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最小限主義、ミニマリストが買ったもの

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空間自体にコンセプトがある場所

─では、最近行った場所について聞かせてください。

部屋の物を減らした後は外に出るというのがミニマリズムの特徴ですが、僕にはその傾向が強くあります。公園やキャンプ─そこで何をするというわけでもありませんが─カフェや旅行にも行きます。

お気に入りの場所をいくつか挙げると、青野原オートキャンプ場(神奈川県相模原市)によく行きますが、その近くに「ZEBRA」という喫茶店があります。店のコンセプトとして、日常から離れた旅先で感じる空気感、例えばフィンランドの空港に降り立った時の空気の冷たさを再現しているそうですが、最小限主義に通じるものがあって素敵だと思います。他にも東小金井でコーヒー屋台を出している「出茶屋」、吉祥寺の「Blackwell Coffee」など、空間にコンセプトのある場所が好きですね。

僕は車が好きなので、ディーラーに併設されたカフェ、例えば「FIATCAFFÉ SHOTO」(東京・渋谷区)や「メルセデス・ベンツ コネクション」(東京・港区)にも好んで行きます。ディーラーは車を買う予定がなければ入りにくいものですが、カフェならふらりと立ち寄れるし、家族で遊びに行くこともできます。車についての情報収集や試乗できるのはもちろん、カフェやレストランが充実しているのもいいですね。

─車の世界観を感じられる空間は、車好きにはたまらないのでしょうね。

FIAT CAFFÉでは、イタリアにかかわるさまざまなイベントを開催していますが、最近はイタリアに関係ない催しも始めました。例えば、第一線で活躍する人を呼んでみんなで話を聞くとか。主催者の方がおっしゃっていましたが、「イタリアや車に関係なくてもいい」という考え方が印象的でした。自動車メーカーが運営するカフェなら、普通は車の購入に結び付けようとするものですが、FIAT CAFFÉは空間自体を楽しくすることで、まずはフィアットのファンを増やそうとしています。直接的な販促よりも、ブランド価値の向上を最優先に考える動きは面白いと思いますし、こういうカフェが他にもできればぜひ行ってみたいですね。

沼畑直樹(ぬまはた・なおき)

1974年札幌生まれ。東京・吉祥寺在住のミニマリスト。コンテンツ制作会社テーブルマガジンズ代表。会社は2名のみ、1日7時間、週休3日制。2014年、写真集の編集担当だった佐々木典士氏とサイト『ミニマル&イズム』を立ち上げる。著作は小説『ハテナシ』、写真集は『ジヴェリ』『パールロード』など(RemYork Maash Maas名義)。

 

『最小限主義。「大きい」から「小さい」へモノを捨て、はじまる“ミニマリズム”の暮らし』KKベストセラーズ

2歳の娘の昼寝を邪魔しないよう、音を立てずにいたら、動きがスロウになって丁寧な動作が生まれた。料理後の洗い物をすぐに片づけて、何も置かれていないキッチンを見ると、心が洗われるような気分になった–。モノを減らした後に訪れるミニマリズムなひとときを語る、日本人の新しい幸福論。