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LINE・Twitter・TikTokの3社×クリエイターがネット広告の課題を徹底討論!

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6月16日、政府の「デジタル市場競争会議」が、巨大プラットフォーマー企業による寡占化が進むデジタル広告市場に対する規制案をまとめました。このなかでは「ターゲティング広告」について、表示されることや、ターゲティング配信のためのデータの取得に応じるかなど消費者が決定権を持てることをプラットフォーマーに促していくことも検討していくとされています。

「ターゲティング広告」を始めとした、ネット広告は今、消費者からどのように受け止められているのでしょうか。そして、その受け止められ方に問題があるとすれば、どう解決していけばよいのでしょうか。

月刊『宣伝会議』では7月1日発売の8月号で、LINE、Twitter、TikTokそれぞれで広告商品を扱う担当者と、ネット広告を中心に活躍する広告クリエイター2名による座談会を実施。5ページにわたり掲載しています。ここでは、本誌に掲載した記事の一部を公開します。

プラットフォーマー

菅野圭介氏(LINE/マーケティングソリューションカンパニー カンパニーエグゼクティブ)

 

橋本昇平氏(Twitter Japan/Twitter Next Japan マネージャー)

 

市川典男氏(TikTok Ads Japan/X Design Center クリエイティブディレクター)

 

クリエイター

オノダタカキ氏(MEDIATOR/代表取締役・クリエイティブディレクター)

 

中村洋基氏(PARTY・ヤフー・電通デジタル/クリエイティブディレクター)

 

今、企業が直面する「ネット広告」の課題と、LINE・Twitter・TikTokの取り組み

菅野:私はLINEでBtoB向けのソリューション企画の統括をしています。学生時代は広告に楽しいイメージがありましたが、今は「ネット広告って嫌われ者だよね…」と言われる機会が多くなりました。その原因は、短期的な売上を追い求めた結果、アドフォーマットがユーザーからすれば、強引な入り方になってしまったこと、そしてまだ発展途上のため広告審査が甘いことだと思っています。

不快と思われるようなクリエイティブやアドフォーマットであっても0.1%の人がクリックしている事実があるから、やめられなかったという側面もあったと思います。しかし成果が出ているから良しとするのではなく、そこでユーザーのより良い体験のために踏み止まれるかはメディア側、プラットフォーム側の責任だと考えています。そこでLINEではアドフォーマットと広告審査については厳格に実施するようにしています。

橋本:私はTwitterで、広告主に対してどのようにTwitter広告を使えばよいのかのコンサルティングをしています。Twitterにおける広告商品開発の基本姿勢は、パブリックカンバセーションを尊重すること。Twitterのユーザーはいま、リアルタイムでどのような会話をしているのかを知るために見ています。

そこで広告だろうとオーガニックの投稿だろうと、Twitter上の“会話”には常にユーザーにとって新しい発見があることが重要だと考えています。またタイムラインに関心に沿うものを表示するため、Twitterでは、どのようなコンテンツに反応したか、フォローしているかといったものをターゲティングの指標にしています。直近では実験的に「トピック」という機能を実装して、アカウントではなく好きなトピックをフォローしてもらい、それを指標としてターゲティングの精度を高める努力をしています。

市川:私は、以前はアメリカで広告の仕事をしていましたが、現在はTikTok Ads Japanのクリエイティブディレクターとして、各国のクライアントや広告会社とクリエイティブソリューションや戦略を考えています。

SNS広告の課題は、ユーザーが本音を発信している場だけに、広告の嘘っぽさが際立ってしまうこと。もっとリアルに、ナチュラルに人の心に響く広告やキャンペーンが求められているのではないでしょうか。そこでTikTokでは、UGCのキャンペーンで音楽やゲームなどでユーザーの心に響くエモーショナルなコミュニケーションを推奨しています。

橋本:これは、他のプラットフォームにも共通していることだと思いますが、ユーザーと企業が同じ場に、同じ立場で存在しているというのが、これまでのマスメディアとの違いで面白いところですよね。

広告が嫌われる理由は“ミスマッチ” SNSでは自分ゴト化が不可欠

オノダ:「ネット広告が嫌われる」という理由のほとんどが、ユーザーとのミスマッチだと思います。そこで時間軸、人軸、演出軸のマッチングのテクノロジーで解決していけるとも考えています。

僕はダイレクト広告もブランド広告も両方手掛けてきましたが、どちらも一概に「広告っぽい広告は嫌われる」とは思いません。バンパー広告はコンバージョンするのですが、それは嫌われていないからだと思います。未来のマッチングテクノロジーがもっと進化して、より良いタイミングやユーザーの感情を高精度で取れるようになったら、今よりは嫌われない広告になるのではないかと思います。

中村:広告商品は枠にすぎず、命を吹き込むのは、クライアントやクリエイターです。消費者は広告の枠に興味があるわけではなく、広告を広告だと思って見ているわけではないんです。

つまらなかった時に「なんだ、広告か」と思うけれど、面白いコンテンツや盛り上がっているコンテンツを見れば自分も輪に入る。その線引きは時流や媒体の特性やユーザーによって流動的に変わっていくけれど、そこをバランス良くつくっていけば愛される広告になると考えています。また、先ほど菅野さんがおっしゃったように、多くの人が使うプラットフォームであればあるほど、質を担保する仕組みが下支えとして重要になると思います。

オノダ:今、クリエイターがやるべきこととしては、どのプラットフォームにどのような人がいるかを把握してその場に適した作法で発信するということ。SNSは自分が知りたい情報を発信する人をフォローして自分の箱庭に集めている状態です。その箱庭にマスクリエイティブを流すのは不適切だと思います。

中村:マスクリエイティブをそのままリサイズしてネットに流してもうまくいかないということは、何年も前から言われてきましたが、完全に顕在化したと感じます。今はリアルやナチュラルなものしか見てもらえないからです。「自分と関係なさそう」というものは秒でスキップする時代になりました。

テレビは、チャンネルを変えない限りは強制的に世界観の中に入る力がある。リアルでないストーリーでも、最後に共感が取れれば良いんです。けれどもSNSのようなプラットフォームで流すと、ユーザーが見たいものではないから邪魔だと思われてしまう。媒体特性に合わせて自分ゴト化できるようなリアルでナチュラルなものが必要だと感じています。

—この座談会の続きは7月1日発売、月刊『宣伝会議』に掲載しています。


月刊『宣伝会議』2020年8月号(7月1日発売)では、「ユーザーフレンドリーなアドエクスペリエンス」を特集しています。本特集内ではこの座談会の全文(5ページ)をご覧いただけます。ネット広告の専門家のご意見や広告主の宣伝部長の座談会記事(4ページ)も掲載しています。