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「CES2016」現地レポート(3)IoT関連の展示から考察する企業コラボレーションとエコシステム

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【前回記事】「「CES2016」現地レポート(2)「スマートシティは1.5 兆ドルのビジネス機会、AT&Tは積極的に参加する。」AT&T開発者会議開催に」はこちら

レポート3回目は欧米・韓国の企業の出展傾向から、IoT(Internet of Things)化したプロダクトのエコシステムやコラボレーションの最前線をレポートしつつ、考察します。

CESの主役はIoTです。昨年から、IoTがメインテーマになったといっても良いでしょう。CESのみならず、昨年からIoTというキーワードが家電、自動車、住宅、通信、医療、健康など様々な分野を賑わせています。
IoTは、Internet of Things=モノのインターネットと訳されることが多いです。モノのインターネット?…って分かり難いですね。簡単に解説をしますと、思いつく全てのモノ(先に挙げた家電、自動車、住宅、医療機器、服、眼鏡、ジェットエンジンに至るまで)がネット接続された状態や、接続されたモノのことを言います。

あらゆるモノがネットにつながる

例えば私は、PHILIPSのHueというLEDライトが好きなのですが、LEDライトがネット接続可能になると、スマートフォンで色や明るさを自由にコントロールしたり、外出先から電気オン・オフできたりします。今や、ウェアラブル端末を通じて得られる睡眠の質に応じて調光することまでできるのです。

つまり、従来ネットやデジタルと無関係に見えたプロダクト(モノ)が、ネット接続される状態になって得られる新しい価値がIoT化することによって誕生するのです。このような、ネット接続するための組み込み機器の低価格化や、通信規格の整備により、爆発的に様々なモノのネット接続化が進行しています。

IoTはネットビジネス化することで真価を発揮する。

さて、IoT化により様々なプロダクトがネット接続されるのだが、そこで重要なのがクラウドとデータ活用です。IoTに注目するとき、ネット接続されたモノそのものに注目が集まりがちです。当然、利用者との接点であり、具体的な価値を提供するのはモノであり、とても重要であることに違いはありません。しかし、同じくらい重要なのが、接続されることで得られるデータの活用と、それを蓄積・活用可能にするクラウドです。ここでは、データ活用の方法やクラウド構築については、ひとまず置いておいて、クラウド化によってもたらされるエコシステムについ展示から解説したいと思います。

データが、モノを通じてクラウドに集約されると、集められたデータを有用な形に加工して、ネットを通じてPCやスマートフォンAppなどにサービスとして提供することになります。このネットを通じたサービスが利用者にどれだけ便益をもたらし、使い勝手が良いか?が、モノ自体の価値を決定することになります。つまり、ネットサービスの設計によって、モノの価値が決定してしまうというわけです。
冒頭で紹介した、PHILIPSのHueは、非常に使い勝手のよいAppを提供しているだけでなく、同社が提供するAPIを通じてサードパーティーのアプリが数百存在しています。それだけ、Hueの楽しみ方があると言っても良いでしょう。LEDライトがネットサービスによって、別の価値を持ちさらに、ネットサービスのエコシステムにより価値を高めているのです。

エコシステム構築に動く、米・韓の大手企業

CES2016の展示でも、APIの提供や活用、APIを通じた他社サービスや機器との連携により、ユーザー体験価値を高める試みが多く出展されています。さらに米韓の大手企業はネット上のプラットフォームを、APIを通じて多くの企業にオープンに提供することで、エコシステムを構築するとともに、IoT領域で優位なポジションを取ることを狙っています。
そこにAmazonやGoogleなどのネットビジネスのエコシステムが得意なプレイヤーも参入。プラットフォーム争いでは競合でありながら、お互いのプラットフォームにオープンに相互接続し合うという状況が生まれているのです。この動きは、まさしくインターネットビジネスの世界とまったく同じと言って良いでしょう。IoT化を狙う日本企業には、インターネットビジネスのエコシステムの重要性を認識する必要があると筆者は考えています。

次ページ 「Mother×nest」へ続く