートナーの第一号認定代理店としてバッジ提供に至りました。
今後も、日本のデジタルマーケティング業界におけるオピニオンリーダーとして、TikTok for Businessを活用した新しいマーケティングの在り方を一緒に作り上げていきたいと考えています。
TikTok for Business Japan 稲垣勇登氏
小池:クリエイティブ、計測、効果の最適化など、全ての指標で評価をいただけたことで、TikTok for Businessのグローバルから日本で唯一認定をいただき、社内の士気はもちろん、グローバル企業や国内企業から多くお声がけいただいております。
何より最も重要なのは、バッジをいただいたことでTikTokと当社のパートナーシップがより強化されるということの証明になったこと。お互いにより深く連携し合い、肩を組んで取り組んでいくことで、クライアントにより高い広告効果をお返しすることにつながると考えています。実際にクライアントの期待も高まっており、オファーも増えています。
日本では、TikTokとTikTok Liteを合わせて、毎月3300万人以上が利用していることから、TikTok for Businessを通してマスにアプローチできる強力な広告プラットフォームに成長しています。かつターゲティングもできるので、アッパーファネルでの活用も含め、僕らの提案の幅も広がって好循環にあります。
日々ディスカッションを行い、広告効果を追求
小池:TikTok局を立ち上げたときもそうでしたが、新しい取り組みを行う際に最も重視すべきは誰をリーダーにするか。覚悟や情熱を持った人をリーダーに置くべきです。それによって、パートナーであるプラットフォーマー側のコミットメントの度合いが格段に変わってくるからです。
TikTokの皆さんとのお付き合いも、まずはパートナーである皆さんとリーダーの関係をしっかりと築くことから始めました。日々の運用の中でも、現場やトップはもちろん、グローバルの開発側の方々ともディスカッションの場を設けていただいて、僕らなりにTikTokのレコメンドシステムを学んでいます。
稲垣:TikTok for Businessでは、アジア太平洋地域はもちろん、グローバルの各市場の先進事例が日々共有されています。この1年は、広告ソリューションだけでなく、特にクリエイティブの制作支援にも投資しており、生成AIを活用した新たなクリエイティブソリューション「TikTok Symphony」を先日ローンチしたのもその一環です。
縦型動画広告による態度変容効果を最大化するため、サイバーエージェントのデータ、テクノロジー関連の皆さんにもご協力いただきながら、日本のマーケットにおける勝ちクリエイティブの定義、再現性の担保、量産方法などについて日々の定例会などで議論し、試験運用などを活発化させています。
小池:縦型動画の市場が伸び、これまでテレビCMなどに用いられてきたクリエイティビティが大きく変化するタイミングに来ています。サイバーエージェントとしても2024年の初期に、「縦型動画戦略局」という縦型動画を掘り下げて提案をする専門チームも立ち上げました。ここでクリエイティブ含め、計測やレコメンドシステムをしっかりハックできれば、さらに大きな成長が見込めると考えています。
広告効果の可視化に一緒に取り組みたい
稲垣:TikTokは、トレンドを発信するプラットフォームであり、新しく好きなものに出会えるプラットフォームでもあります。ユーザーコンテンツであれ広告であれ、TikTok上で新しく出会ったものに対する好意度は非常に高いと自負しているので、サイバーエージェントの皆さんには、態度変容などのマーケティング効果の可視化に向けぜひご一緒いただきたいと思っています。
具体的には、サイバーエージェントのAIやデータサイエンスのプロフェッショナルな方々と共に、メディアミックスや統計的因果推論などを活用した取り組みを加速していきます。TikTokのマーケティングインパクトを深く可視化し、日本のマーケットにおけるTikTokの本質的価値を証明していきたいですし、TikTokをマーケティングプランの軸に置いた新しいマーケティング提案、メディアプランの型化なども進めてきたいと考えています。
近年では、TikTokを始め、動画メディアは激動の時代を迎えており、従来のマーケティングアプローチでは生活者を捉えきれないケースも増えてきています。ラストタッチアトリビューションを成果の評価定義とする従来型の配信戦略に囚われず、パフォーマンスマーケティングの在り方もTikTokを中心に考えていくべく、今後もサイバーエージェントの皆さんにはご協力いただきたいと考えています。
小池:ぜひ弊社のデータ本部、アルゴリズム研究センター、縦型動画戦略局などすべての体制、ソリューションをぶつけて一緒に取り組んでいきたいですね。
我々としては、TikTokのようなグローバルプラットフォームとお付き合いするメリットのひとつに、我々がそのレコメンドシステムを理解してクリエイティブのローカライズなどをできれば、海外でも戦っていける可能性が広がります。そのためにも、まずは国内でしっかりと実績を積んでいきたいと考えています。
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TikTok for Business Japan