デジタルの“予言者”デイビッド・シング氏(AOL)が語る2016年のキーワード

長く伸ばした毛先を尖らせた、パンクなヘアスタイルとファッションがトレードマーク。カンヌライオンズをはじめ、様々な海外のカンファレンスで、その講演を聞く人も多いだろうDigital Prophet(デジタル領域の予言者・エバンジェリスト)のAOL デイビッド・シング氏が9月来日。365日中300日世界を飛び回るというシング氏が見る、広告界のトレンド・潮流をインタビューした。

(写真提供:AOL)

来日するたび、私は日本のカルチャーに魅了され、驚かされます。伝統的な和のデザインの洗練された佇まいにも惹かれますし、一方で最先端のテクノロジーが生み出すクリエイティブのパワーも感じます。アニメのキャラクターなどコンテンツ産業も活発ですね。

ブランドは生活者のカルチャーに寄り添わなければならない

今後、こうした素晴らしいカルチャーの中で、何を日本らしさ、アイデンティティと定めていくかが、日本企業やブランドにとっての課題になるのではないかと見ています。それは海外企業も同様です。今、多くのブランドがかつてのマーケティング手法から脱却し、生活者の持つカルチャーに根ざしたコミュニケーションを目指そうとしています。

その理由としては、テクノロジーや身の回りのツールの発達に伴い、生活者が自ら発信する主体に変わってきたことが挙げられます。企業によるメッセージを様々なチャネルにバラまく旧来のマーケティング手法と、受け身の消費者の関係は終わったのです。

今、マーケターの関心は、どうしたらもっと生活者の共感(エンパシー)を引き出せるのか、そもそも生活者が持っているカルチャーは何か、ブランドがどうしたら生活者のカルチャーの一部になり、彼らが作り出すコンテンツの中に組み込まれるか、という点に移ってきています。

生活者の変化によって新しいマーケティング4Pが生まれた

プロダクトアウト発想の旧来の「4P(プロダクト・プライス・プレイス・プロモーション)」も、新しい4P(プラットフォーム・パフォーマンス・ペディグリー・パートナーシップ)に変化しています。

企業は、生活者が集う場としてのプラットフォーム上で、ブランドの系譜(ペディグリー)への共感を得る努力をしなければなりません。企業はWhat(私たちは何者か)やHow(どんなブランドか・どんなメリットがあるのか)をメッセージとして発信しがちでしたが、Why(なぜ私たちは生まれたのか・何のためにあるのか)をもっと生活者に共有していくべきです。それが企業やブランドの系譜(ペディグリー)として、生活者の共感を得るコンテンツの文脈となります。

そして、ブランドの文脈をどう伝えるかも非常に重要なことです。今や生活者一人ひとりがクリエイターやキュレーター、批評家です。コンテンツの発信者である彼らとともに価値を共創するパートナーシップのマインドは、企業にとって今後不可欠な考え方です。

生活者からの共感や参画は「Like」の数のように測定が可能です。マーケターは投資に対するパフォーマンスを計り、絶えずコミュニケーションを最適化していくことが求められています。

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