「長い目で」「怒りをエネルギーに」……若者たちへメッセージ
権八:意外とこの番組は若い学生の方も聞いているんです。働く上での身の処し方というか、若いみんなはこれから可能性あると思うんで、何かぜひ熱いメッセージをお願いできますか。
吉田:熱いメッセージ……。1浪して早稲田大学に入ったんですけど、僕が大学の頃はそれこそ学生運動が華やかな時代でね。
権八:ああ、そうですね。
吉田:あの時代を振り返ると、あの時点では「ああ、こんな大学なんだ」ってちょっとがっかりしちゃったことがあって。僕も世の中を見えていないしね。なんで、熱く学生運動をやって、ヘルメットをかぶって、デモ行進をキャンパスでやっているのか。自分自身を見失うくらいわけの分からないことが展開されていたわけです。
後になってみると、みんな怒っていたわけですよね。若い人は、やっぱり納得いかないわけじゃないですか。自分たちの先輩、つまり大人がやっていることはどうもおかしいっていうのが、感覚的、感性的に許せないからああいう行動が起こったんだと。じゃあ、今はなんで若い人が熱く怒れないのか。ある人が「若い人は車も持たなくなっちゃって、興味がなくなっちゃって」って。「それは金がないからだよ」っていう言い方もあるわけだけど、今は世の中が混乱していると思うから、怒りは持っていた方がいいと思うんですよね。
若いときには見えない景色も、絶対にあるんですよ。僕も全然見えなかったし。でも、年を経てくると見えてくるんですよね。色んなものがね。だから、何にも自分には届くものがなくても、今この世の中を諦めずに見る体験も無駄にならない。あとで、自分が世の中を変えるすごい大きなヒントになったりする。それから、力になるかもしれないしね。自分自身が改革するような立場の人間になり得ることもあると思うし。
時代は変わっているから、瞬時に今の世の中のことを解析できる人って絶対にいないと思うけど、短いスパンで物事を考えずに、長い目で見るってすごい大事だと思うんです。諦めずにそのことをずっと自分の心のなかで問題視していると、自分の進む道も自然と開けてくるし、決まって来ると思うから。やっぱり焦らずに長い目で見て、怒りは怒りでもって、それをエネルギーに変えることが、いつの時代でも若い人の特権だと思うからね。
中村:最近の若い子は効率化ばっかり求めすぎてる。クールっていうより、もうちょっとがむしゃらになる情熱というか。それは怒りってことなのかもしれないけど。
吉田:でも、苦労した方が本当はいいですよね。謙虚に考えれば、自分自身も磨かれていないわけだから。だって、社会性なんてあるわけないんだから。若い人は社会に出ていないわけだから。出てるって言っても、親の庇護のもとだし。そこで苦労すると、返ってきたときは本当にデカいですよね。
あと、身近な尊敬する先輩を、ずっと見続けることがあとになって役に立つんじゃないですかね。人の出会いも、積極的にやっていった方がいいですよ。僕なんかもあんまりやっていた方じゃないけど、人によってしか自分は変わらないしね。出会いって後で考えると、やっぱり奇跡に近いものだし。あの人に会っていたから、今の自分があるっていう出来事は必ずあるじゃないですか。
権八:そうですね。
吉田:そのときは相手に嫌がられたり、ちょっと煙たがられたりしたとしても、出会っているということはデカいと思います。だから、すごい人を見続けた方がいいと思います。尊敬する人を早く見つけて、その人の生き方とか、細かいことでも、盗むべきものは盗むみたいなね。そうすれば、まず間違いないんじゃないですかね。
権八:なるほど。ありがとうございます。尊敬する人とか、好きな人、憧れの人がいるって、幸せなことですよね。
吉田:幸せなことですよ。僕なんかも、好きだから聞いてくれるなんて言われると、それ以上のことなんてないですもんね。これは仕事冥利に尽きると思います。
だから、好きな人とか、憧れの人を早く見つけてほしい。絶対にいるはずだから。その人に近づくように。まあ、道が違うかもしれないけど、頑張れると思う。
中村:ありがとうございます。
権八:すばらしい話だね。
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