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日本企業のリスクマネジメントを考える―トランプ新大統領、日本企業の広報コミュニケーションへの影響⑤(白井 邦芳 氏)

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1月21日(日本時間)、ドナルド・トランプ氏が第45代米国大統領に就任した。就任前から政策の方向性のみならず、メディアとの向き合い方、自らの情報発信にも注目を集めてきたトランプ氏の大統領就任を広報・情報戦略、企業のリスクマネジメント、メディアの専門家はどう見ているのか?日本企業の広報・コミュニケーション戦略への影響という観点から予測する。

日本企業の全社的リスク管理に大きな影響

第45代米大統領に就任したトランプ氏は、過去のビジネス市場での成功を基に、人を説き伏せる3要素である「Logical」(過去の成功事例があり疑いなく受容できる)、「Reasonable」(多くが感情的に共感できる)、「Simple」(教養・知識の分け隔てなく理解できる)を巧みに駆使して、ネット上で無関心な米国民に潜む不平不満を取り込み、政治・経済・安全保障などの分野に独自の視点で切り込んだ。

彼のコミュニケーション戦略は「Make America great again」や「America First」に代表されるように単純かつ明瞭なメッセージと強力なリーダーシップで「変化」を意識付け、米国民のみならず全世界に対しても言葉の先制攻撃(Rapid dominance)を放った。白か黒かを敢えて選択させる踏絵戦略で相手に立ち位置を示させ、業界を代表する企業を狙い撃ちする戦法で他の企業群にも強烈な脅威を与え続けている。日本企業でも今後、農産物、先端医療、通信、自動車などの分野で標的となる可能性がある。

減税、インフラ投資などは米国市場の株価上昇・円安ドル高を招く一方、関税引き上げによる保護貿易や移民抑制では米国内企業は労働力の低下に伴い、株価下落や円高ドル安を招く懸念があり、先行きの見えない期間がしばらく継続する。

日本企業は、中長期計画の発表などで米国益にからむ内容についての精査が不可欠となり、米国内法人における事業計画にも影響が出ることが懸念されるため、しばらくは新政権の動きを注視し、標的とならぬよう広報活動には慎重になる必要がある。

上院・下院の摩擦や政策の成果が出ず期待値を裏切られた国民の反撃がどのような方向に向かうかもチェック項目の一つだ。また、安全保障分野では訴求力の低下が見込まれるため、日本のグローバル企業におけるテロ対策にも十分な配慮が求められるだろう。トランプ大統領の就任は、日本企業の全社的リスク管理に大きな影響を与えることは必至だ。

白井 邦芳 氏
ACEコンサルティング エグゼクティブ・アドバイザー
社会情報大学院大学 教授

米国外資系保険会社で危機管理担当役員などを歴任。日本・米国を含む世界の各地で2400事例以上の豊富な対処経験をもとにリスクマネジメントの第一人者としてドラマの原案及び監修でも活躍。一般財団法人リスクマネジメント協会顧問、経営戦略研究所外部講師。(株)産業再生機構支援先企業の企業再生、リスク管理に深く関与し、著書『リスクマネジメントの教科書』。早稲田大学卒。

 

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