市場の枠組みを捉え直し、新しいニーズを喚起する — I-ne、大関、祇園辻利のブランディングの挑戦

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参加者
・I-ne 取締役 BDマーケティング本部長 今井 新氏
・大関 取締役営業本部長兼商品戦略部担当 長石元一氏
・祇園辻利 取締役 三好正代氏
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写真左から、大関 取締役営業本部長兼商品戦略部担当 長石元一氏、JAPAN CMO CLUB 加藤希尊氏、祇園辻利 取締役 三好正代氏、I-ne 取締役 BDマーケティング本部長 今井 新氏。

5月17日に、「JAPAN CMO CLUB」の20回目の研究会が大阪で開催された。関西での開催は、「JAPAN CMO CLUB」設立から4年目で初めてのことだ。研究会には、兵庫県から大関、大阪府からI-ne、京都府から祇園辻利と、関西各地から4社が参加。新興企業と歴史ある企業が集まった、研究会では異なるライフサイクルのステージにある企業だからこその深いディスカッションが展開された。

いかに早い段階で認知獲得・好意形成を行うかが大切

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JAPAN CMO CLUB Founder 加藤 希尊氏

会の冒頭でJAPAN CMO CLUB Founderの加藤希尊氏は、「マーケターの集合知で日本に突き抜けた成長力を生み出す」というビジョンについて説明。メンバーが増えるにつれて活動は活発になっていること、参加企業同士でブランド間のコラボレーションも実現が進んでいることについて話した。

研究会は、毎回恒例となっている、各社のカスタマージャーニーの発表から始まった。発表の中で共通して見えてきたのは、販路の多様化やインターネットの発達により、どの企業も店頭で商品を手にとってもらう前(店舗に来店してもらう前)に、いかにブランドを認知して好意を持ってもらうかが勝負であると考えていることだ。

ボタニカルライフスタイルブランド「BOTANIST」などで近年注目を集めてきたI-neの今井氏は、自社サイト、SNS、イベント、旗艦店などオンライン・オフライン含めてさまざまな接点を用意し、購入前後の顧客との関係性を築いている。「カスタマージャーニーのいかなる段階でも重視しているのはシェアと共有。戦略を考える際は『これは、シェアしたくなるものか?』と問いかけて考えている」と取り組みを紹介した。

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大関 取締役営業本部長兼商品戦略部担当 長石元一氏

一方で、デジタルを活用した接点づくりに悩んでいる企業も。ワンカップ大関で知られる創業300年超の老舗企業・大関は、「以前、日本酒は酒屋で販売されており、店主の口頭での勧めなども購買の意思決定において重要な要素となっていた。しかし、規制緩和があり今はスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどでも日本酒が手に入る時代。SNSで話題になったり口コミが広がったりするような企画を考える必要性が増している」と課題感について語った。祇園辻利の三好氏もこの課題に共感。「抹茶パフェの草分けとして、40年前に茶寮を立ち上げた頃は、競合もおらず、売れ行きは好調だった。しかし、抹茶スイーツを提供する企業が増えた今、競争は激しく、いち早くインスタグラムなどで話題になった商品に人気が集まる傾向がある。当社はWebサイトのスマートフォン対応やSNS活用など、デジタルマーケティングに遅れがあるので、なんとか追い付いていかねばならない」と続けた。

人口減少社会に立ち向かう対策のひとつは海外進出

多くのマーケターが抱える「人口減少」という共通課題に対しては、海外進出の方針を掲げて立ち向かっている企業が見受けられた。

I₋neの今井氏は、「日本の人口は減少するが、世界人口は増加傾向にある。そのため、台湾や香港に支社を設立して、グローバルカンパニー化を進めようとしている」と話す。また大関の長石氏も「ここ10年ほど海外では日本酒ブームが起こっている。海外拠点もここ数年で増やしている」と話し、海外市場に期待を寄せた。

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祇園辻利 取締役 三好正代氏

一方で祇園辻利の三好氏は、茶葉の輸入規制などがあり海外進出にはまだ時間が掛かるとした上で、日本国内でお茶を淹れて飲むという文化が薄れてきており日本市場だけで戦う厳しさも感じていると話した。

「以前は急須で温かいお茶を淹れるのが当たり前だったが、食の欧米化やペットボトル入りのお茶の普及もあり、急須を持たない家庭も増えている。こうしたお茶に対するニーズの縮小に対して、対策を考えないといけない」(三好氏)。

この意見を聞いた加藤氏が「コーヒーは新たなブームが起こり、家で豆を挽く人が増えているがお茶と似ている部分はあるか?」と問うと、「日本人は、コーヒーと違ってお茶は無料でいただけるものという印象があるため、牽引するポテンシャルに差があります。今も行っているが、修学旅行生にお茶を淹れる体験をしてもらうなど、再度お茶の文化を根付かせていく仕組みづくりをしないといけない」と話した。

次ページ 「新興企業と歴史ある企業それぞれの悩みと特性」へ続く

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