ADFEST現地レポート「データやAIは、クリエイティブをどう変えるのか」

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タイのパタヤにて、3月16~19日の日程で開催中のADFEST2016。テクノロジーを活用したプロダクトやインタラクティブイベントを数多くプロデュースする、博報堂アイ・スタジオの山本恭裕さんが前半戦(この記事です)/後半戦に分けてレポートします。

執筆者

山本恭裕
博報堂アイ・スタジオ    
インタラクティブプロデューサー/プラナー

1988年生まれ。2015年受賞歴に、電通賞、CodeAward、Spikes、Cannes、Yahooインタラクティブアワード、Webbyなど。主な仕事に、LIVE NEWS FLASH BANNER、Google Vending Machine、TAP WATER RELAY。

 


 

みなさま!サワディーカップ。
インタラクティブプロデューサーの山本です。

初めましての方が多いと思うので、簡単に自己紹介しますと、博報堂アイ・スタジオというデジタルプロダクションで、テクノロジーを使ったプロダクトの開発や、新しい技術を使った広告の開発、インタラクティブイベントを中心にプロデュースしています。

今回は、ADFESTの現地で感じたことを中心に、前半戦・後半戦の2回に分けて現地レポートを書いていきます。

こういったアワードに参加するのはカンヌに次いで2回目なのですが、昨年のカンヌに行った際はアワードでの過ごし方がよくわかっていなくて、セミナーやボードを見たりと慌ただしく終わってしまったので、今回のADFESTでは、参加する目的から改めて考えてみました。
目的は以下の2つです。

1つ目は、携わった施策が海外でどう評価されるかを確かめるため。
賞はあくまでもおまけぐらいの気持ちなのですが、自分たちのアイデア、クリエイティブがどう評価されるかを感じたい。

2つ目は、広告というものが社会や人にもたらす価値について改めて考え直すためです。
つくったものが消費されるだけで記憶には残ってないように感じていたので、自分たちがつくっているものが、世の中や人に対してどんな価値を提供しているかを考えたいと思っています。

4日間を通して、いろんな作品を見たり、いろんな人と話したりしてインプットしながら、頭を整理していきたいと思います。

ADFESTで見つけた、秀逸アイデア3選

最初に、会場について簡単にご紹介。
ADFESTが開かれている会場ですが、パタヤの市街地からはタクシーで10分ぐらい(600円ぐらいかかります)の距離の山の中にあります。
なので日中は、ファイナリストに残った作品のボードを見たり、セミナーを聞いたり、他の会社の人と話をしたりと、ある意味、閉鎖的な環境の中で集中してインプットをしながら過ごしています。カンヌよりも人が少ないので、会いたい人に会いやすいなーという印象です。

受賞作品は明日から発表になるので、このレポートでは、ファイナリストの中で気になった作品と、印象的だったセミナーについてご紹介します。

まずは、ファイナリストに残った作品ですが、ざっとボードを見た感じ、正直うーん…。全体的に小粒なアイデアや、「それ本当にやるの?」と思うような施策が多いなと。新しい技術をクリエイティブに昇華しているアイデアがもう少しあるかな?と思ったのですが、結構、昔のテクノロジーを焼き直したものが多かったのが残念。デジタルプロダクションにいると、どうしても“テック寄り”なものが気になるので、厳しめに見てしまっているかもしれないのですが、正直、新しさはあまり感じませんでした。

そんな中でも、素晴らしいと感じた作品を3つピックアップしてご紹介します。

1つ目はこちら。

リクルート SUUMO「Shell We Move?」。東京海洋大学との共同プロジェクト。

不動産・住宅情報サービス「SUUMO」の「Shell We Move?」という作品。これは知らなかったのですが、超良い&ユニークです。
住まい探しのプロであるSUUMOが、人間だけでなく、引越しを多くするヤドカリにも快適な住居を提供しようと、SUUMOのロゴが書かれたシェルをつくるプロジェクト。

作品ボード

以前、WWFが行った施策で、メッセージが書かれた葉っぱを持ってアリが行進していくアイデア「Ant rally」も好きでしたが、これもユニークかつ、その企業やブランドがやる意味がある素敵なプロジェクトです。

2つ目は、「Table Forest」というグラスの水滴で発芽するコースター。

PTT「Table Forest」

再生紙を溶かして、種を埋め込んでいるので、成長してきたら鉢に植え替えたりもできるみたいです。こういった無駄がないアイデアはシンプルで素敵。

「Table Forest」作品ボード

3つ目は、「Pedigree Found」というアプリ。

「Pedigree Found」紹介ムービー

飼い犬がどこかに行ってしまった時に探すことができるサービスで、飼い犬の情報を登録しておくと、Googleのアドネットワーク上にリアルタイムにバナーが表示されるものです。

「Pedigree Found」作品ボード

以前から、スマホを使って行方不明者や子どもを探すアプリはあったけれど、それをジオロケーション+Googleのアドネットワークを使って、リアルタイム生成するのが新しい!昔、電信柱に「この猫探してます」というチラシが貼ってあったりしましたが、それの電子版のようなイメージですね。
“リアルタイム性”というのは、デジタルの特徴であり強みなので、テクノロジーのこうした使い方は、ますます増えていくと思います。

次ページ 「テクノロジーの進化が、どんな未来をつくるのか」へ続く

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