マーケティング部門×広報部門×EC部門
ターゲットを明確にし、
徹底的にインサイトを捉えることは、
専門性の高い商品・サービスにこそ必要な視点。
明治 健康事業本部健康事業マーケティング部 マーケティンググループ長 吉田 進 氏
よしだ・すすむ/1970年生まれ。1992年法政大学卒業後、明治製菓入社。菓子事業営業、健康事業営業を経て現職。健康事業におけるブランドの業務統括を担当。変化が激しく、さまざまな情報が錯綜する日々の業務の中で、伝えるべきことを的確に、かつ効果的に伝えるため、言葉の使い方・選び方を磨きたいと考えている。
より全社一体となることが求められる中
経営陣と現場社員をつなぐ“接着剤”と“通訳”の役割が
社内広報に求められている。
古河電気工業 経営企画室 IR・広報ユニット 土井晴子 氏
どい・はるこ/1991年古河電気工業入社。情報通信の企画管理部門で生産管理、予決算管理、宣伝などを担当後、2000年現部門へ異動。宣伝、商品広報などを担当後、2005年に社内広報専任へ。社内報作成のほか、トップの社内へのコミュニケーションを中心に担当。社員が会社の方針を理解し、各自のミッションに主体的に取り組むことを目標に設定。
ECは、当社にとって唯一の直接的な顧客接点。
写真を見るだけでは伝わりにくい機能・情緒面の便宜を
お客さまにいかに平易に伝えるかが要。
デザインフィル ブランド事業部 リテールグループ 主任 唐澤 渚 氏
からさわ・みぎわ/1982年生まれ。2005年多摩美術大学卒業後、デザインフィル入社。入社後、関連のWEB制作会社にてディレクターとなり、企業サイトの制作支援を行った後、2010年より自社製品のEC運営に携わり、コンテンツ制作・メルマガ・ブログ・問い合わせ対応など関連業務を一括して担当。
(以下、明治 吉田進氏=吉田、古河電気工業 土井晴子氏=土井、デザインフィル 唐澤渚氏=唐澤)
ターゲットを絞り込み、彼らに響く表現を追求する
土井 相手の立場に立って考えることは、社内のあらゆる部門で必要とされる力だと感じています。たとえば研究開発部門なら、「この技術があると、人々の暮らしはこんなに便利になる」のように。「相手にとってどんなメリットがあるのか」、インサイトを起点に考える習慣が芽生えると、仕事への臨み方も変わってくる気がします。
唐澤 確かに。オンラインストアでも、「この商品、良いでしょう?」ではなく、「この商品があると、こんなに楽しく生活できますよ」と、お客さまとってどんなメリットがあるかを提示すると、お客さまの反応が格段に良くなります。相手の立場に立って伝えることで、相手に喜んでもらえると、「大変だったけれど、やってよかったな」と自分のモチベーションを高めることにもつながります。
吉田 そう考えると、商品コミュニケーションも、まず相手を絞り込み、彼らのニーズ・インサイトを徹底的に捉えた上で、彼らにふさわしい商品を、ふさわしい言葉で説明することが重要と言えるかもしれませんね。そのふさわしい言葉を探すのが、私たちの仕事なのだと思います。たとえばスポーツサプリメント「ザバス」は、マラソン大会に出展してサンプリングを行ったり、栄養補給をテーマにセミナーを開催したりと、スポーツに関心のある人に対象を絞り、彼らに役立つコンテンツを提供する姿勢でコミュニケーションを考えています。商品販売ありきのイメージ広告をマス媒体で打ち出すだけではなく、スポーツをする人たちの関心事である栄養補給や肉体疲労の軽減について、「運動後は、体内にタンパク質が必要なんです」、「運動後30分以内にタンパク質を補給すると、リカバリーをサポートできますよ」と、言葉で説明していく。もちろん非効率な面もあるとは思いますが…。
唐澤 分かってはいても、ついターゲット設定で欲が出てしまいます…。しかし、「伝わる」表現を考える上では、ターゲットを絞り込み、彼らにピンポイントで響くメッセージを発信する潔さも必要なのかもしれませんね。
吉田 そうですね。網を広げすぎると、メッセージがブレてきますし、網の穴が広がって取りこぼしが多くなり、逆に非効率になることもあるのではないでしょうか。古河電工さんの社内報は、従業員の中で、意識しているコア読者層はいますか?
土井 「あちこち古河」については、「こんな子どもだまし、営業ツールには使えないよ!」と言う人ももちろんいます。全従業員に最適な編集は難しいですから、ツールごとにターゲットを絞り込み、そのインサイトにスポットを当て、より分かりやすい表現で掘り下げていくように意識しています。中には手元にあるファクトをすべて記載しないと満足してくれない人もいて、どう説得するかという壁に突き当たることもあります(笑)。
ターゲットを絞り込み、ニーズに合ったコンテンツを提供
吉田さんが所属する明治 健康事業マーケティング部では、商品販売ありきのイメージ広告をマス媒体で打ち出すだけではなく、「ターゲットを絞り込み、彼らに役立つコンテンツを提供する」という姿勢でコミュニケーションを考えている。
うがい薬「イソジン」では、朝日・読売・毎日3紙の小学生新聞に、インフルエンザ対策をテーマにした記事を出稿したほか、全国1万8000の小学校に、同様の新聞風のポスターを配布。「ニーズを捉え、そこに合った商品情報を載せていくという考え方。そのコミュニケーションにふさわしい表現を探すのが、私たちの役割だと考えています」(吉田さん)。
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