掲げるだけでは終わらない。 真にパーパス・ドリブンな組織へと変革するための具体的なプロセスとは?

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【前回】「10年で株価は13倍 Starbucksを復活させたハワード・シュルツの戦略を支えたパーパス・ドリブンな組織改革」はこちら

世界を襲うコロナショックを契機に、人々の生活や価値観、ビジネス慣習が大きく変わり、これまでの延長線上の事業戦略では立ち行かなくなりつつあります。そこで注目されているのが、組織の存在意義、つまりはパーパスを見つめ直すこと。自らの存在意義に立ち返れば、変えるべきところ、そして変えるべきではないところも明確に見えてくるからです。
 
では、パーパス・ドリブンな組織変革とはどのように実現すればよいのでしょうか。現在、多くの企業が直面しているであろう、この課題を解決するため、宣伝会議では実践的な企業変革のアプローチ方法を学べるオンライン特別講座『Becoming a purpose-driven organization』を9月25日(金)に開催しました。
 
特にパーパスを軸とした企業変革は、欧米の企業が進んでいるため、本講座ではStarbucks、IBM、Apple、Nike、Facebook、オバマ財団といった世界的に影響力のある企業や組織のパーパス・ドリブンな変革を支援しているSYPartners(米国・サンフランシスコ/ニューヨーク)の3名が講師として登壇。4回にわたる本連載の最終回では、実際の講座のダイジェストを、SYPartnersの講師3名が振り返りながら、ポイントを解説していきます。

コロナ禍を受け、さらに高まるパーパスに対する期待

私たち、SYPartnersは9月25日(金)に宣伝会議とオンライン・ライブ特別講座『Becoming a purpose-driven organization』を開催しました。パーパスは、ややもすると日本ではバズワードになりつつあるほどに最近、注目の概念。それだけに、一時のトレンドとして踊らされず、自社の課題解決のために本質を理解し、次になすべきアクションを見つけようと30社を超える企業の経営陣や担当者にご参加いただきました。

講義前半では、なぜ今パーパスが注目されているのか。現在に至るまでに、どのような歴史があるのか。「パーパス・ドリブン」であるとは、具体的に何を意味するのかなど、ビジネス戦略におけるパーパスの本質的な意義について解説。近年、パーパスが注目される社会環境にありましたが、私たちが働き方や生活を大きく見直すきっかけとなった、今回のコロナ禍はさらに、その動きを加速させているとの考察を提示しました。

実践企業の事例から、取るべき具体的なアクションが見えてくる

欧米はもちろん、最近では日本でも改めて「パーパス」を策定し、掲げる企業が増えています。しかし、パーパスは掲げただけでは意味がありません。組織におけるすべての意思決定がパーパス・ドリブンにならなければ、ステークホルダーから理解も共感も得られません。そこで講義では、具体的に組織をパーパス・ドリブンにするための必要要素についても言及。

その要素とは「ビジョンと戦略」、「リーダーシップ」、「組織構成」、「企業文化」、「製品・サービス」、「ブランド」で、講義ではそれぞれがどのような状態になることを目指すべきかを紹介しました。

■パーパス・ドリブンな組織を実現する要素

目指すべき組織のあり方が理解できた後は、自社の組織における実践の戦略が必要です。講義の中では、SYPartnersと一緒にプロジェクトを行い、変革に成功した4つの企業(スターバックス、IBM、WW、グローバルツリーハウス)の事例を紐解き、実践のプロセスについて学んでいただきました。

取り組みを通じて、会社の本質を明らかにできた企業、大規模な行動変革を促し、復活を果たした企業、刷新とリデザインを実現した企業、ビジョンとユニークな価値の提供を可能にした企業等、それぞれの課題に基づいたアクションの考え方、そしてパーパス・ドリブンな状態になることでもたらされた成果を共有しました。

実際、多くの組織では、パーパス・ドリブンな状態に進化することで、「目指す方向を一致させる」「イノベーションをもたらす」「企業の評価を高める」「成長を生み出す」といった4つの効果を得ることができています。

パーパス・ドリブンの第一歩

講義の後半では、SYPartnersが、クライアント企業と実践しているワークショップに取り組んでいただきました。今回は、「パーパス・ジェンガ」と「トランスフォーメーション・アジェンダ」の2つのワークショップを実施。

「パーパス・ジェンガ」の目的は、自社にとって最も必要不可欠なものを見つけることで、お気づきのとおり、「ジェンガ」のゲームをメタファーにしています。自社を特徴づけるあらゆる要素を洗い出し、それぞれが必要不可欠(Essential)かどうかを判断して不可欠でないものは取り除いていきます。そうして、最終的に残った要素の共通点から、会社が存在する理由(パーパス)を見つけていくのです。変革をしていくうえで、欠かせない自社の本質は何なのかをチームで共有するために有効なメソッドです。

また同じ課題に取り組んでも、何を不可欠とみなすかは立場や考え方など、個人で異なります。その違いに気づき、対話を重ねること自体に価値があるということも重要です。

「トランスフォーメーション・アジェンダ」のワークショプでは、「パーパス・ジェンガ」でふるいをかけた本質的な要素を、戦略的行動へと結び付けていく演習を行いました。パーパスとともに、現在の自社を取り巻く状況も考慮しながら、「リーダーシップ、組織構成、企業文化、製品・サービス、ブランド」の5つの観点で、どんな大胆な取り組みができるか、アイデアを考えます。さらに出てきたアイデアに取り組んでいくために、最初の一歩として今日から何ができるか、という問いを自分に投げかけることで、まずトライしてみるべきこと、巻き込むべき人やチームなどを具体的に考えることができるようになります。

参加された受講生の皆さんからは、鋭い視点の意見が出され、各チームで活発な議論がなされました。最後の質疑応答では、「パーパスを見直すきっかけや時期をどう見極めるか」、「パーパスを経営層・リーダー層だけではなく一従業員にも浸透させるためにはどのような取り組みが必要か」、「パーパス・ドリブンになったと判断できる基準は何か」、などたくさんの質問をいただきました。

パーパス・ドリブンな状態は、もちろん1日でつくり上げることはできません。アプローチの仕方も、企業それぞれの歴史、大切にしている思いや価値観、直面している課題などに合わせてひとつ一つ丁寧に構想、設計、実施をしていく必要があります。今回、参加された皆さんの置かれている状況は異なると思いますが、組織変革を進めていくためのヒントを得ていただければ幸いです。

最後に本講座の受講者からいただいた声を抜粋して、本連載を終了します。また、次の機会に、この記事をお読みいただいている皆様にお会いできることを楽しみにしています。


■受講者の声
「世界の大企業に見習って、パーパス・ドリブンを推進していこうと感じました。」
「身近な企業や世界的な大企業、先進的な取り組みをされている企業など、特徴の異なる企業事例を拝見できたのが参考になりました。」
「グローバルに活躍している会社の具体的なプロセスを聞けたことがとても参考になりました。」
「どのようにPurposeを絞っていくかがよく分かりました。」
「持ち帰ったときに社内で実践し易い体験的学びでした。」
「とても良くデザインされた内容で、集中して、スムーズに取り組むことが出来ました。とても楽しかったです。」
「Brand Purpose の深堀りセッションを同じチームでお願いしたいです」
「今回の講義の第二弾があれば受けたいです。」


本連載のもとになり、より実践的にパーパス・ドリブンな企業変革のアプローチ方法を学べるオンライン特別講座『Becoming a purpose-driven organization』は、ご要望次第で今後も開催を検討いたします。

受講を希望の方は、global-educ@sendenkaigi.co.jpよりお問い合わせください。

■SYPartnersとは?
過去25年以上にわたり、パーパス・ドリブンなトランスフォーメーション(組織変革)の実現を支援するリーディングカンパニーとしてStarbucks、IBM、Apple、Nike、Facebook、オバマ財団といった世界的に影響力のある企業や組織との取り組みを行う。

■講師

Jarin Tabata, Principal

イギリスで自身のスタジオを経営したのちニューヨークに移り、クリエイティブディレクターとしてSYPartnersに参画。IBMとのグローバルな組織文化と行動変容のためのプロジェクト、“高齢化”を新たな視点で捉え直すIDEOとの取り組み、Aoyama Treehouseとのマインドフルネスやイノベーション、空間設計のプロジェクト等をリードしてきている。

 

Aki Shelton, Principal, Brand Design

Moving Brandsでエグゼクティブ・クリエイティブディレクターを、Apple(米国本社と東京支社)でクリエイティブディレクターを務めたのち、SYPartnersへ参画 。多様な専門家が集まるチームを率いて、Uniqlo, Nike, Google,Weight Watchersといったクライアントのためにパワフルな体験や戦略を生み出してきた。

 

Takuo Fukuda, Creative Director

スタンフォード大学で組織文化デザインの修士号を、京都工芸繊維大学でインタラクション・デザインとエスノグラフィー・リサーチの修士号を取得。softdevice(京都)やIDEO(パロアルト)を経て、SYPartnersへ参画。Google、IBM、GE、Starbucksといったクライアントと共に組織変革に取り組んできている。

 

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