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社内の言葉にも“How to say”のスキルが必要!「伝わり、動かす」言葉の担い手は企業組織の活性化に貢献できる(1)

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マーケティング部門×広報部門×EC部門

あらゆる部門の人が“言葉の力”を使って社内外の人の心を動かし、さらには実際の行動を喚起することが求められている。しかしプロのコピーライターを目指す人でない限り、コミュニケーションや言葉について学ぶ機会は少ない。自身の仕事の課題を解決するために、コピーライティングのスキルを身に付けようと考える企業人3人に、仕事のどんな場面でそのスキルが必要と感じているのか、意見を交わしてもらった。(「宣伝会議」2月1日号掲載記事より抜粋。記事内に表記している所属部門・役職等は、誌面掲載当時のものです。)
吉田 進

ターゲットを明確にし、
徹底的にインサイトを捉えることは、
専門性の高い商品・サービスにこそ必要な視点。

明治 健康事業本部健康事業マーケティング部 マーケティンググループ長 吉田 進 氏
よしだ・すすむ/1970年生まれ。1992年法政大学卒業後、明治製菓入社。菓子事業営業、健康事業営業を経て現職。健康事業におけるブランドの業務統括を担当。変化が激しく、さまざまな情報が錯綜する日々の業務の中で、伝えるべきことを的確に、かつ効果的に伝えるため、言葉の使い方・選び方を磨きたいと考えている。
土井晴子

より全社一体となることが求められる中
経営陣と現場社員をつなぐ“接着剤”と“通訳”の役割が
社内広報に求められている。

古河電気工業 経営企画室 IR・広報ユニット 土井晴子 氏
どい・はるこ/1991年古河電気工業入社。情報通信の企画管理部門で生産管理、予決算管理、宣伝などを担当後、2000年現部門へ異動。宣伝、商品広報などを担当後、2005年に社内広報専任へ。社内報作成のほか、トップの社内へのコミュニケーションを中心に担当。社員が会社の方針を理解し、各自のミッションに主体的に取り組むことを目標に設定。
唐澤 渚

ECは、当社にとって唯一の直接的な顧客接点。
写真を見るだけでは伝わりにくい機能・情緒面の便宜を
お客さまにいかに平易に伝えるかが要。

デザインフィル ブランド事業部 リテールグループ 主任 唐澤 渚 氏
からさわ・みぎわ/1982年生まれ。2005年多摩美術大学卒業後、デザインフィル入社。入社後、関連のWEB制作会社にてディレクターとなり、企業サイトの制作支援を行った後、2010年より自社製品のEC運営に携わり、コンテンツ制作・メルマガ・ブログ・問い合わせ対応など関連業務を一括して担当。

(以下、明治 吉田進氏=吉田、古河電気工業 土井晴子氏=土井、デザインフィル 唐澤渚氏=唐澤)

きっかけは企業統合
社内での意思疎通に課題

吉田 私は現在、明治で「アミノコラーゲン」や「ザバス」といった健康・美容関連商品のマーケティングを統括しています。当社は2011年4月、明治製菓と明治乳業が統合後、事業再編を経て“新生”明治として発足したばかり。全く異なる企業文化・企業言語をバックグラウンドに持つメンバーとコミュニケーションをとる中で痛感しているのは、「事実を伝えるだけでは伝わらない」ということです。特に市場環境が目まぐるしく変化し、膨大な情報が錯綜する今、相手のバックグラウンドを理解し、インサイトを捉えた上で自分の考えを表現しなければ、自分の意図・思いが正しく伝わらないな、と悩みを抱えています。

唐澤 私は、デザインフィルのオンラインストアの企画・運営に携わっています。当社にとって、オンラインストアはお客さまと直接関われる唯一の接点。その最前線でお客さまとコミュニケーションをとっていると、メーカーにとっては当たり前でも、お客さまには伝わらない言葉が想像以上に多いことに驚きます。たとえば私たちは「手帳」のことを「ダイアリー」と呼びますが、お客さまはそこから「日記」を想起するケースが多い。伝えるべき情報を誤解なく、かつわかりやすく伝えるために、相手の立場に立った言葉の使い方のあり方を日々模索しています。

土井 私は古河電工の広報部門で、特に社内広報を担当しています。当社の製品は、普段、一般消費者の目にほとんど触れることがないものばかり。世の中のあらゆるシーンで使われているのに、社員ですらそれを自覚していないほどです。特にここ10年ほどは成功体験が減っており、社員のモチベーションが低下しているのが大きな悩みです。「自社の技術・製品が世の中で役立っている」ということを、わかりやすく社員に伝えるべく、広報パンフレット「あちこち古河」の編集にも力を注いでいます。

唐澤 社内コミュニケーションについても悩みが絶えません。たとえば、注文商品の発送業務を担う倉庫とのやり取り。私たちにとっては、注文数は多ければ多いほど喜ばしいのですが、作業上のミスをできる限り減らしたいという意識を持つ倉庫側にしてみれば、それは必ずしも喜ばしいことではありません。こちらの本音と相手の本音をいかに刷り合わせ、ともにモチベーションを高めていくか。業務連絡だけでは簡潔すぎて冷たい印象を与えますし、気を遣って丁寧になりすぎても、逆に何を言いたいのかがわかりにくくなってしまう。その、さじ加減が難しいですね。そういう「伝え方」について、土井さんはどんな工夫をされていますか?

土井 私は社内報の編集も担当していますが、編集におけるミッションは、経営の方針を社員にいかにわかりやすく伝えるか、に尽きます。特に経済環境が厳しい今、経営方針を社員一人ひとりが自分ごととして捉え、それぞれが置かれた状況の中で何をすべきか、具体的な行動を自ら考え、実行してもらうことを目指しています。経営側が発信する情報は、ともすると売上や利益など「数値」のことばかりになりがち。「それが自分にどう関係するのか」、「自分は何をすればいいのか」――社員が身近に感じられるように翻訳する必要があります。トップの意向と社員の気持ち、その両方を調整しながら表現を考えています。

唐澤 社内報も「あちこち古河」も、取材・執筆ともに土井さんが担当していらっしゃるのですね!特に「あちこち古河」は、各部門から集まる情報が専門的で、わかりやすく伝えるのが大変そうですが…。

土井 記事作成は外注したり、各部門の担当者に依頼することもできると思うのですが、ある程度の専門知識があって、かつ会社全体を見渡せる立場にいることを活かして、私がすべて引き受けたほうが、媒体としての一貫性が出るし、何より社員にとってわかりやすい表現ができるのではと考えています。とは言え、私だけでは到底カバーしきれないほど、難解な概念・用語だらけの世界。「それ、一言で言って!」「これとこれは何が違うの!?」と、取材では担当者にかなり食らいついています(笑)。

吉田 こういうもの一つ作るにも、情報のありかを知っているかどうかが重要ですよね。それは土井さんのような社内全体を見渡せる立場でなければ、難しいことだと思います。

土井 社内のさまざまな部門を地道に訪ねるうちに、ネットワークも徐々に築けてきました。「次はぜひうちの部門にも」とお声かけいただくことも増えましたね。

唐澤 この冊子に掲載されることが、社員にとってステータスになっていそうですね!どんな会社でも、「伝えたいことはたくさんあるけれど、伝え方がわからない」という人は多いはず。企業が持つ情報や価値を、他の人にもわかりやすいように翻訳するコピースキルを身に付けると、社内各所から頼られ、情報が集まってくるようになりますよね。

吉田 企業を取り巻く環境が厳しくなればなるほど、自分たちの仕事を、いかに充実感を持って遂行できるかということが重要になってきます。自分たちがどんな仕事をしているのか、そして社会にどんな価値を提供しているのか、社会に向けて効果的に発信するスキルを持っている人材が求められていると感じます。社外に向けて自社の価値を伝えることはもちろん重要ですが、そうすることが、ひいては社内の活性化にもつながっているように思います。

土井 世の中の期待に対して、自分たちはどう応えているのか。それを言語化・可視化し、現場社員のモチベーションを高めることが、今、企業にとって非常に重要なことなのではないでしょうか。そのため、社内報や「あちこち古河」は、より多くの社員が内容を理解しやすいよう、ビジュアルをふんだんに盛り込み、できるだけ平易な言葉を使うよう心掛けています。

【case study】古河電気工業 土井晴子さんの取り組み

社員が、自分の仕事を家族に説明しやすくなった

土井さんが企画・編集を担当している広報パンフレット「あちこち古河」。当初、社員向けにと作成したが、今では社員が取引先に持参したり、採用説明会で学生に配布したりと、さまざまなシーンで活用されている。土井さんが各部門に取材して情報を収集、普段の生活では目に触れることのない自社の技術・商品が、実は暮らしのさまざまなシーンで役立っていることをわかりやすく説明している。「『このパンフレットを見せると、家族に仕事のことを自慢できる』との声も聞かれます」(土井さん)。

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【オンライン・ライブで開催】
「宣伝会議」創刊60周年記念事業の一環として開講。コピーライティングのノウハウを基に、日常のビジネスで「人を動かす言葉の使い方」を学ぶ。
※「クリエイティブ・ライティング」は宣伝会議の登録商標です

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