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“最大の効果を出すチーム”は、管理ではなく会話でつくられる【ピョートル・フェリクス・グジバチ氏 前編】

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ピョートル・フェリクス・グジバチさん(プロノイア・グループ 株式会社代表取締役、モティファイ取締役)は、元Googleのリーダーシップ開発スペシャリストです。著書『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』(朝日新聞出版)の中で、最大の効果を出すチームを作るには「心理的安全性」が最も重要だと説いています。グーグルで「最高の上司」に選ばれたピヨートルさんと、『予定通り進まないプロジェクトの進め方』の著者である前田考歩さんと後藤洋平さんが鼎談を行いました。今回はその前篇です。

後藤洋平氏(左)、ピョートル・フェリクス・グジバチ氏(中央)、前田考歩氏(右)

結果を出す職場は、悩み相談や失敗ができる職場

後藤:『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法 』を読ませていただきました。どうやったら会議がうまく進むんだろうという問題意識を持っていたので大変興味深かったです。

ピョートル:会議は何のためにするのか。それをまず考えた方がいいんです。本の中でもいくつか分類しています。

前田:「4つの会議」ですね。

ピョートル:ええ。僕が重視するのは人間性です。ですから、採用プロセスにはかなり時間をかけます。話しをするのはもちろん、飲みに行ったり、相手の悩みを聞いたり、そういうこと全てが僕にとっての採用プロセスになります。きっと、それを見ている人は、僕が採用プロセス中であるとは気づかないでしょう(笑)。

意味のなさそうな打ち合わせの時でも、すごく細かく相手を観察します。僕は、人と話をする機会には必ず何らかの意味があると思っているんです。それは、採用して一緒に働くことかもしれません。あるいは、友情が生まれ、協力して何かできるような関係になることかもしれません。

一方で僕は、人間性と同じくらい結果を出すことも重視しています。

僕が経営するプロノイア・グループでは「失敗大歓迎」という文化があります。これは「何度同じ失敗をしても許すよ」という意味ではなく、「失敗から学び、失敗を成果に変える仕組みづくり文化」を根付かせるためです。ですが、ほとんどの方が失敗を恐れています。僕はその文化を変えるために社員の前で自らの失敗を受け入れ、社員が失敗をしてもいい「心理的安全性」に基づいたコミュニケーションを日々実践しています。失敗こそがチャンスで、結果に繋がる大きなヒントです。

後藤:僕もマネージャーとしていろんな人と一緒に仕事をしますけど、だいたい仕事の話ばかりになってしまいます。

ピョートル:仕事の話もしっかりする必要があると思いますよ。だけど親しく話せるようになるきっかけはプライベートの話。それも、相手に話したいことをそのまま話してもらう。話したいことを話せるような関係ができれば、仕事の状況も普通に話してくれるようになります。

「世界最高のチーム」(朝日新聞出版)にも書いたんですけど、僕は、管理型マネジメントだとイノベーションは起こらないと思っています。マネジメントとは相手を管理することです。「今朝は何通メールを送りましたか?」。「 何時から誰と会ってどんなことをしましたか? 」。そういう会話からイノベーションは起こりません。

それよりも、「今日は桜が綺麗に咲いているから散歩しない?」と言える関係の方がいい。散歩しながら話をした方が創造的で、イノベーションが起こる可能性は高くなります。僕は結果を重視します。だから結果を出すために、まず土台やプロセスを整えるのです。

後藤:管理しないようにした方が良い結果が出るということですね。

ピョートル:そうです。ただし、管理しないと必ずさぼったりいい加減な態度になったりして失敗や問題が起こります。その時にその失敗や問題をどのように扱うか。それはとても大切なポイントになります。

重要なことは、真摯に腹を割って話すことです。それが次のステップにつながります。信頼関係がさらに深まるのか、本当にダメだとわかるのか。もめ事は何度でも起こるかもしれません。その時に、「何をやってるんだよ、あなたは」と言えて、どうしてこうなったのか反省する。そういう、より深い関係を作ることが次のステップです。ですから管理はしない。それが僕のマネジメントポリシーです。


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世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法
Googleの「プロジェクト・アリストテレス」が解明!
もっとも大切なのは、「心理的安全性」。
安心して本音を言い合えるチームから、最高の成果が生まれる。

次ページ 「パターンを破ってイノベーションを起こせ」へ続く