コラム

CSR視点で広報を考える

産業スパイ事件!社運をかけたプロジェクトの崩壊、信頼していた部下に裏切られたら?—『リスクの神様』監修者が語るドラマの見所、危機管理・広報(6)

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第6話の見所—特許侵害リスクについて

ドラマでは特許の申請時期について議論する場面がある。申請のタイミングが成否を分けることがあるからだ。実際、先端技術の開発や新製品の特許などについては、最初に考案したのはどの企業か(社内で考案された時期はいつか)という視点もあるが、最近ではどの企業が最初にその技術や製品に関して特許申請したか(申請時期)に重点が置かれているのも事実だ。

一度特許権を得た企業は、ライバル会社に対して徹底的な特許侵害への対策に打って出る。侵害を訴える警告書などが当該会社に送達されたタイミングで、商標部分の修正や特許部分に大幅な改良を加えるなど、何らかの対策を打つことで和解することも可能だが、商品ブランドにこだわるばかり無視し続けると事態はさらに悪化する。

相手方企業は、訴状を送達するとともに、記者会見を開いて社会に広く話題を提供し、マスコミ各社の注目を浴びることになる。さらに、地裁で敗訴すればマスコミの過熱はさらにエスカレートし、冷静だった消費者や大型小売店の中にも疑問視するものが増えて、買い控えや販売停止になる事態も顕在化する。控訴しても知的財産高等裁判所の判決を受けることになり、再び製造禁止と損害賠償金を命じられる可能性も出てくる。

長い係争期間にわたって商品ブランドが失墜すると、勝ち負けにかかわらず企業の利益は落ち込み、事態は危機的状況へと向かって行く。高等裁判所に対して、先んじて当該商品の特許核心部分の開発を行っていたとの主張や提出した証拠の大部分の取り調べ申請を行っても、この申請を却下され、その後も特許侵害差止請求等請求控訴事件の判決を不服として最高裁判所に上告し、結果敗訴となれば、市場における商品の排除と大幅な改善を行わざるをえなくなる。最初の申請時期のタイミングが、企業の今後の成長の成否の全てを決めるということだ。

知的財産権の管理は法務部の重要な責務

知的財産は、知的創作物、営業上の標識及びそれ以外の営業上・技術上のノウハウなど広範囲な施策による成果・業績を認め、その表現や技術などの功績・権益を保証するものである。複雑かつ細分化された事業を営む企業は、意図的ではないものの第三者の知的財産権に抵触し、特定の権利を侵害してしまう可能性がある。そのリスクを事前に検証し、最小化するセーフティネットの機能を持ち、かつ第三者より指摘された場合にその改善を速やかに実施することは法務部の業務として不可欠である。

さらに、自社の権利が侵害されている場合の速やかな警告や法的措置も求められている。無形の財産だからといって放置すると民事だけでなく、刑事事件としても訴追される可能性もあるので、法務部スタッフは常日頃から知財について関連法規の習熟と判例に関心を持つことが重要だ。

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