福岡への「シビックプライド」を胸に、研究会の門戸を叩く

シビックプライド研究会 片田江由佳

「まちをより良くするために、自分自身がかかわっているんだ!」そんな都市に対する市民の誇り=「シビックプライド」は、市民一人ひとりに行動する力をもたらし、また都市を未来へと動かす推進力ともなります。
全国数多くの自治体でもシビックプライドを掲げた取り組みが見られる中で、9月に新刊『シビックプライド2【国内編】-都市と市民のかかわりをデザインする』が発売となりました。海外事例を集めた『シビックプライド-都市のコミュニケーションをデザインする』の続編です。
今回は、福岡のアイランドシティ・アーバンデザインセンターでまちのコミュニケーション業務に携わる片田江由佳氏に聞きました。

近年、パブリックやソーシャルといった言葉に関心が高まり、様々な活動が行われています。『シビックプライド2【国内編】』は、建築やまちづくりに限らず、まちの可能性を模索している同世代の方に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

私自身は、建築を学ぶ中で、従来の都市計画やまちづくりの方法論と現実の「わたし」「わたしたち」と「まち」との関係にギャップを感じていました。そんな時に出会ったのが、前著『シビックプライド—都市のコミュニケーションをデザインする』でした。感銘を受けたのは、都市を市民へデリバリーするという考え方。そして、空間やキャンペーンなど、これまでは別々にデザインされてきた対象を「都市と市民との接点」として横断的に見つめる視点。この考え方は、住民の入れ替わりが多い地元・福岡を面白くするのではないかとワクワクし、まさに福岡への「シビックプライド」を胸に抱き、シビックプライド研究会を主宰する伊藤香織教授の研究室の門戸を叩きました。

シビックプライド2【国内編】—都市と市民のかかわりをデザインする』が9月1日より発売となった。『シビックプライド』の続編。

第1弾『シビックプライド-都市のコミュニケーションをデザインする』はヨーロッパ都市の事例を集めた。

アイランドシティ・アーバンデザインセンター(UDCIC)/福岡県福岡市。大規模な都市開発では、まちの未来を共有する拠点が必要だ。

現在は福岡に戻り、本書でも紹介された柏の葉アーバンデザインセンターの姉妹組織で、公・民・学の連携による新しいまちづくりを進める「アイランドシティ・アーバンデザインセンター(UDCIC/福岡県福岡市)」にて、情報発信ツールやイベントの企画、PRなどコミュニケーション業務全般に携わっています。福岡市の博多湾を埋め立てたアイランドシティは開発途上にあるため、住民や企業、専門家、行政など多様な立場の人々が関わる接点を増やし、まちの可能性を広げていくことが重要です。住宅地の公園をリビングのように楽しむ工夫を表彰するコンテスト、まちで活動するプレイヤーへのインタビューを通じたアーカイブ制作、開発のヴィジョンを伝える情報発信施設など、様々なアプローチで取り組んでいます。

ウェブサイト上で「シビックプライド」に言及している都市(本書より)

シビックプライドへの言及事例から見える課題(本書より)

今回、「シビックプライド」の普及の一端を切り取るものとして、同じく伊藤研究室出身の小島桃子氏と共に、地方自治体が「シビックプライド」という用語を使用している事例を調査しました(上記、図表参照)。シティプロモーションから産業振興、都市整備まで、多様な行政課題へ応えるキーワードとして、また、政策や上位概念など様々なかたちで、シビックプライドのコンセプトは浸透していました。

今後は、「シビックプライド」に言及した計画や事業の評価指標についても調査する必要があるでしょう。一方で、「シビックプライドの醸成」自体は目的ではなく、当事者意識が育まれることで、何らかの課題が解決され、まちの魅力が高まることが最終的な目標です。課題の解決や進展に、どのような手法が効果的だったかについても検証し、それをまた見える化していくことが、好循環へとつながるのではないでしょうか。


片田江 由佳(かたたえ・ゆか)
1986年福岡県生まれ。アイランドシティ・アーバンデザインセンター ディレクター。2010年福岡大学卒業後、シビックプライドという考え方が福岡に必要であると考え、東京理科大学大学院伊藤香織研究室へ進学。2012年同大学院修了。2013年よりアイランドシティ・アーバンデザインセンターにて、開発情報の発信や公共空間を活用したプロモーションイベントの企画、地域住民の活動支援など、開発途上にあるまちのコミュニケーション業務に携わる。

シビックプライド出版記念セミナー開催します!

五輪を控えた東京に、今こそシビックプライドを!
—『シビックプライド2』出版記念セミナー概要

■日程:9月30日(水) 18時15分開場 18時30分スタート
■場所:宣伝会議 8F セミナールーム(東京都港区南青山3丁目11番13号)
※東京メトロ「表参道」駅 A3・A4出口より徒歩3分

【プログラム】

第1部:講演(18時30分~19時)

「フォントで東京のアイデンティティを伝える」
鈴木功 氏(タイププロジェクト株式会社 代表取締役社長)
文字は都市デザインを支える基本要素であり、都市のユニークさを伝える顔。「金シャチフォント」の開発など、人々の都市に対する感性を刺激してきたタイプディレクターの鈴木功氏が登壇。9月に発表したばかりの「東京シティフォント」の取組み、東京さらには江戸のアイデンティティについて、シティフォントの視点から語ります。

第2部:パネルディスカッション(19時~20時)、質疑応答・懇親(~20時半)

「東京とシビックプライド」
パネラー:
太田浩史氏(建築家・株式会社ヌーブ代表取締役/シビックプライド研究会)、
鈴木功 氏(タイププロジェクト株式会社 代表取締役社長)
モデレーター:
伊藤香織 氏(東京理科大学 理工学部建築学科教授、シビックプライド研究会代表)

東京は大好き。でも自分が東京の未来を築いている、という実感はほぼない-。この距離感は一体何なのか。2020年の五輪開催を控える東京こそ、シビックプライドを必要としていないか。東京とシビックプライドの現状・課題、そして未来に向け、まちがつくられていく高揚感を共有するためにどんな施策、視点が必要なのかを語り合います。

■参加費:お一人様3000円(『シビックプライド2【国内編】』1冊付き)

〔割引〕書籍をご持参いただいた方は参加費1000円です。


ご参加方法

メールにてお申込ください。

・件名を「シビックプライドセミナー」とし、
ご所属(企業・団体名など)、お名前を記載の上、下記アドレスにお申込みください。

▼メールアドレス
hansoku@sendenkaigi.co.jp

先着順に付き、応募を締め切らせていただく場合がございます。

シビックプライド研究会
シビックプライド研究会

■シビックプライド研究会
都市、デザイン、コミュニケーション、建築、ランドスケープなど産学の多彩な分野のメンバーが集まり、国内外の事例調査を通して、シビックプライドとその醸成のためのコミュニケーションを研究・普及啓発している。シンポジウム「シビックプライド会議」の開催などを通じて、シビックプライドのありようについてディスカッションを進めるとともに、各地で様々な取り組みをしている個人や組織をネットワーキングする活動も行っている。

シビックプライド研究会

■シビックプライド研究会
都市、デザイン、コミュニケーション、建築、ランドスケープなど産学の多彩な分野のメンバーが集まり、国内外の事例調査を通して、シビックプライドとその醸成のためのコミュニケーションを研究・普及啓発している。シンポジウム「シビックプライド会議」の開催などを通じて、シビックプライドのありようについてディスカッションを進めるとともに、各地で様々な取り組みをしている個人や組織をネットワーキングする活動も行っている。

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

このコラムを読んだ方におススメのコラム

    タイアップ