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くら寿司、コロナ禍でも平日の売上が過去最高に 『鬼滅の刃』コラボの底力

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コロナ禍の外出自粛要請の余波がまだ根強く残る2020年6月。苦戦を強いられる飲食店が多い中、平日の売上で過去最高を記録したのがくら寿司だ。好調の要因は、人気アニメ『鬼滅の刃』とのコラボ企画の大ヒットにある。

2020年6月のキャンペーンで先着配布したクリアファイル。第1弾、第2弾合わせて全9種用意した。

コロナ禍でも前年超えの売上を達成

キャンペーンは、第1弾(6月12日~)と第2弾(6月19日~)の2回に分けて実施。くら寿司のアプリかSNSのフォロワー限定で2000円以上の会計(税込、持ち帰り含む)で、『鬼滅の刃』人気キャラクターが描かれたオリジナルクリアファイルを先着各20万人にプレゼントした。

キャンペーン告知は公式TwitterやFacebook、ウェブサイト、くら寿司アプリなど自社で運営するSNS中心で行った。結果、社内でも驚きの声が挙がるほど大きな反響を呼んだ。同社広報宣伝IR本部 販売促進部の栗栖真希氏は「当時、20万枚という量は過去のコラボ企画でもつくったことがない多さ。先着配布でもSNS登録の条件を付けているため『1週間は持つだろう』という予想を裏切り、たった数日で配布終了になった」と振り返る。

続いて9・10月にも、映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の公開に合わせて再度キャンペーンを実施。第1弾(9月4日~)、第2弾(9月18日~)、第3弾(10月2日~)、第4弾(10月9日~)、第5弾(10月16日~)の計5回にわたり、オリジナルクリアファイルや下敷きをプレゼントした。配布枚数は6月の各20万枚から、各40万枚へと増やした。

9月11日~10月31日はコラボメニューも販売。また、同期間中でラバーアクセサリーや缶バッジなどの景品が当たる「ビッくらポン!*」をスタートするなど、キャンペーン内容をさらに拡充させた。結果的に、9月の既存店売上が7カ月ぶりに前年超え。10月も「Go To Eatキャンペーン」の相乗効果もあって2カ月連続で前年超えとなった。

*くら寿司の注文システムに設置されているミニゲーム。5皿に1回のペースでゲームに参加でき、当たりが出たら景品がもらえる。

Twitterフォロワーは1年で2倍以上の63万人に

2000円以上の会計ごとにもらえるクリアファイルや下敷きは、くら寿司アプリの登録者か、SNSフォロワー(Twitter、Facebook)であることを条件にした。『鬼滅の刃』のファン層である10~20代の中でも、SNS上での発信力がある層を取り込む狙いがあったためだ。

9月4日にスタートしたキャンペーンの告知ツイート。

実際に、“鬼滅効果”で、キャンペーンを実施した6月と9・10月のタイミングで公式Twitterの新規フォロワー数が大幅増加。2019年10月時点の28万人から、1年で2倍以上の63万人(11月20日時点)になった。栗栖氏は「今回取り込めた情報感度の高い層には、今後も『くら寿司がまた新たなことをやっている!』とSNS上で話題性を高めてもらうことで、さらなる新規顧客の来店につなげたい」と期待する。

アニメファンに確実に届ける仕掛け

タイアップのきっかけは、くら寿司から版権元への持ちかけだった。10月公開の映画を念頭に約1年前から企画。9~10月の映画公開記念となるコラボと、公開以前に景品配布の形で実施する形で行うこととなった。

くら寿司が人気アニメやキャラクターとタイアップする際は、「ビッくらポン!」で景品を設定するのが主流。しかし、『鬼滅の刃』初コラボとなった6月のキャンペーンでは、クリアファイルの配布のみを行った。栗栖氏はその理由について「ビッくらポン!はコラボアニメをまったく知らない人に当たることもある。そこからアニメに興味を持ってもらうこともキャンペーンの魅力のひとつだが、先着で欲しいと思う人に届けることで、これまでとは違った喜びが生まれるのではと思った」と語る。

9・10月のキャンペーンでは、オリジナルイラストを権利元に依頼した。2020年1月にオープンした浅草ROX店をイメージした背景に、寿司を手にした炭治郎や禰豆子たちが描かれている。お面や提灯の装飾は、実際に浅草ROX店の実際に展示されているもの。日本文化の魅力を伝える浅草ROX店のコンセプトと、大正時代が舞台で、お面をかぶるキャラクターも登場する『鬼滅の刃』の世界観とマッチさせた。

浅草ROX店をイメージしたオリジナルイラスト。

次ページ「遠方のファンに向けた通販限定企画にも反響」へ続く