社員全員でつくり、コミュニティで売る!常識を覆す『ティール組織』の裏側

英治出版『ティール組織』

組織マネジメントの新たな概念を説いた『ティール組織』。発売後1カ月で約3万部を突破し話題になった。無数にあるビジネス書のなかで、なぜ592ページもの分厚い本書が売れ続けているのか。ヒットの要因や制作過程の裏話などを、英治出版取締役編集長の高野達成氏に聞いた。
『編集会議』2018年夏号(7月31日発売)の特別編としてお届けする。

英治出版 取締役編集長 高野達成さん
英治出版取締役編集長。九州大学法学部卒業後、日本銀行を経て2005年に英治出版に入社。主にビジネス書の企画・編集に携わり、組織開発やソーシャルビジネスに関するラインアップを主導。また経営企画、採用、広報、しばしば書籍の装丁も行う。

企画の採用ルールは「全会一致」

—2014年に出版された『Reinventing Organizations』の翻訳書である『ティール組織』。なぜこの本に注目したのでしょうか。

著者のフレデリック・ラルー氏は、マッキンゼー・アンド・カンパニーで10年以上にわたって組織変革プロジェクトに携わり、独立後に数多くの組織研究を重ねて『Reinventing Organizations』を執筆しました。彼は組織の発達段階をレッド・琥珀・オレンジ・グリーン・ティールの5段階に分け、最も進化した形の「ティール組織」について解説しています。

これは、上下関係も売上目標も予算もない新しい経営方法で、従来のアプローチの限界を突破して圧倒的な成果をあげる方法として、世界中の経営者から注目を集めています。原書はすでに12カ国語に翻訳され、20万部を超えるベストセラーになっています。

当社がこの本を手がけるきっかけは、翻訳をお願いした鈴木立哉さんからの提案です。鈴木さんは、世界的に注目が集まっている原書の存在を知って、組織開発関連の書籍を多く出版していた当社にご相談いただいた形です。

当社で新しい企画を考えるときは、社長を含む約10人の社員で会議をして、全員が合意したら採用されるというルールがあるのですが、『ティール組織』の場合は正直、みんな最初は怪しげな本だと思ったんです。誰も「ティール」という色を知らないし、「何を根拠に組織の発達段階を色で分けているのか」などと疑問もたくさんわきました。そのうえ分厚い本だったため、「商業的に成り立たせるのは難しいのでは」という意見も出ました。

そこで、ティール組織に詳しいNPO法人「場とつながりラボhome’s vi」代表理事の嘉村賢州さん(日本語訳版の解説を担当)にお話をうかがいました。以前からティール組織に関心を持たれていて、日本でも広めていく必要があるとの考えで、様々な場所で講演などをされていた方です。

そのときの嘉村さんの解説で、「これはとても意義のある、素晴らしい内容の本だ」と感じたプロデューサーの下田理が、原書を熟読しました。そして、その感想を基に改めて社内で話し合ったのです。結果、当社が過去に出版してきた組織開発の本の内容とも親和性が高くて「当社が出す意味」もあるなということで、満場一致で出版が決まりました。

次ページ 「諦めない限り企画はボツにしない」へ続く

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