民泊サービス最大手エアビーアンドビー(Airbnb)は5月27日、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と提携し、日本国内でのプロモーションをCCCが担うと発表した。日本での認知度の低さもさることながら、旅館業法と矛盾が生じないよう、足元の整備が求められそうだ。
民泊サービスは、「個人が自宅や空き家の一部を利用して宿泊サービスを提供すること」を指す。Airbnbはインターネットを通じて「空き部屋を貸したい人」と「宿泊料を低く抑えたい旅行者」を仲介するサービスを提供している。
Airbnbは世界191カ国で展開しているものの、日本では認知度が低い。クロス・マーケティングの調べでは、日本の消費者の8割以上が「Airbnbを知らない」と回答した。「利用したことがある」という人は1.6%にとどまった。
そこでAirbnbは、共通ポイントサービス「Tポイント」会員約6000万人を抱えるCCCと組み、認知度向上を狙うようだ。一方、CCC側は、Airbnb利用者に対し、Tポイント提携企業のサービスをアピールするなどして、Tポイントの利用促進を図る。Airbnbの利用でTポイントが付与されるようにもする。
厚生労働省によれば、インターネットを用いて宿泊者を募り、宿泊料を受け取る場合も、旅館業法に基づいた許可を得る必要がある。しかし、Airbnbの広報担当社は「(必要な申請は)利用者に任せている」という。CCC側も「当社の業務範囲ではない」と回答した。
訪日観光客需要が高まり、宿泊施設が不足するなか、行政は民泊サービスへ一定の期待を寄せてはいる。4月1日、旅館業法の一部基準が緩和された。簡易宿所営業で、一度に泊まる人数が10人未満の場合、1人あたり面積3.3平方メートルの面積以上で許可を受けられるようになった。従来は人数によらず33平方メートル以上だった。また、フロント(玄関帳場)を設置しなくてもいいよう、各自治体の対応が促されている。
特区として、宿泊サービスの認定基準を提示し、許可を出す自治体もある。しかし特区の一つの大阪府では、4月1日の特区制定後、5月27日までに認可したのは1件のみという。一方、民泊サービス利用者によるゴミや騒音などに対し、近隣住民から苦情が寄せられるケースは増えている。所管外となる大阪市や堺市など6市を除き、府から保健所へ情報提供した件数は2015年度で14件に上った。14年度は0件だった。
民泊サービスの利用頻度を高めるためには、認知度の向上もさることながら、自治体との連携が必要となりそうだ。
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