編集はどうしても人に任せきれない
権八:見ていて「これは編集を外注してる」と、一般の人にわかるものなんですか?
ヒカキン:わかる人はわかると思いますね。とても綺麗に仕上がっていて、手が込んでいるというか。本当にテレビ番組、深夜番組を見ているような感じです。僕は「ちょっと汚いから見たい」ようなところがあって。
権八:あー!
中村:そのほうが生っぽいからね。
ヒカキン:本当に自分でやっているという“こじんまり感”がユーチューバーだと思うので、僕はあえて綺麗にしないようにしてます、ずっと。
権八:そのほうが視聴者と距離が近い感じがするのかな。ラジオっぽいというかね。
中村:ヒカキンさんは、今はおひとりで編集されてるんですか?
ヒカキン:僕は基本的なカットや仕上げは全部自分なんですが、テロップや効果音はアシスタントがいます。ただ、本当だったらここも振り切れて、任せると言えたら楽なんですけど、どうしてもこだわりが捨てられなくて、最後にもう1回戻して、全部直してから出しちゃうんですよ。
権八:何か、僕らの仕事と似たような感じですね。
澤本:ヒカキンさんは編集が好きですか?
ヒカキン:本当に面白いと思っているものを編集するのは好きです。
澤本:CMはYouTubeに比べて秒数が短いですけど、僕は何が好きかというと編集で、編集で誰がどのぐらい頑張るかによって、出来が全然違うじゃないですか。
ヒカキン:そうですね。
澤本:それで言うと、編集は時間をかければかけるだけよくなるかもしれないし、逆にぐるぐる回りだしてダメになっちゃうこともあります。撮影失敗したと思っても、編集で何とかなったりするもんね。
権八:そうですね。
ヒカキン:マジック的なやつですね。
権八:当然、全部やっていると回らないから人に任せたりするけど、でも任せきれなくて、やっぱり自分でやりたくて。だから似てるんだよね。
ヒカキン:そこを任せちゃダメかなと思ってますね。でも3時間ぐらい集中してやっていると、はぁ~となって、リビングの猫に会いに行って、5分ぐらい癒してもらってまた戻ってと。だから撮影よりも編集のほうがめちゃめちゃじわじわ効いてくるんですよね。
澤本:そうですよね。
中村:僕らはユーチューバーが編集している画って見たことないですからね。
ヒカキン:本当に孤独との戦いですよ(笑)。ただ、良い動画だと1人で笑ってるんですよね。それが起きるようなことを毎日撮れたら最高なんですけどね。まぁそうもいかないですね。
権八:面白い。
中村:あと、ユーチューバーが出てくるまでは、撮影は3カメ(カメラ3台)ぐらいまで編集用に用意しておくのが当たり前でしたよね。でも、ユーチューバーは1カメで同じポジションのままガンガン編集するし、しゃべりとしゃべりの間でリズムが悪いとガンガン切るじゃないですか。あの文化の発祥って何なんでしょうね。
ヒカキン:何でしょうかね。日本だとジェットダイスケさんという方が。
中村:あの「ジェットカット」(無駄な部分を残らず削除していくYoutuber独特の編集方法)の?
ヒカキン:そうです。俺が考案したジェットカットだと言っていて。確かにみんなそこから影響を受けてやっていたと思いますし。あと、なぜかわからないですけど、国民性か、スペイン語の人気ユーチューバーがテンポが2倍速ぐらいなんですよね。僕もそういうのを見て早くしたほうがいいのかなと思うんですけど、一度試しにめっちゃ早くしてみたら、どうしたんですか?と言われてしまって。
一同:(笑)
ヒカキン:やっぱり普通でいいかと思って。
中村:澤本さんのCMも早いですよね。会話劇を15秒、30秒の中にものすごく詰め込まれてるから。
ヒカキン:15秒だと早くしないと。
澤本:撮影のときも、巻いて、詰めてとやたら言われるじゃないですか。間とかないからね。
ヒカキン:あれ編集で入らなかったら倍速とかにしないといけないですもんね。
澤本:編集にこだわっているというのが面白いですね。僕らはユーチューバーが編集している図を見たことないから、どういう風にしてるんろうと思っていたけど、そういうところが垣間見れたのが今日は面白かったです。
<END>
構成・文:廣田喜昭
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