企業版ふるさと納税がスタート 地方創生に積極的な企業としてのイメージづくり

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2008年度の導入以来、一般に広く定着した「ふるさと納税」。広報会議2016年12月号では、今年スタートした企業が寄附を行う「企業版ふるさと納税」について紹介する。

地方創生に企業が参画する─。そんな流れを後押しする制度がスタートした。今年度から始まった「企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)」は、企業が応援したい自治体の事業に対し寄附をすると、法人関係税の一部控除を受けられるという制度。企業側には節税のほか、地方創生に積極的な企業だとPRできるというメリットがある。

第一回は102事業323億円が認定

「地方創生の取り組みがスタートして今年で3年目となりますが、やはり国と自治体だけで地方創生を実現することは難しい。産官学金労言*1が連携して挑むべきだと始まったのがこの制度です」と、内閣府地方創生推進事務局の菊池善信参事官は解説する。

*1 現在の政府の地方創生戦略では、産官学に加え、金融(金)、労働者(労)、マスコミ(言)の連携が必要であるとしている。

第一回で認定された対象事業は「しごと創生」の分野が73%を占めた。

自治体はあらかじめ1社以上からの寄附の内諾を取り付けた上で、寄附を活用して実施する「地域再生計画」を策定し、内閣府に申請。内閣府から認定が下りれば、他の企業からも寄附を募りやすくなる。企業側は、本社所在地や東京都など一部対象外の自治体を除き、全国どこへでも寄附が可能で、下限額も10万円とハードルが低く設定されている。

企業側のメリットは大きく2つ。通常、企業が自治体に寄附をする場合、全額を損金算入することで約3割の減税効果があるが、企業版ふるさと納税ではさらに3割が法人関係税から控除される。また地方創生に積極的な企業であるとアピールでき、社会的なイメージ向上につなげることもできる。

今年8月には第一回の対象事業として102事業323億円が認定された。ニトリホールディングスによる北海道夕張市の「コンパクトシティの推進加速化と地域資源エネルギー調査」、サントリープロダクツによる鳥取県江府町の「遊休農地を活かした6次産業化推進事業」などがあるが、この中には、早くも今回の決定をPRに結びつけようという企業も出ている。例えば、IT企業のインフォテリア(東京・品川)では、秋田県仙北市の「桜に彩られたまちづくり計画」へ100万円の寄附を決定。10月12日には、平野洋一郎社長(写真右)と門脇光浩仙北市長出席のもと都内で記者会見を実施するなど、積極的に活動を発信している。

インフォテリアと秋田県仙北市は10月に都内で会見を開催。企業からの寄附額が事業費に達していない状況を説明し、他企業からの追加協賛も募った。

「当たり前の企業活動」目指し、企業側の姿勢を変えていく

一方で、寄附を予定している企業の中からは「企業名を明らかにしたくない」という声も。実際、今回内閣府が公表した計画の中には、具体的な企業名を伏せているケースが7割にも上る。

こうした現状について、菊池氏は「寄附をしていない他の自治体に配慮して公表を控えているケースもあるのでは。今後は政府広報としても制度のPRに力を入れていく方針で、この税制度が“当たり前の企業活動” として認知されるようになれば、企業側の姿勢も変わってくるのでは」と期待する。

また、いかに企業に自治体の魅力や取り組む事業についてアピールできるかという、自治体側の発信力も求められる。菊池氏は「都道府県や政令指定都市など規模が大きい自治体の中には、寄附を募るための“IR活動” に取り組むケースもあります。これまで産業界へアピールをしてこなかった自治体も、ぜひ積極的にPRをしてほしいですね」と呼びかけている。

11月1日発売の『広報会議』2016年12月号にて掲載中。本誌では、以下の内容についても聞いています。
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「広報会議」2016年12月号

[巻頭特集]なぜ地方創生に「広報力」が必要なのか?

観光・産業の活性化や居住・就労人口の確保などを目指し、「地域ブランド」の確立を課題とする自治体が増えています。行政と企業の枠組みを超え、協働による課題解決を目指すケースもあり、その中で広報・PRの力が必要とされる場面が増えてきました。今回の特集では2部構成で、「地方創生」に寄与し、地域ブランディングを実現するための動きをレポートします。

Part1 地域ブランディングと民間との協働を考える
●年に1度の「自治体の通信簿」発表に
2016年は石川県・金沢市が上昇
ブランド総合研究所 代表取締役社長 田中章雄
●特別座談会
茨城・群馬・佐賀が大激論!
「地域ブランド調査」に物申す
●広がるIT企業と自治体の協業
①ドローン活用
DJI JAPAN×岐阜県美濃加茂市
②官民連携プラットフォーム
Dropbox Japan、スペースマーケット 他×埼玉県秩父郡横瀬町
●TOPICS 企業版ふるさと納税がスタート
●「地域商社」の担い手が語る地方創生と広報の課題 WILLERグループ
●TOPICS 文化財をストーリーとして発信「日本遺産」

Part2 訪日観光とPR 「都市から地方へ」の動き
●REPORT
①物見遊山から「目的ありき」へ
訪日客向けサイト利用の変化
②「爆買い」から「体験」へ
中国人によるインバウンド需要の行方
●訪日客向けサイトリニューアルのポイント
西日本高速道路/福岡市「よかなび」
●熊本県×大分県
「 攻めの情報発信」で観光振興による災害からの復興へ

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