コラム

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ブランディングの「未来形」をさぐる

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ブランドは消費者の文脈のなかでのみ価値がある

画像提供:shutterstock

「ブランディング」とは、伝統的なマーケティングから解釈すると、消費者の認知やイメージを獲得することです。そして、一般的には、テレビCMを代表とするマスメディアにおけるブランド名の連呼や過剰なイメージ訴求が「広告」のように思われています。

しかしながら、ハイブランドの直営店舗や品の良いセレクトショップは、そのブランドがプレミアムであればあるほど、ブランドロゴを直接的にアピールすることを避けています。むしろ、そういう場では、どのような価値を持っている商品なのかというコンテクスト(文脈)を、店舗という限られた空間で示す必要があると考えています。

歴史を振り返れば、商品陳列というのはそれほど古いものではなく、需要が発生してから商品をつくるオンデマンド形式の時代の方が長かったです。それが、今のような店舗で商品が大量陳列されるようになった背景には、当然ながら前もって商品を大量に作ることで単価を下げられるというメリットもありますが、消費者側に商品を選択し購買するという権利が移動したからということでもあります。

そのため、CMでブランド名を記憶してもらおうと先ほどのような広告手法が取られたわけですが、それはスーパーの陳列棚の前で、そのブランド名を思い出してもらうことが消費者の購買へのコンテクストに沿っていたからです。

したがって、コンテクストというのはあくまで企業側ではなく、購入する消費者側にあるということになります。行動経済学によれば、大量の選択肢はかえって消費を抑制してしまうという実験結果もあり、ここからも「選ぶ」という行動自体というよりも、買う側のコンテクストとしての「都合」に合わせることの方が重要なことがわかります。

現代において、ブランドが商品の世界観やイメージを明確化している理由は、単純にそのブランドの認知を得て選択肢の中に入るためだけとは異なり、消費者のライフスタイルや価値観に合っているというコンテクストをつくるためであると言えます。

たとえ売り場が消費者の近くになかったとしても、ブランドイメージを想起する消費者側のコンテクストさえあれば、自然にその商品が彼らの生活にフィットするように届けられ、消費されていきます。実は、Amazonのダッシュボタンは、そのような文脈において強力なのです。今やブランドには、ロゴそのものが棚に並べられて競争していた時とは異なるロジックに対応する努力が必要になっています。

次ページ 「ブランドがデジタルプラットフォームを提供していく」へ続く

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