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「買いたくなる」動機をつくる! コモディティ時代のブランドの挑戦 ―おやつカンパニー、サムスン電子、マツモトキヨシ、ヤマハ

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出席者
・おやつカンパニー 専務執行役員 マーケティング本部 本部長 髙口裕之氏
・サムスン電子ジャパン マーケティンググループ長 関本太朗氏
・マツモトキヨシホールディングス 執行役員 営業統括本部 営業企画部長 松田崇氏
・ヤマハ 執行役員 ブランド戦略本部マーケティング統括部長 大村寛子氏

写真左から、サムスン電子ジャパン マーケティンググループ長 関本太朗氏、ヤマハ 執行役員 ブランド戦略本部マーケティング統括部長 大村寛子氏、JAPAN CMO CLUB Founder 加藤 希尊氏、マツモトキヨシホールディングス 執行役員 営業統括本部 営業企画部長 松田崇氏、おやつカンパニー 専務執行役員 マーケティング本部 本部長 髙口裕之氏。

いかにして、人の感性に訴えるブランド「体験」を提供するか?


JAPAN CMO CLUB Founder 加藤 希尊氏。マツモトキヨシのPB商品であるエナジードリンクを体験中。

2019年5月22日、25回目となる「JAPAN CMO CLUB」研究会が開催になった。今回はおやつカンパニーの髙口氏、サムスン電子の関本氏、マツモトキヨシの松田氏、ヤマハの大村氏が参加をした。

「機能的価値」だけでなく「情緒的価値」の訴求がマーケティング戦略上、重要になっていると言われて久しいが、その訴求のアプローチ方法に王道はなく、ディスカッションを通じて日々各社のマーケターが挑戦を続けている様子が見えてきた。

JAPAN CMO CLUB Founderの加藤希尊氏は、これまでの研究会を通じて、多くのマーケターが共通して抱える課題は、大きくは「人口減少」、消費者の生活の「スマート化」に加え、「コモディティ化」の3つの現象に起因しているとの見解を示してきたが、今回は「コモディティ化」が大きなテーマとなった。

具体的には、万人に共感されるような「情緒的価値」は成立しづらいので、各社「自分たちのブランドの価値に共感してくれるであろう対象者」や「自分たちのブランドにしか創出できない使用シーン」を発掘する取り組みを進めていた。

新しいパーセプションをつくり、指名買いの確率を高める

ロングセラーブランドの「ベビースター」を製造・販売するおやつカンパニーの髙口氏が現在、取り組んでいるのは新たな食シーンの開発と提案だ。長年、愛されてきたロングセラーブランドなので、すでに高い認知は獲得しているものの「駄菓子屋発の菓子」といった懐かしいイメージで捉えられていることに課題を感じているという。


おやつカンパニー 専務執行役員 マーケティング本部 本部長 髙口裕之氏。

髙口氏は「ブランドイメージが確立されていることは大きなアドバンテージになる反面、販売チャネルや消費者意識が変化を続ける市場環境を踏まえると、新たな価値やイメージを獲得し、指名買いしてもらう確率を高めることが必要であると考えている」と現在の戦略について説明した。

そこで最近はスナック菓子としてそのまま食べるだけでなく、料理への活用を提案。オンライン、オフラインを横断した訴求で、「間食」だけではない新たなパーセプションをつくり、これまでにないブランドイメージを獲得することを目指している。

さらに「消費者のパーセプションを変えることは、ブランディング効果に加え、新しい食べ方を試したいから買うという、店頭への送客や購買行動の喚起にもつながる。指名買いされるようになれば、価格競争からも脱却でき、収益面への貢献も期待できる」と話した。

人の心が動く瞬間に、ブランドの強みを伝える

今や日本人の8割近くが所有しているというスマートフォン。技術進化のスピードが早い商品だけに、コモディティ化が課題となる市場だ。そのスマートフォンの世界市場でトップシェアを誇る「Galaxy」ブランドを取り扱うのがサムスン電子ジャパン。同社の関本氏は「サムスン電子ではマーケティング活動に際し、グローバル統一で消費者の購入決定プロセス(カスタマー・ディシジョン・ジャーニー)を大切にしている」と話し、このプロセスに基づき認知獲得、理解促進、好意向上、購入検討、維持/育成といった各ステージに対応した、マーケティング組織の体制が構築されていることが紹介された。


サムスン電子ジャパン マーケティンググループ長 関本太朗氏。

「各段階でのマーケティング活動をうまく連携させることで、ブランド認知からロイヤルユーザー育成まで一貫した方針に基づき実行できるよう、日々試行錯誤を繰り返している」(関本氏)。

世界ではトップシェアを誇る「Galaxy」だが、日本ではまだシェアも低く、多数のライバルが存在する。各社が機能面で大きな違いが打ち出せない中、消費者の意識を変えることが課題になっていると話した。

そこで同社では近年、情緒的なシーンでの「体験」を軸にした訴求に力を入れているという。「従来型のマーケティング訴求だけでは、消費者の印象には残りづらくなってきている。そのため、機能訴求に加え、私たちの持つ差別化ポイントを、どういった形でどのように体験してもらうかを重視している」(関本氏)。

その取り組みとして、例えば「Galaxy」が強みとする「防水機能」を訴求するため、昨年は日本に初めて上陸したタイの水かけ祭り「ソンクラーン」をベースにした音楽フェスへに出展。「ずぶ濡れになる場所で水を掛け合いながら、動画や写真を撮ってソーシャルメディアでシェアしてもらった。人の気持ちが盛り上がる瞬間である“パッションポイント”におけるブランドとの接点づくりを狙った」と説明した。

ユーザーのスマートフォンに対する愛着を理解した、ショーケースでの接客


「Galaxy」の新機種を紹介する関本氏。

あわせて関本氏は2019年の3月に若者のトレンド発信地・原宿でオープンした「Galaxy Harajuku」についても紹介。「Galaxy Harajuku」は地上6階、地下1階の常設型ショーケースで、ターゲット層であるミレニアル世代の情報発信プラットフォームとしての役割を果たすほか、端末の販売・修理機能を持たせたことにも特長がある。

受け付けてから、最短60分で修理して戻す。さらに、受け渡し時にはプレミアム感のあるラッピングを施すほか、お使いのスマートフォンの状況や使い方のアドバイスなどを行うことで、より長く快適にお使いいただけるようサポート。「日本人は特にスマートフォンへの依存度が高く、生活には欠かせない存在となりつつある。

だからこそ、ユーザーの愛着も理解した上での対応が、ブランドの魅力的な体験につながると考えている。こうした場面で良い体験を提供できると家族や友人も推奨していただくことが期待できる。そうした実験的なチャレンジも『Galaxy Harajuku』で行っている」と話した。

次ページ 「6,100万人との顧客接点を生かす、マツモトキヨシのデータ利活用戦略」へ続く


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