コラム

山本一郎と燃ゆるICT界隈

データサイエンティストって、ぶっちゃけどうなの?――西内啓×田中幸弘×山本一郎 ビッグデータを語り倒すの巻(2)

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第一回「ビッグデータは幻想なのか?」(掲載中)
 西内さん、田中さんのプロフィールはこちらから
第二回「データサイエンティストって、ぶっちゃけどうなの?」(今回の記事)
第三回「パーソナルデータで広告界の地殻変動は起きるか?」(掲載中)

山本:多くのプレイヤーにとって経験則があまりないですからね。

田中:仮説を立てるにしてもその基になる作業が必要で、それが業態によって違うはずなんです。いろいろな業法や、場合によっては会計基準や税務の枠組み、従来型の情報機関などの枠組みとかも違いますし。その上で個社のそれぞれの個性も踏まえて対応可能性も検証しないといけない。

ビッグデータからどんな要素を引っ張ってくるのか、議論したうえで「御社ではこういうものをやってみましょう」と、分析できる人材が必要。そうでなければ、ただデータを集めるだけになってしまう。それじゃいつまでたっても「いわゆる『ビッグデータ』」と呼べるようなレベルにもならないでしょう?

山本:だから「データサイエンティストが必要だよね」っていう議論になったんですよ。分からない分野だから、専門家が必要だろう、と。ただ、本当に要るのか要らないのか、僕もよく分かんないんですよ(笑)。ビジネスに関わってない人間が分析しても、あんまり意味がないとも思いますし。

田中:「データ加工して、それで終わり」っていうのは違いますからね。さっき言った「いわゆる『ビッグデータ』」っていうお話ですらないと言われかねない。

山本:データサイエンティストって、ぶっちゃけどうなんですか?

西内:どうでしょうね。今、国内には色んなタイプのデータサイエンティストがいますよ。定量データに強かったコンサルタント出身の人とか、何かしらのツールに強くて分析するようになった人とか。そういう人たちが「よし、お前は明日からデータサインティストな!」と、拝命を受けているケースが多いんじゃないかなと。

ただ、データサイエンティスト単体で仕事になるというよりは、社内で分析担当の人がそう呼ばれるようになっただけ、という程度の話もあります。あとは、データに関わるハードやソフトを売る事業者がセールストークのために用意した、オプションというかプラスアルファの枠組みなのでは…という気もしています。

山本:何をもって「データサイエンティスト」と呼べるのか、どういう職分なのか謎すぎましてね。大手のコンサル企業がデータサイエンティストを送り込んでくることがあって、それはそれで力量的にも志も素晴らしいので否定はしませんよ。

ただ、彼らは明確な答えを持ってこない。データ解析するのは良いにしても、その企業のミッションが何であり、お客さまにどのようなベネフィットを与えれば売上につながりうるのかといった提案にまではなかなかつながらないのです。なので、高い報酬を払っているのに、会議に参加して丁寧に綺麗な議事録をまとめるだけの人々になってしまう。

西内:それは、まだ彼らの中にデータ分析のクリアな型がないから。「データサイエンティストは経験と勘とセンスがモノを言う」なんて豪語している人は、まだ体系だったスキルを持っていないということなんだと思いますよ。

山本:「まだ僕は何も確立されていないデータサイエンティストです!」、と自ら宣伝してしまってると(笑)。

西内:商売上、「型がある」と言ってしまうとマネされるから嫌だっていう話かもしれませんけど(笑)。僕自身は丸10年、毎日のように医学や政策分野から始まってビジネス関係でもありとあらゆるデータを分析してきたので、やっぱり明確な型がある。そうなると毎回、関係者に長々とヒアリングして、仮説を出して…というステップを踏まなくても、自然と分析できるようになるんです。

次ページ「広報担当者にもリーガルセンスが必要になってきた」ヘ続く(3/4)

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