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市場の枠組みを捉え直し、新しいニーズを喚起する — I-ne、大関、祇園辻利のブランディングの挑戦

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新興企業と歴史ある企業それぞれの悩みと特性

会の中では、新興企業と歴史ある企業それぞれの特徴が浮かび上がる場面もあった。

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I-ne 取締役 BDマーケティング本部長 今井 新氏

I-neの今井氏は、コモディティ化の打開策として、市場に溢れる競合製品からいち早く差異を生み出すためにも、「いかにスピーディーにアイデアを具現化するかが大事」と考えている。そのためにも、ミニマムのテストから始めるなど、高速でPDCAサイクルを回すことを重視しているのだ。I-neは自社の工場を持たないファブレスメーカーであり、専門の知見を持った提携の工場と企画を進めているため、スピード感を持った二人三脚が可能になっているのだという。また、現在はさまざまな分野に事業展開しているが、企業理念である「Chain of Happiness」に基づいていれば特に事業範囲は限定していない。企画会議で話す中で、自分たちが「欲しい」「あったらいいな」と思えたものは具現化していこうというカルチャーがあるのだそうだ。

こうしたI-neの企業姿勢に対して、大関の長石氏と祇園辻利の三好氏は、「スピード感を持って意思決定や改善ができる企業体制を羨ましく思う」と語ったが、これ対して、I-neの今井氏は「私たちにとっては、歴史あるブランドを持っている企業がとても羨ましい。歴史は築きたくても一朝一夕に築けるものではない」と答えた。続けて、前回の東京オリンピックが開催された1964年から販売されているワンカップ大関を例に挙げ、「歴史ある商品が、2020年の東京オリンピックまで長く愛されて売れ続けてきたというストーリーは魅力的。時事と絡めたプロモーションやコンテンツ作りをしても面白いのでは」と提案する場面もあった。

ブランド間での意見交換から生まれる新しいビジネスのアイデア

研究会の最後には、毎回恒例となっている「もし他社のマーケターだったら」というテーマで、参加者が他社に対して新しい顧客体験のアイデアを発表する場も。

大関と祇園辻利という歴史ある2社に対しては、本物の日本酒やお茶を感じてもらうための空間づくりや体験づくりに力を入れてみてはどうかというアイデアが多数寄せられた。I-neの今井氏は大関に対して「近年クラフトビールスタンドなども人気なので、対抗してクラフト酒造ブルワリーはどうか。気軽に利き酒もできて、女性や一人客がカジュアルに訪れてお酒を楽しめる場があれば、日本酒の魅力がさらに伝わるはず」と提案した。

研究会の中で見えてきたのは、歴史あるブランドとスピード感の二律背反的な要素だ。しかし、普段コンプレックスのように感じている部分が別の企業にとってはブランドの魅力に映ることもある。捉え方を変えるだけで、新たなブランドの打ち出し方が見出せそうだ。また、国内だけでなく海外も市場として捉えることや、市場の細分化を行うことの必要性も見えてきた。

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会の終わりに、加藤氏は「記念すべき初めてのJAPAN CMO CLUB大阪開催ができて嬉しく思う。今日集まって議論いただいたことで、マーケターの集合知によって新しいステップを踏み出せることを体感いただいたのでは」と締め括った。今後は、関西でもマーケター同士のコラボレーションが生まれていきそうだ。

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参加者同士、各社のブランドを体験できるお土産を交換し合う場面も。

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