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社員全員でつくり、コミュニティで売る!常識を覆す『ティール組織』の裏側

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諦めない限り企画はボツにしない

—英治出版では、書籍の企画だけではなく、販売までの一連の流れに社員全員が携わっているんですよね。組織体制の仕組みとメリットを教えてください。

社員は、そのほとんどが「プロデューサー」という肩書きを持っています。経理など管理系スタッフの2人以外は、編集担当も営業担当も全員プロデューサーです。書籍の企画から販売までを全社員がプロデュースするわけなので、編集担当はいわゆる「編集者」の仕事に加えて、営業や販売の企画にも踏み込みます。

反対に、営業担当も書籍の企画会議に参加していますし、自ら企画を出すことも可能です。編集や制作の現場に対しても、自由に意見を言える仕組みになっています。これは、「編集と営業が分断されるような出版社はよくない」と考えた社長の原田英治が、1999年の創業時からつくってきた組織形態です。

営業が本を売るにしても、編集が勝手につくった本を売らされるよりも、自分も制作に関わった本を売る方が力も入ります。それならば、「一冊の本をみんなでつくってみんなで売る」という形で進行した方が、結果的にプロジェクトがうまくいくのでは、という考えがあります。

全員参加の企画会議は、毎週水曜日に設定していて、希望すればアルバイトでも参加できます。企画の決定には参加者全員の合意が必要なので大変なこともありますが、企画者が諦めない限り、ボツになることはないんです。その場では通らなくても同じ企画を何回も練って出し直し、その末に決まることもあります。

別途、書籍のタイトルを決めるための会議も行っています。その本の担当者であれば制作過程でいろいろな案が浮かびますが、本は内容を読む前に購入されるものですよね。そのため、タイトルを決めるときはまだ中身を見ていない社員の意見を聞くことも重要です。つまり、ここでも営業担当の力を借りることになります。

『ティール組織』の場合は、原題を直訳すると「組織を再発明する」となり、少し難しそうな印象になってしまいます。そこで、主題の「ティール組織」をそのままタイトルにしようと発案した結果、内容を知らない社員からも「それなら興味がわく!」などと意見が集まったため、これに決定しました。カバーの色もティールにしたため、書店ではとても目に付きます。

実際の編集作業は、基本的に一冊につき1人のプロデューサーが担当しますが、メンバー間で頻繁に相談し合いながら進めています。本書では下田が担当しました。彼らの編集作業の全体を見るのが編集長としての私の役割なんです。

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