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“最大の効果を出すチーム”は、管理ではなく会話でつくられる【ピョートル・フェリクス・グジバチ氏 前編】

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パターンを破ってイノベーションを起こせ

ピョートル:僕には上下関係を全然感じないという特性があるんです。

自分の方が偉いとか、相手の方が偉いとか、全然感じない。そんなことより、この人と何ができるかなと考えながら、その時間一瞬一瞬を過ごす方が面白いでしょう?
上下関係でもどんなことでも、パターンを破ることはとても大切です。パターンを破ればイノベーションが起こる。上司と部下のパターンも破って、人間同士で本音を話す。そういう関係をつくることが大事です。

前田:プロジェクトでもメンバーの本音を知ることはすごく大事です。
だけどいろんな人たちと仕事をしていると、ピョートルさんとカルチャーが全然違う人たちもいますよね。そういう人たちとはどのようにしてパターンを破り、感化させていくのでしょうか。

ピョートル:相手がどんな人でもやり方は同じです。違うのは関係を作るスピードだけ。そういう時は、いきなり花見に誘ったりしませんよ(笑)。

まず、定例会議を重ねて、相手をよく観察します。そしてきっかけを作るタイミングを直観で感じ取ります。

ある300人ほど社員がいるベンチャー企業と定例会議をしているのですが、そこの社長が面白い人で、会議で自分が話したいことを面白可笑しくどんどん話すんです。それを聞いている社員たちも、「社長、何を言っているのか全然わかりません!」とフランクに言います。だけど、それではいけません。ミーティングに出ている人たちは、社長のことをよくわかっているからそういう風に言えますけど、300人の社員はどうでしょうか。

だから打ち合わせの時に言ったんです。「あなたはジャズピアニストのように何でも即興で弾けるのですね。だけどサントリーホールでジャズを弾くのはダメですよ。とりあえず次の打ち合わせには出ないでいただけませんか」と。

そして、いつも黙ったままで何も話さない人事担当の女性に、「今度の会議ではぜひあなたにも話してほしいです。社長が出なければ話しやすいのではないですか」と、社長の目の前で言いました。

こういう会話がパターンを破る会話です。ただしリスクを取らなければいけません。パターンを破ると怒られることもありますからね。いつ、どんなリスクを取って、どんなパターンを破るのか。それを見極めることがとても大事です。

前田:それはピョートルさんの明るいキャラクターとセットになって初めて成立すると思うんです。だけどピョートルさんが出ないプロジェクトもありますよね?そういう時はどうされていますか。

ピョートル:たしかに自分がずっといるわけではないので、社員に対しては常にトップと同じ視点で物事を考え、マネージし、責任を持つことを要求してます。弊社が日々接するパートナーが役員レベルの方々が多いからこそ、尚更その思考が重要視されます。

後藤:感情の葛藤はないんですか?アイデアの葛藤の方が多い?

ピョートル:アイデアの葛藤はありますが、感情の葛藤はありませんね。

後藤:僕はずっとアイデアの葛藤があったのですが、今やっているプロジェクトで初めて感情が葛藤していて、とても辛いんです。それはきっと異質なものが追加されたからだと思います。そういうものをどこまで受け入れるのか。どういうものは受け入れないのか。それを判断するのはすごく難しい。

ピョートルさんは異質なものが来た時に排除することはありますか。それとも受け入れるためのポイントを探りますか。

ピョートル:単純なことです。例えば、一緒にプロジェクトを進めていた相手が失敗して、それが中止になったとしても、「何をやっているんだ!」と相手を責めることはしません。起きてしまったことに対してとやかく言うよりも、次に進むための対話をした方がより効率的です。

そして相手がそれからどうするのか、見ています。「がんばります」という意思表示があれば、僕は2度目のチャンスをためらうことなく差し上げます。もしも、何も意思表示がなければ、パートナーシップを組む相手ではなかったのだと判断します。

仕事中のプチトラブルはたくさんあります。僕自身、社員からほとんど毎日叱られています。指摘されるのは嫌じゃありません。そこから互いが学ぶ「メリット」の方が大きいので。

大事なことは、「今日はこんな失敗をしちゃったよ」と普通に言えて、「じゃあどうやってそれを解決しようか」と、すぐに話し合えることです。そういう雰囲気は、全部白黒つけて完璧にやりないさいという職場からは生まれません。気持ちに余裕がある「心理的安全性」に基づいた職場だからそういう雰囲気が生まれるのです。

(後編へつづく)


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