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コラム

CSR視点で広報を考える

地震などの事業継続計画で注目されるコミュニケーション手段

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地震発生から72時間が重要

地震など広範囲な被害を伴う災害が発生した場合、初動が極めて重要となる。実行者の迷いや判断の遅れがないよう、非常事態発生後の初動をシンプルでわかりやすくし、予め取締役会の承認を得て策定したアクションプラン(事業継続計画=BCP)に則り、誰の指示を受けることなく自動的にアクティベイト(起動)させる自発型BCPを作成している企業も多数ある。

しかし、パニックになった人々を統制するのはマニュアルではなく、やはり人である。簡単な作業とはいえ、少しでも想定外のことが発生すれば判断を誤り、また、わかっていても他人から肩を押されないと最終判断ができない人も中にはいる。人とはそういうものである。

そうした事態に備え、コミュニケーション手段を残し、最終決定者がトップダウンにより行う活動は軍事行動にも似た機動戦略(Maneuver)である。

東京の住民に対する現状の地震の脅威としては、東京湾北部地震(直下型地震想定)があり、今後30年間で発生確率70%となっている。

マグニチュード7.3とされるこの東京湾北部地震は、冬の夕方18時で発生した場合に最も被害が大きいとされ、固定電話は都内全体で不通率7.6%、区部では10.0%に及ぶ。また、携帯電話などは区部東部や南部を中心に不通率が高まるとされている。揺れや火災に伴う直接損害によって電気のインフラ設備が破壊され、供給支障が都内全体で12.9%、160万件に及び、少なくとも地震発生後6日間はコミュニケーション活動に大きな支障が出ることが想定される。

東京都の想定被害においても停電率、不通回線率の少なくとも一方が50%以上となるエリアが多数発生することを前提としている

筆者は、企業との間に、地震発生後の危機管理プランの変更や修正をアドバイスする特別なコンサルティング契約を締結している。予想不可能な事態への判断材料を提供し、企業の危機管理対策本部が行う経営判断の一助となるべくアドバイスを行うものである。

その際に、重要となるものもコミュニケーション手段である。東京都は停電による影響や携帯電話などの輻輳により都内でもエリアによっては15日間程度の通信の実質的支障が発生する可能性を示唆しており、企業における事業継続や経営判断の遅滞が発生しないよう予め通信手段の選択と準備が必要となる。

筆者は、スマートフォンのほか、ガラケー2機種(ドコモとau)、mobile PCとしてアップルのMacBook Air(プロセッサー2GHz Intel Core i7、メモリ8 GB)<1>と地震時の輻輳のかかりにくいEMのPocket Wifiを使用している。さらに、地震直後に想定される電気供給の停止や制限に伴い電気の調達が難しい事態に備えて、電池のみで使用できるPHS<2>、さらにこれらの機器の充電に対応可能な簡易型太陽光発電装置(ソーラーパネル)<3>を予め装備している。

過去においては無線や衛星電話などの手段もあったが、時代の変遷と通信技術の発展に伴いコミュニケーション手段も変化しつつある。常にモニタリングし、状況にあったものを複数の手段で整備されておくことをお薦めしたい。

shirai_mobile PC
<1>
shirai_PHS

<2>

shirai_ソーラーパネル

<3>


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