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Webメディアの新作法 編集者の現場はここまできている! 新しい技術・手法(前編)

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フィルムカメラでビジュアルのパワーが向上?

アドタイ読者のみなさん、はじめまして。サイバーエージェントで、編集にかかわる仕事をしている尾田と申します。現在エディトリアル・アド・スタジオ(EAS)という部署のスタジオ長と兼任で、SILLY(シリー)というメディアに注力しています。

SILLYは、20代〜30代前半ぐらいまでのミレニアム世代を対象にしたWebマガジン(とAbemaTVのオリジナル番組)なんですが、ここにかかわるスタッフは20代が多く、メディアと同様に編集作業のありようが大きく変わりつつあるのを日々実感しております。

縁あって、宣伝会議のメディアにおける編集術に関する特別講座を担当させていただくことになりましたが、今回はそのエッセンスをここでもご紹介できればと思っております。前後編の2回にわけて、編集業務の新しい潮流や、クリエイティブの「今」を感じる手法を紹介できればと思います。まず前編は、若いカメラマンや編集者がどんどん使い始めている「フィルムカメラ」についてです。

「今年のフジロックの取材、どうだった?」

「いや〜、意外なくらい20代の音楽ファンたちがたくさん来ていて、びっくりしましたよ」

「あと、“写ルンです” を持ってる女の子も多くて。やっぱり最近のフィルムカメラ人気は本物じゃないかって気がしました」

ご存知、FUJI ROCK FESTIVALは、雨の多い山中フェスとして有名です。20回目を迎える今年は晴天に恵まれたものの、貴重なデジカメが濡れてオシャカになるのを恐れて、使い捨ての写ルンですがその手軽さゆえに浸透していったのかも。なんてことを自分がクリエイティブ・ディレクターを務めるSILLY編集部で話していたら、部員に言わせるとどうも事情は違うらしい。じつのところデジカメでなければ、スマートフォンのカメラで撮るという選択肢もあります(最近の生活用防水機能を、あなどってはいけない)。

それでも彼女たちが「写ルンです」にこだわるのは、フィルムカメラ独特の写り具合と、現像するまで仕上がりがわからないビックリ箱的な面白さにあるようです。

発売からすでに30年が経つ「写ルンです」。レンズ付きフィルムの市場の売り上げは、FUJIFILMの直営写真店「ワンダーフォトショップ」では、毎月20本程度だった「写ルンです」の売り上げが、去年の12月から毎月100本程度と5倍に伸びているそう。Instagramの「#写ルンです」のハッシュタグも6万件に達しているらしい。
(参照:「写ルンです」ひそかにブーム再燃 20代女子に人気のナゼ)。

かくいうSILLY編集部も、20代の編集者やカメラマンが多いせいか、自然とフィルムで撮影した記事が増えています(使用機種はさまざま)。私の前職となるギズモード・ジャパン編集部では、わざわざフィルムで撮影するなんてケースは、ほぼほぼゼロ。これは大きな違いです(ギズは、典型的なテック系メディアだし、編集者も全員テクノロジー信奉者という偏った素性はあるにせよ)。

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