金沢で考える、地域と文化が育むクリエイティビティ――福光屋、soilが革新を続ける理由とは?

ブランディング・エージェンシーのAMD(エーエムディ)と宣伝会議のマーケティング研究室が共同で行う「クリエイティブ・ワークスタイル・ハック・プロジェクト」。2回目の研究会は、石川県・金沢市で実施しました。
左官業として200年以上の歴史を持ちながら、左官の技術を活用した珪藻土を用いたバス・キッチングッズ「soil」を開発したイスルギ。400年近い歴史を持つ酒造メーカーでありながら、米発酵の技術を用いたスキンケアブランドを立ち上げ、日本酒に留まらない商品展開を進める福光屋。2社は共に石川県・金沢市に拠点を置く企業だ。

なぜ歴史も実績もありながら、常識にとらわれないクリエイティビティ溢れる挑戦ができるのか。そこには金沢という土地の特性が関わっているのか。2013年に金沢の魅力に触れ、オフィスを開設したAMD(エイエムディー)の千布真也氏との座談会の中から、地域と文化が育むクリエイティビティについて考えます。
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(左から)soil 代表取締役社長 石動博一氏、福光屋 専務取締役 福光太一郎氏、AMD 代表取締役 千布真也氏

業界の先行きに縛られない、未来をつくる

千布:

私たち、AMDは3年前に金沢にオフィスを構えました。会社設立以来、東京に拠点を置いて事業展開してきましたが、社員数が30名規模になった頃から成長スピードが鈍化。東京というマーケット以外で、新しい可能性を切り開く必要があるのではないか、と考えるようになってのことでした。

全国各地を回り、それぞれの地域の強みや市場性を見る中で、文化、食などの魅力が詰まった金沢に魅力を感じました。クリエイティビティを持った優秀な方たちが多いことも、金沢への進出を決めた理由のひとつです。実は当時、北陸新幹線が開業になることを知らなくて……(笑)。それなのに、金沢進出を決めてしまったんです。

金沢に来てから、福光屋の福光太一郎さん、soilの石動博一さんとお知り合いになり、2社とも伝統を守りながら、常に革新を続ける姿勢に、感銘を受けました。今日はお二人に常に挑戦するモチベーションの源泉を伺いたいなと思っています。お二人が、革新的なことにチャレンジする原動力になっているものは何なのでしょうか。

石動:

なぜ、左官屋がモノづくりを始めたのか?その理由を一言でいえば、左官業には未来がないとわかっていたからです。かつてビル建築の総工費の2割程度を占めていた左官が、早く、安くの簡式工法の浸透で今では0.5%ほどまで激減。イスルギは住宅用ではなく、ビル建築専門のため、業界全体がじり貧になっているのは目に見えていました。

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