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コラム

【閲覧注意】鬼ムービーのガチすぎる動画教室

なぜ今、「動画」をつくるのですか? — 最近の「動画」バブルについて考える

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企業や自治体など、さまざまなクライアントから「動画」に関する相談を受ける機会が増えました。「動画をつくりたい!」と言われることは日常茶飯事で、ほとんどの場合、「バズるやつ、お願いね!」とか、「100万回再生されるやつ、頼むよ!」という一言が、付け加えられます。お気持ちはわかります。せっかく作るんだもの、多くの人に見てほしいですよね。

でも、単に「多くの人に見てもらうこと」や「再生回数が伸びること」って、御社にとって、「意味ある成果」に直結するのでしょうか。そもそも、どうして「動画」なのですか? 明確な理由や目的はありますか? こんなふうに質問すると、すんなり答えられる人って意外と少ないのかもしれません。

僕らは、この連載を通して「動画」、特に「オンライン動画」について考えてみたいと思っています。「オンライン動画」は、YouTubeを中心に猛烈な勢いで成長している市場で、ものすごい価値と可能性を感じていますが、一方で少し不安もあるんです。中には、公序良俗に対する配慮が甘い動画や、ユーザーをだますような演出で広告を踏ませるような手法なども存在しており、こうした状況が続くと、荒れ野になってしまう可能性もあります。

ユーザーが見て楽しめることはもちろん、クライアントがコミュニケーション・デザインの一環として積極的に取り入れられるような存在になってほしい。そして、さまざまなオンライン動画が登場し、もっともっと市場が活性化してほしい。そういう思いで、僕らは日々、動画を作っていますし、その想いを共有したくて、この連載を始めます。

申し遅れましたが、僕たち「鬼ムービー」といいます。電通グループのクリエーティブ、メディア、PRの各部門から、デジタル領域の知見を持つメンバーを集めて立ち上げた、部署横断の組織です。オンライン動画のプランニングはもちろん、制作からPR、メディアプランニング、果ては、研究・分析までを一貫して行っています。

マスを中心とした従来の広告型キャンペーンでは、メディア担当はメディアプランをつくり、クリエーティブは独自にアイデアを考え、PR担当はPRで企画を立てて実行するという分業体制で取り組むことが多かったように思います。でも、オンライン動画は、たくさんの可能性を秘めた開拓段階の世界なので、もっと柔軟性高く、その道の専門家が一緒になって、お互いが「領域侵犯」しながら進めることが大事だと考え、結成に至りました。

この連載も、鬼ムービーのメンバーの中から、クリエーティブ・ディレクターの眞鍋亮平、メディア・プランナーの鹿間天平、そしてPRプランナーの根本陽平が一緒になって、互いの得意分野の視点を生かしながら、試行錯誤で進めていきます。

左から、鬼ムービーメンバーのPRプランナー根本陽平、クリエーティブ・ディレクター眞鍋亮平、メディア・プランナー鹿間天平

もちろん、動画とはなんぞや、なんていう禅問答のような連載にするつもりはありません!

動画にどんな役割や戦略があったら、本来の目的を達成し、意味ある成果にたどり着けるのか。従来のテレビCMとどう違うのか。“いわゆるバズ動画”をプランニングする時は、どんな視点が必要なのか。僕らはどんな手法でヒットの打率を上げているのか。あるいは、世の中で成功したと言われている動画を手がけている人にはどんなメソッドがあるのか。効果検証はどうしたらいいのか。こういった、動画について興味のある方なら、誰もが一度は疑問に思ったり、課題に感じたことのあるテーマについて、具体的に取り上げていきます。

ただ、デジタル領域、そしてオンライン動画の市場はすごいスピードで成長しています。連載が終わるころには、新たなツールや手法が登場している可能性は十分ありますし、僕たちがここで紹介したことも古くなっているかもしれません。でもそんなめまぐるしく変わるものだからこそ、ここに今、書き留めておきたいと思ったのです。

とはいえ、僕たちは動画の先生ではありません。確かにこれまで、鬼ムービーの中には、「LOVE THERMO」「ンダモシタン小林」「YASKAWA BUSHIDO PROJECT」など、少しは人からヒット動画と呼んでいただくようなものを手がけたメンバーもいます。ですが、今日のヒットが明日もヒットするとは限りません。僕たちにとっても、毎日が実験であり、研究であり、チャレンジなのです。ですから、みなさんと一緒に、動画の神髄を探し、そこに近づいていきたいと思います。




また、いろいろな方に、この連載を読んでいただきたいので、僕たちだけの話をするのではなく、幅広く、各分野の専門家へのインタビューも交えながら進めていこうと思っています。3カ月にわたる、鬼ムービーのガチすぎる動画教室にようこそ! これからどうぞ、よろしくお願いします!

眞鍋 亮平 RYOHEI MANABE
電通 クリエーティブ・ディレクター

一橋大学社会学部卒業後、1997年電通入社。
クライアントの課題解決のためならメディアや手段を問わないプランナー。国内外の受賞多数。2014年からクリエーティブ・ディレクター。最近の仕事は、YouTube「好きなことで、生きていく。」キャンペーン、Panasonic「LOVE THERMO」「LOVE DRESS」「LOVE DISH」3部作、ポカリスエット「#ポカ写」「ポカリガチダンス選手権」など。鬼ムービーチームのCDとして、CR×PR×メディアのコラボレーションによるオンラインムービーの可能性を探っている。2016年 One Show Interactive 審査員。
受賞歴:カンヌライオンズゴールド、クリオゴールド、アドフェストグランプリ、NYフェスティバル、ACC賞など。

 

鹿間 天平 TEMPEI SHIKAMA
電通 メディア・プランナー

シンガポール生まれ。立教大学文学部を中退後、渡米。
ハリウッドで映像制作を5年間学んだ後、2011年、電通に入社。
デジタル領域のプロデューサーとして、
オンライン特性を突いたデジタルコミュニケーションを数多く手掛ける。2015年、電通グループ横断組織「鬼ムービー」を起ち上げ、現在はオンライン動画を中心とした新領域の開拓に夢中。
また、新設のPRプランニングセンターの一員でもあり、
PRを武器としたコミュニケーションプランニングを得意とする。
受賞歴:PR Week Asia、Los Angeles Movie Awards、カリフォルニア映画祭、全米映画監督協会アワード、ショートショートフィルムフェスティバルなど

 

根本 陽平 YOHEI NEMOTO
電通パブリックリレーションズ(電通 PRプランニングセンター所属)
PRプランナー

秋田県出身。2008年、電通PR入社。現在は、電通のPR専門セクションに所属。グループ横断・動画専門チーム「鬼ムービー」にも参画。徹底したPR視点からのプロモーションプランニングを手掛ける。PRをテーマに企業や成蹊大学や立教大学、CNET Japan Live等で講義。主なメディア掲載に、朝日新聞「ひと」、ブレーン「今一緒に仕事をしたいU35クリエイター」選出、など。
受賞歴:Global SABRE Awards(「世界のPRプロジェクト50選」)、WOMMY AWARD、PRWeek Awards Asia、Adfest、日本PRアワードグランプリなど。