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戦略そのものが持つクリエイティビティを引き出すとき — カンヌライオンズ審査レポート 後編

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【前編】「戦略そのものが持つクリエイティビティを引き出すとき — カンヌライオンズ審査レポート 前編」はこちら

前回は、カンヌライオンズ2019で私が審査を務めたクリエイティブストラテジー部門の概要と、実際の受賞作品について紹介した。後編では、審査から見えたポイントと、我々が今後行うべきアクションについて紹介したい。

高品質なアウトプットを実現し続ける組織とは

クリエイティブストラテジーのグランプリを受賞したForsman & Bodenforsのチームと審査委員長のTracey Follows。

数多くの優れた作品を審査しているうちに、「これらを生み出す背景や実現していくための組織構造は一体どうなっているんだろう?」「常勝のエージェンシーは他のエージェンシーと一体何が違うのだろう?」という疑問を持ち出した。審査の場に当事者は不在なので、自分がこれまで得た経験・知識と照らし合わせて、優れた作品の裏側に存在する組織像や体制、体質、それを支える企業文化やDNAというところまで、とにかく考えを巡らせた。周りの審査員たちにも多くの意見をもらった。

一言で言えば「優れたチーム」や「クリエイティブディレクターの属人的パワー」で片付くのかもしれないが、自分自身コンサルティングという現場にいる身としては、「これらの高品質なアウトプットを継続的に生み出すことを可能にする組織構造」というものは非常に気になるわけだ。

受賞作の中でも特に優れた作品には、クライアントとエージェンシーの間に極めて良好な関係性が存在したことは間違いないだろう。だとすると、サブカテゴリーの項目でもある「Brave Brands」や「Long-term Strategy」を実現するには、クライアントサイドの広告宣伝部門やマーケティング部門の領域を超え、CMOやCEOといった経営層(CxO)の決裁で取り組みを推し進めているのではないか?という自分なりの仮説が浮かびあがった。

この仮説に基づき、複数の審査員に「これらの優れた作品が持つ共通点って何だと思う?」と聞いてみたところ、「CxO’s decision.(CxOによる決断だな)」という言葉が返ってきた。

クリエイティブストラテジー部門の審査員たち。人生で一番脳みそを使ったかもしれない・・・。

次ページ 「審査から見えた3つのポイント」へ続く