コラム

CSR視点で広報を考える

テレビ報道に完全に先を越された百貨店業界の食品偽装

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大手全滅の珍事

著名ホテルが次々と食品偽装に関する謝罪会見を行う中、飲食チェーンなどと並行して百貨店業界へも偽装問題が飛び火したことはご承知のとおりである。しかし、一方で、百貨店業界の動きはホテルでの動きと全く異なった状況にあった。今回も株式会社VLeの分析結果に基づき、一連の動きを検証してみた。

メディア露出概要

高島屋子会社のおせち料理『FAUCHON』により、小田急百貨店、東武百貨店、京王百貨店が露出しているが、「テレビ報道開始日」については各百貨店のメニュー表示に対する報道の開始時期とし、ネガティブな影響を鑑みて広告価値換算には含めた。(資料提供:VLe)

これまで自主的に発表を行ってきた一連の著名ホテル各社とは異なり、百貨店各社ではテレビ報道が先行し、虚をつかれた形で事実関係を発表するものの、内容が不十分であったり、修正点があったりと、公表を2度、3度繰り返す事態が発生していた。

百貨店業界では、最初の報道となった「髙島屋」が約39億円相当にあたるネガティブ報道にあたるマイナスイメージとなり、最も大きな影響を受けた。鉄道系各社は偽装をネタにツイートで件数が一時的に急増したものの、その後の他の業界などの食品偽装問題にかき消された形で大きな風評に至らなかった。

テレビ報道に先を越されたてしまった百貨店各社は、飲食チェーンによる連鎖的な影響により偽装発覚が誘因された。髙島屋日本橋店にある「麦星by グリル満点星」の加工肉偽装が「三越伊勢丹」及び「小田急」各百貨店の店舗も同様であるとの指摘を受ける結果となった件や、飲食チェーン「BYO」が展開する「ニホンの食卓・つぐみ」の偽装問題では、髙島屋を皮切りに東急、東武、銀座三越の各百貨店に波及した。著名・人気飲食チェーンの食品偽装問題は、テナントとして迎えいれている大手百貨店に激震を与え、急展開による対応不足に、複数回に渡る補足的公表を行う企業が多発する結果となった。

テレビ放映波及状況及び株価変動推移

<全体推移>(以下資料提供:VLe)

<大手百貨店比較>

<株価変動推移>

危機管理の世界では、暗黙の了解として、業界の不祥事事件では、「最初の報道企業に絶対になるな!」という原則がある。なぜなら、最初に報道された企業は、繰り返し他の業界他社の話題に紐づいて最初に始まった不祥事企業として名前が挙げられ、何度もブランドに傷を負うことになるからだ。

ホテル業界では「阪急阪神ホテルズ」、そして百貨店業界では「髙島屋」がその影響を受けることになった。最初に公表した「髙島屋」は、一番対応が早かったという点が評価されるべきだが、後続して次々と短期間に発覚する業界をまたいだ偽装問題の過中から抜け出すことができず、ブランドの高さゆえに繰り返し名前が出され、結果的に報道露出が長期化した。

株価は業界全体に影響を及ぼし下落、三越伊勢丹ホールディングスは一日で6%以上も下落した。背景には、同時期、既に百貨店各社が対応策を進め風評回復傾向に向かう中、三越伊勢丹ホールディングスは、最も多い約22万食の偽装食材を提供していたことや、唯一3回の公表を行ったことで「回復が遅れている」とのマイナスイメージが市場に広がった。

また、11月7日の報道番組「モーニングバード」で、マロンタルトの栗について同ホールディングスは、「フランス産」は誤表示で、正しくは「国産」や「中国産」と公表していたが、いずれとも異なり実際は「韓国産」であることが判明、訂正の公表は1週間後の11月14日となり、対応の遅さに百貨店各社の動向と比較しても目立ってしまったことは言うまでもない。


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