最小限主義、ミニマリストが買ったもの

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物も仕事も人間関係も最小限で考えることで、身の丈に合った幸せを求める最小限主義(ミニマリズム)。それを自ら実践し、「ミニマル&イズム」というウェブサイトで発信しているのが沼畑直樹氏だ。最小限主義で暮らす沼畑氏は、いったいどんな買い物をしているのだろう。そんな興味から沼畑氏へのインタビューが始まった。

「物がない空間」を静かに楽しむ暮らし

—今日は沼畑さんのご自宅にお邪魔しています。ほとんど物が置かれていないすっきりした空間ですね。まず、沼畑さんが実践されている「ミニマリズム」とはどのようなものか教えていただけますか。

物が置かれていない空間で、お気に入りのコールマンの椅子に座って。

ミニマリズムにはさまざまな解釈があると思います。多くの人は、「物を極端に減らした生活」をイメージするかもしれませんが、私が考えるミニマリズムは「最小限で物事を考えること」、つまり最小限主義が根底にあります。最小限で物事を考えた結果、空間に物がない状態や、自分の適量を見定めることにつながっています。

—最小限主義を暮らしのなかで実現していくということですね。

そうです。ミニマリズムを実践していくと、「物を置かない」ということだけでなく、「物がない空間を楽しむ」こともできるようになります。自然のなかで過ごしたり、旅館やホテルで自分の好きな物から離れた空間で過ごしたり。不思議なのは、自分の好きな物がなければないままに、お茶を飲んだり、誰かと会話したりして、静かで豊かな時間を過ごすことができるのです。

以前は、そういう時間の過ごし方ができませんでした。2年前にクロアチアを訪れたとき、地元の人たちがカフェでのんびり過ごしているのを見て、「怠惰だな」と思ったものです。その一方で、実はそこにこそ豊かさがあるのではないかとも感じていました。自分の慣れ親しんだ物から離れて、一人で山に登ったり、海外へ旅に出たりすると清々しい気持ちになるのに、なぜそれが東京では味わえないのだろう。旅先での清々しさを日常生活でも味わいたくて、自分の好きな物を捨て、ミニマリズムを実践するようになりました。

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